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2009年度予算と主な施策についての申し入れ(第二次)

2009年1月22日

福島県知事
 佐藤 雄平 様

日本共産党福島県議会議員団
団 長 神山 悦子
副団長 宮川えみ子
幹事長 藤川 淑子

2009年度予算と主な施策についての申し入れ(第二次)

はじめに

 アメリカ発の金融危機に端を発した景気悪化のもとで、派遣社員や期間社員などの非正規雇用の労働者を大量に解雇する「派遣切り」や「雇い止め」が深刻になっており、さらに3月の年度末の大量首切りが心配されています。12月26日の福島労働局の発表では、県内の非正規労働者の雇い止めが3,856人となり、全国ワースト3位という事態です。昨年の県内の倒産も175件(前年比31.6%増)と過去5年間で最多となっています。ハローワークには失業者があふれ、失業が原因となった犯罪、餓死事件も起きています。大失業・倒産の危機から雇用と中小企業を守ることは緊急かつ重要な県政の課題となっています。
 麻生内閣による2009年度予算の政府案と2008年度の2次補正予算案は、深刻化する雇用対策や中小企業対策など、国民の苦しみや不安を打開する実効ある対策はまったく不十分で、かつスピードに欠けたものであり、一方では、大企業・大銀行・大資産家応援予算と米軍再編費の大幅増など軍事費優遇予算となっています。
 また、地方交付税は4,100億円増となっていますが、景気悪化で地方税収が落ち込み、地方財政全体では1.0%の減、一般財源総額では1.3%減となっています。これまで削減された約5兆円の規模を含め厳しい内容となっています。
 いま、県政に求められていることは、大企業・誘致企業の横暴な解雇・リストラから雇用と中小企業を守りぬき、貧困と格差を拡大する麻生自公内閣の悪政から県民のいのちとくらしを守る防波堤の役割を果たすことです。
 来年度の県予算編成に当たっては、地方自治体の本来の役割である「住民の安全と福祉の向上」を基本にして医療・福祉・教育の充実をはかること。また、深刻な財政の危機的状況の下で、ムダと浪費、不要不急の大型開発は抜本的に見直し、広域自治体として「イコールパートナー」の市町村を励まし支援することが強く求められます。
 県政には、以上の観点に立って、次の具体的施策の実施を要望します。

1、雇用とくらしを守る緊急措置を

(1)知事自らが、経営者団体にとどまらず、個別企業に対して、派遣労働者と期間工などの「雇い止め」を中止するよう強く求めること。本庁、出先を含め全庁あげて、年度末に向けた企業のリストラの実態を把握すること。
(2)人員削減や企業の撤退については「事前協議」を求め、特に誘致企業に対しては、身勝手な撤退やリストラを行なう場合は補助金の返還を求めること。
(3)離職者支援資金の貸付要件を緩和し、誰でも使えるよう県独自の対策を講じること。
(4)失業者に対する職業訓練の枠を拡大し、希望者が全員受けられるようにすること。
(5)内定取り消しについては、本来損害賠償の対象であるという立場で、内定取り消しなどが発生しないよう県として実態調査し、企業への要請など必要な対策を強化すること。
(6)農林水産業への就業支援の拡充を図ること。
(7)中・長期的見通しを持って雇用確保を図り、農林業のみならず福祉、再生可能な新エネルギーなどの環境分野など、いっそうの拡充を図ること。
(8)市町村との連携を密にし、窓口の共有化や県・市町村の直接雇用や諸施策情報の周知徹底を図ること。

2、失業・倒産から県民の暮らしを守り、大型事業を見直す予算に

(1)予算編成のあり方について

 県の財政運営は厳しいといいながら、大型事業についてはほとんど見直しされずに事業を推進しています。必要性、優先度から再検討し、県民のくらしと市町村支援を優先することを求めます。
(1)県の道路行政については、あぶくま高原道路(トラハイ)や縦横6本の連携軸の道路整備構想を見直し、生活道路や歩道・自転車道などの整備に重点を移すこと。
(2)小名浜港東港建設を中止すること。
(3)大規模林道事業を中止すること。
(4)長期間にわたる「福島県全県域下水道化構想」による流域下水道の整備をすすめているが、公共下水道や農業集落排水事業のみならず、合併処理浄化槽の活用も検討すること。
(5)福島空港は閉鎖も視野に入れ、空港利活用促進のための新たな税金投入を中止すること。
(6)公共事業に関わる入札制度については、行政コスト優先による品質の低下を招かないようにすること。委託業務については、最低制限価格をもうけ、異常な低落札とならないようにすること。
(7)「公契約条例」の制定をめざし、官製ワーキングプアを生まないようにすること。
(8)県職員の天下り、特に管理職の天下りは禁止すること。

