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来年度から福島県が30人学級を「小中学校全学年で実施」へ
2005年1月6日
県議会議員 神山 悦子

 1月4日の年頭記者会見で、佐藤知事は「来年度から小中全学年で30人学級を実施する」ことを突如発表しました。同日、県教育委員会も概要を発表。これを受けて、5日富田県教育長と懇談しました。

 富田教育長は、開口一番「単に学級の人数が少なくなって楽になっただけとならないよう、30人学級にしてよかったと思われるような“中身”をどうつくるかが求められていると思う」と述べました。小中学校全学年での実施は、今のところ全国初です。ただ今回は1学級を30人限度でなく30人程度としました。教育長は、「さっそく市町村教育委員会に基本的方向を伝えたところだが、県からのおしつけでなく、少人数学級か少人数指導かの選択肢を市町村自ら判断してもらい、新年度(05年度)から実施できるようにしたい。本県としてどういう人材を育成していくのかが県民から問われている。そのためには学校現場や教育委員会も、国の方針を受けてやるだけというこれまでの型を打ち破っていくことも必要」と言います。
 予算については、約20億円計上することを明らかにしていますが、教員の人件費については、常勤講師ですが県が責任を持つといいます。教室などの施設整備については市町村にも負担を求めていく方向ですが、細かい財政当局との折衝はこれからです。

 ここに至るまでには、長年の県民運動の取り組みがありました。「子どもにゆきとどいた教育をめざす全国3千万署名福島県実行委員会」は、89年から毎年県議会へ署名を添えて要望書を提出していますが、昨年は10万4,800余の署名を提出しました。99年の県議選で、共産党県議団が初めて交渉会派の5人となり、00年2月県議会で教育3千万署名実行委や新婦人、県PTA連合会からの請願を初めて採択。同年夏、共産党も入る「みんなで新しい県政をつくる会」が、「大規模プロジェクトを見直して30人学級実現」を公約に掲げ県知事選挙をたたかいました。山形県は、01年文部科学省が少人数学級の弾力化を打ち出した法改正を受け、2〜3年かけて小中学校全学年を対象に30人学級を導入すると表明。翌年の12月県議会では、教育3千万署名実行委の請願を全会一致で採択。こうした県内外の動きを受けて、ついに佐藤知事が02年の年頭記者会見で「新年度より30人を限度とする30人学級を実現する」と発表。4月から小学1年生と中学1年生の2学年でスタートし、翌年には小学2年生へと拡大しました。いずれも常勤講師ですが、02年度は2学年409人の教員を増やし、約18億7,000万円。03年度は3学年で529人、約23億9,000万円。04年度は、523人、23億3,800万円の予算を計上してきました。
 しかし、全学年への拡大については、県PTA 連合会や市町村から拡充を求める要望が再三あげられても、県教委はなかなか踏み切ろうとせず、02〜05年度の4年間は検証が必要だと繰り返すばかりでした。「みんなで新しい県政をつくる会」は、昨年夏の知事選でもこれをとりあげてたたかい、今回も知事の年頭記者会見での発表となりました。県教委としては、昨年11月にわざわざ「少人数教育検討委員会」を設置し、05年度中には方向を出す作業を始めていた矢先ですから、まさに知事のトップダウンで決まったものです。
 この背景には、小泉内閣の「三位一体の改革」による義務教育費国庫負担削減問題もあります。党県議団は、佐藤知事が、全国知事会で“分権” の名のもとに、義務教育費国庫負担削減を主張した点について、昨年9月県議会で「削減すれば、地域によって教育に格差が生じかねない。教育は国の責任で行うべき」と知事の姿勢を質したところ、知事は「県と市町村でやっていくことは可能」などと答弁。この議論を経て12月議会では、最終日になって自民党と県民連合の与党会派が、県に対し来年度予算に関わる教育予算の確保を含めた緊急申し入れを行いましたが、県の30人学級の維持に危惧を抱いたからでしょう。
 長年の県民運動や共産党県議団の追求は、与党会派をも動かし、知事の決断へとつながりました。学習集団だけの少人数指導にとどめず、新年度から文字通り小中学校全学年の30人学級を実現するためには、各市町村への働きかけがカギとなります。一気に県民運動を広げていきましょう。

 以 上



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