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2012年9月定例県議会一般質問

2012年10月2日
 日本共産党 宮川えみ子

 日本共産党の宮川えみ子です。質問をいたします。

はじめに
一、原発問題についてです。

1、明確に原発収束宣言の撤回を国に求めることについてです。
 国は、実態の合わない収束宣言を昨年12月に行いましたが、県議会は同12月に全会派一致で撤回を求めています。原子炉は破壊され、燃料は溶け落ち、高濃度汚染水の漏水事故や温度計の故障で原子炉の温度が測れないなど、収束とは程遠い状態で、県民はいまだ不安の中にいます。漁業者は東電が汚染水を流すのではないかと不安を持っています。
 乱暴で非科学的な「収束宣言」が被災者・被害者を苦しめています。東電の不遜で傲慢な態度を増長させ、賠償切り捨ての助け舟になっています。
 国会事故調査委員会の報告では事故は収束していないと明言しています。明確に国に撤回を求めていくべきと思いますが伺います。

2、原子力規制委員会についてです。
 9月19日、環境省に原子力規制委員会とその事務局である「原子力規制庁」が発足しましたが、国会の承認が必要な委員長と4人の委員は国会の同意も得られていません。この組織は、原子力を推進してきた環境省の「外局」として設置され、原発を推進し何の反省もない、経済産業省原子力安全保安院の職員が大量に横滑りした組織です。事実上の原発維持機関であり、最初から国民に納得されない機関であると思います。
 知事は所信表明で「原子力規制委員会及び規制庁が発足した・・規制と推進が分離された」と言いますが、真に規制が行われる体制となるよう国に求めるべきではないでしょうか、知事の考えを伺います。

3、廃炉について
 県民の信頼を取り戻すために、廃炉における安全管理に関して、県が主導的役割を果たすことが必要と考えますが伺います。

4、原発労働者問題について何点か質問します。
 廃炉の準備や安全確保のための作業が続く第一原発ですが、その労働現場からの訴えを聞くと驚くような無法地帯が広がっているようです。原発にかかわる作業は重層な下請け構造で成り立っていて、その下には公にされない派遣会社が連なり違法な多重派遣、偽装請負の構造があり、このような仕組みの中で、強力なかん口令がしかれ、マスコミなどへの取材に応じたら自分だけでなく会社ごとつぶされてしまうことがあるため、問題があまり見えてきませんでした。
 しかし、今回の重大事故で、以前から存在していた問題がより顕著となり、労働者の安全面でも深刻な事態が発生し、事故収束もまともに進まないという中でわが党にもさまざまな声が届いています。
 事故収束作業では、毎日3千人くらいの作業員が入り、年間のべ百万人の労働者が作業にあたることになり、まさに命を削りながら作業をしているといえます。
(1)県は労働者の作業環境の実態をどのように認識していますか。
(2)私たちが県に、7月30日に被ばくデータ偽装問題で原発下請け労働者の労働条件整備を求める要請を行った時、「原子力発電労働者安全衛生対策連絡会議」などで対応と言いましたが、年1回しか開かれないような会議ではなく、労働基準監督署などと具体的に動くことができるような恒常的機関を作って対応すべきと思いますが伺います。
(3)労働者の安全確保と事故収束のための経費確保についてです
 作業経費削減は問題です。例えば、汚染水対策ではお金がかかるのでホースをステンレスにしないで塩ビホースのままにしているため、汚染水漏れを引き起こすなど指摘されています。
 今年の5月25日に「原発問題福島県民連絡会」などが申し入れをした時は、東京電力は「限られた経営資源の中で、作業に優先順位をつけることもある」と回答し、必要な作業が先送りされることがある事も認めました。
 労働者の安全確保と事故収束のための経費確保について、県は東電に厳しく申し入れをすると同時に、国に財源確保の指導を求めるべきと思いますがいかがですか。
(4)労働者の生活保障についてです
 被ばく線量隠しは、被ばく線量が増え働けなくなれば生活できなくなることが根底にあります。東電は今年の3月のいわき市議会での説明で、限度以上の放射線を受けて働けなくなった労働者について、「雇用先の企業からは『原子力プラント関連以外の業務で働いていただくことになり、就業できなくなるものではない』と聞いている」と答え、末端の下請け会社の責任にしてしまう無責任な態度を示しました。
 被ばく線量が増えて直接原発プラントで働けなくなった労働者の生活保障を国と東電に求めるべきと思いますがいかがですかお聞かせください。
(5)実態の把握と改善について
 健診費用違法天引き、重層的下請け構造でのピンハネ、危険手当の未払い、違法な派遣労働、社会保険未加入問題など労働者からの訴えが続いています。このような実態を把握して改善させていくべきです、県の考えを伺います。
(6)原発労働者の健康管理を長期的に行う事について
 原発では多くのいわき市民と双葉郡の町村民が働いています。原発労働者の多くは県民です。
 原発労働者の健康管理を長期的に行う事が必要ですが、県の取り組みについて考えをお聞かせください。
(7)いわき市に、独立行政法人放射線医学総合研究所(放医研)の誘致を求める市民運動があり、さる9月25日、7万6千人の署名を添えて要望書が提出されました。各種モニタリングデーターベースの構築・働く人や市民の健康調査や管理・放射線医療・海洋汚染調査などを含める内容になっているこの施設ですが、どのように考えているか伺います。