(2)セーフティネットの拡充を

(1)生活保護は最後のセーフティネットという立場に立ち、申請者の人権・人格を尊重すること。東京都のように、雇用悪化による失業者の路上生活化を防止するため、申請受付・決定の迅速化、柔軟な対応を各福祉事務所や市町村へ徹底すること。
 また、路上生活者についても、生活再建のための住宅と生活保護行政が一体的対応が可能となるよう、関係機関の連携を図ること。
(2)高校授業料の減免や就学援助制度を前年度所得にこだわらず柔軟に運用し、今回の金融危機による倒産やリストラなどの影響を受け、収入が大幅減になった家庭についても該当させること。
(3)国が妊婦検診の回数を14回まで財政支援を拡充することから、本県も同様の対応をするとともに、第3子からではなく第1子から対象とすること。
(4)子どもの医療費助成については、県内の7割を超える市町村が県の補助制度を超えて無料化を拡充していることから、県としても中学校卒業まで無料化し、子育て世代の医療費負担を軽減すること。
(5)子どもに限らず医療を必要とする世帯が、医療費や保険料納付困難の申し出があれば、保険証を交付できるようにすること。
(6)障がい者と施設に大幅な負担を強いるなどで自立を阻害している「障害者自立支援法」の抜本的見直しを国に求めること。金融危機による影響で仕事確保もできなくなっている小規模作業所への支援を行うこと。
(7)後期高齢者医療制度による無保険者を発生させないために、広域連合への県独自の財政支援を行うこと。
(8)今年4月に全面実施する介護保険制度の新要介護度認定方式による影響や、利用料負担が重くサービスを制限するなどで高齢者の生活に支障を及ぼす事態となっていることから、市町村の保険料と利用料軽減策を支援すること。また、県として特別養護老人ホームの待機者を解消する施設整備計画を策定すること、地域支援事業を支援すること。

(3)安全・安心な医療を

(1)救急医療、産科、小児科医不足の改善を早期にすすめ、助産師の活用もさらに積極的に行い、県民の安全・安心な医療体制を確立すること。
(2)医師の確保策については、県立大野病院事件が与えた影響をふまえ、他県とは違う特段の待遇改善を図ること。看護師などの医療スタッフの確保についても、同様の改善を図ること。
(3)県立大野病院は、民間では困難なへき地医療、さらに原発事故による被爆医療など他地域にはない電源立地地域の医療が課せられている。これら公的病院の役割を十分に発揮し、相双地域の医療を守るために、双葉厚生病院との統合ではなく存続・充実させること。
(4)社会保険二本松病院は、二本松・安達地方の中核病院であり、また二本松市で唯一出産できる病院である。国に対し、存続を強く求めること。

(4)教育行政の充実を

 貧困と未曾有の不況による影響が子どもたちにさまざまな影響を及ぼしています。これまで以上に、きめ細かな支援と予算の拡充が求められています。

 (1)スクールソーシャルワーカーは、学校生活だけではみえにくい子どもの生活全般に関わる重要な役割をもっていることから、引き続き国の財政支援を求めると同時に、県としても事業を継続すること。
 (2)特別支援教育については、教室不足の解消・老朽化対策を早期すすめること。
 (3)学校維持管理経費や教員旅費、燃料費など必要な予算を確保すること。
 (4)正教員を増やすこと。講師の労働条件を改善し、教育活動に専念できる賃金を保障すること。
 (5)学校耐震化を県立高校はもちろん、市町村立学校も促進すること。
 (6)電源開発地域ですすめている双葉地区教育構想と南会津のIT教育は、公教育をゆがめかねず再検討を加えること。

3、地場産業を生かした産業支援と雇用創出を

 (1)企業誘致による産業集積という県外企業の呼び込み方式を改め、立地企業の初期投資への補助金を見直すこと。
 (2)県内の既存のものづくり産業や地場産業の育成、支援を強化すること。あわせて、時代の先がけとなる再生可能な自然エネルギーや食品残さの堆肥化などの環境産業、県民ニーズの高い介護や福祉施設の充実など、生活環境の質の向上につながる産業興しを支援すること。
 (3)農業・林業で生活できる所得保障と農産物の価格保障制度を組み合わせ、農林業従事者を増やすとともに、県内の食料自給率と飼料の自給率を引き上げること。

4、環境問題・地球温暖化対策の前進を

 京都議定での数値目標で、日本は1990年比で6%削減することを掲げているにもかかわらず、逆に6.4%も増えている深刻な事態となっています。県においても1990年比で23.5%も増加(2005年比では3.5%減)していますが、その主要な要因は、1990年以降の石炭火発の新増設によるものです。
 地球温暖化対策に真剣にとりくみ、県として次の点を具体化することを求めます。
(1)(仮)小名浜火力発電所建設計画については建設中止を求めること。
(2)県内の石炭火発について液化天然ガスへの燃料転換を求めること。
(3)日本の排出量計算を国際基準の直接排出とするよう国に求めること。
(4)温室効果ガス削減を産業界の「自主行動計画」まかせにせず、削減義務をともなう協定を結ぶよう国に求めること。
(5)環境税の導入を国に求めること。
(6)再生可能な新エネルギーの開発支援、森林の整備を大きく前進させること。

5、原発問題について

(1)プルサーマル計画の受け入れ論議はしないこと。
 MOX燃料の使用は、制御棒の効き目に影響を与えるなど運転時の危険や労働者の被ばくの危険性を増やすばかりでなく、使用済み核燃料の保存・処理技術も未確立です。しかも老朽化している炉に使うことは安全性を無視した無謀なものです。
(2)東京電力福島第一原発の増設計画は認めないこと。
(3)東京電力に対し定期検査の期間の延長や維持基準の導入に反対し、老朽原発の廃炉計画を立てるよう要請すること。
(4)東京電力の活断層に対する過小評価があり、津波対策も不十分です。原発耐震対策の確立と一層の情報公開を求めるとともに、県の監視機能を充実すること。

以 上



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