次に、

二、雇用対策について質問します。

 雇用対策では、災害にあっても引き続き商売が続けられるように支援を強めること、被災者が意欲を持って働けるようにする事が重要です。このことでさらに力を入れることを求めます。
1、緊急雇用対策では、震災特例の雇用保険の延長の対象者が8月末で約3300人終了すると言いますが、
 緊急雇用創出事業の拡充など雇用対策の強化について、県の考えをお示しください。

2、福祉関連で雇用を増やすことは重要です、介護職員の処遇改善を支援し、雇用を増やす対策について伺います。

次に

三、地域防災計画の原子力対策編の見直しと災害時要援護者対策についてです。

 災害の多い今日に生きている県民にとって関連死を1千人以上も出すような事態を2度と引き起こしてはならないと思います。
 福島県の、もともと弱かった医療と福祉部門に問題が顕在化したといえます。今度の大震災では障がいを持った人は健常者の2倍の死亡率と言われていますが、避難移送に伴う過程や避難先で亡くなったり重症化した人も多くいます。ある聴覚障がい者の方は津波はここまで来ないのになぜ避難するのかわからなかった、人工透析の方もガソリンもなく施設も受け入れてもらえなかったと言います。

 大震災を受けて避難計画の抜本的見直し、福祉関連の不備の見直しが求められています。

1、私たちは原子力防災計画での範囲を少なくとも30キロ以上に広げるべきと求めてきましたが、これまでの10キロ範囲を当然見直すべき時です。

事故時の気象状況よる広がりを踏まえ、現在の重点地域をどのように総括し見直していくのか、考えをお示しください。

2、福祉人材についてです。

 原発事故で多くの福祉人材が職場を離れ、特に今までこの分野を担っていた若い職員が避難していったことにより、より深刻になっています。今年の3月に発表された県の調査によると、県内71の老人介護施設では、震災後1年間に職員が226人減少し、およそ700人の利用者のサービス提供ができなくなったとの事です。全国からの応援は今のところ来ていますが不足は深刻です。
 県としてはどの地域でどのくらいの福祉人材が不足していると把握しているのか伺います。
 福祉人材確保のための取り組みについてお聞かせください。

3、「聴覚障害者情報提供施設」についてです。

 もっとも深刻な情報弱者である聴覚障がい者への支援は緊急を要します。1990年の国による法制化後「聴覚障害者情報提供施設の早期建設を求める請願」は、2000年2月県議会において、4万6千139人の署名をつけて提出され、全会派一致で採択されています。この施設は全国43か所にあり障がい者福祉の関連法でも必須拠点に位置付けられることになります。この大震災を受けて県は聴覚障害者協会に一定機能を持った情報支援センターを委託しましたが、公的施設ではなく各市町村との連絡体制も不十分で業務責任者のセンター長もなく、相談室や作業室などの設置もなく国の基準も満たしていません。
 「聴覚障害者情報提供施設」を急いで設置すべきですが考えをお聞かせください。

次に

四、仮設住宅支援についてです。

 「同心円に囲まれる地図の中にありし・一人一人の日常をもどせ」
 「まだ何も終わっていない、東京の雑踏を歩けば叫びたくなる」
 先日、近くにある双葉町の仮設住宅にお邪魔した時、集会所の入り口にあった短歌です。ちょうどアリオス劇場の出張サービスで、太鼓や笛などの演奏をしていました。
 皆さんとの懇談のなかで、近所の農家の方が畔道の草刈を仮設の人にしてもらったと喜んでいた、県指定文化財の三重塔が近所にあるので散歩にどうですかなど対話が進みました。
 ここは250戸・470人がいて、加須市からなどここに来たい人が多く順番待ちしてるといい、原発の状況を心配しながら故郷に戻れない中でも明日を夢見ることができるのは賠償で、新生活をスタートしながら将来のふるさとを語りたいといいます。
 長引く避難生活の中で少しでも安心できるよう支援を尽くすべきと思います。

1、各地の仮設住宅での要望を聞きますと実に多様な要望がでます。防風ネットを、空き家利用の物置に仕切りを、東電が賠償の説明に来ない、交流の場を、など、先が見通せない中では我慢も限界で一つ一つが深刻です。
 お風呂追い炊きは喜んでいます。物置は情けないほど小さくロッカーのようで自宅からの思い出の品も持って来れないといいます。
 応急仮設住宅への様々な追加工事の要望に対し、速やかな対応を求めるものですが伺います。

2、長期避難者が避難先で安心して暮らせるよう、地域での交流活動などを支援強化していく必要があると思いますがお考えをお聞かせくだい。

次に

五、いわき市が抱える問題について質問します。

 いわき市の大震災・原発事故被害は、9月25日発表では、津波などでの死亡者430人、市外に避難した人は7千7百30人です。逆にいわき市へ避難してきた人は双葉郡などから2万3千681人となっており、さらに、原発震災対策や除染基地として多くの方々が来ています。
 大震災とその後の2つの断層が動いたことにより地震の被害も深刻です。
いわき市によれば、ごみの処理や水道水の供給などは対応できるが、福祉が難しい、その中でも、医師不足と高齢者などの施設やその関連で働く人材不足問題です。
 行政による対応が追い付かず、市民と避難者の間の感情的な問題も出ています。

1、福祉関連問題についてです。

(1)いわき市への避難者のうち介護を必要としている高齢者と障がい者の人数及びこれらの方々の支援策についてお示しください。
 双葉郡で高齢者施設を経営していた方から仮設の施設を作りたいという要望もあると聞きます。しかしいわき市に作るのに双葉郡の人だけ入れるというわけにはいかないと言います。
(2)高齢者の仮設施設整備について県の支援と調整が必要と思いますが伺います。
(3)もともと医師不足のところに2万3千人の避難者がいわき市で暮らしています、県の責任で国に医師確保を求めるべきですが考えをお聞かせください。

2、一か所に大きな「避難者などの生活拠点」を作っていくと造成や水道やかなりの時間だかかると言います、また次のステップではその広大な場所をどうするかなどの課題も出てくる、そして地域に溶け込みにくい状況が出てくるのではないかと言います。
 県は「避難者などの生活拠点」について、「主導的役割を果たす」と言いますが具体的にはどのようなことですか伺います。

3、避難者を受け入れている市町村に対して、財政支援が必要ですが実態はどのようになっていますかお示しください。

4、地震の被害と住宅問題についてです。
 いわき市の地震の被害は、20万棟の建物のうち9万棟が何らかの被害を受けそのうちの半分、約5万棟が一部損壊になりました。一部損壊は災害救助法の適用はなく義援金見舞金もありません。隣同士で判定の差1点の違いで約100万円の差が出ます。どこかで切らなければならないということはわかりますが何らかの対応をしないと行政不信は増大するばかりです。
 今回の大震災対応は被災者一人一人の支援策が基本です。総合計画にも市町村を支援していくと位置づけられています。国の社会資本整備交付金を活用しての対策はありますが市町村負担が大きくいわき市だけでは対応できません。
(1)一部損壊住宅について県としての支援策を求めますがいかがですか伺います。
(2)本年3月で締め切った応急修理について受付を再開すべきと思いますが伺いまいす。
(3)住宅応急修理の受付終了前に被害調査の申請をしたにも関わらず、被害認定が受付終了後であったため、制度を利用できない被災者について、救済すべきと思いますが考えをお聞かせください。
(4)県主導でいわき市に早急な県営住宅の建設を求めるものですが伺います。

六、漁業問題についてです。

 福島県の漁業は放射性物質による汚染でいまだ自粛を余儀なくされています。試験操業が始まったものの全面的再開は見通しが立っていません。
 県の重要な産業である漁業の一日も早い操業とそのための準備に力を尽くすべきです。

1、海底土壌のモニタリング調査について、ポイントをもっと増やしていくべきと思いますが考えをお聞かせください。

2、本格操業に向けて検査機器の開発が求められています。
 検査する魚種や量が増えたりしても対応ができるような、検査体制が求められると思うが考えをお聞かせください。

3、「漁業生産力回復支援事業」・漁場の堆積物撤去ですが、漁業者から強い要望が出ています、来年度も継続を求めますが伺います。

答弁

一、原発問題について
生活環境部長
 国の収束宣言につきましては、ステップ2の完了は、事故の完全収束に向けた通過点に過ぎないものと認識しております。
 県といたしましては、引き続き、国及び東京電力に対して、廃炉に向けた中長期ロードマップに基づく取り組みを着実に進めるよう、強く求めてまいります。

知事
 原子力規制体制につきましては、本県は、かねてから原子力政策における規制と推進の分離を求めてきたところでありますが、今般、原子力規制委員会は、独立性が確保されたいわゆる3条委員会として設置され、その事務局である原子力規制庁とともに、経済産業省から分離された組織として、位置付けられたところであります。
 国に対しては、引き続き、長期にわたり必要となる廃棄物の処理や燃料の取り出し等、廃炉作業における安全確保や原子力災害に備え、本県の実状を踏まえた防災体制の整備など、県民の安全・安心の確保を最優先に、実効性のある原子力安全規制に全力で取り組むよう求めてまいります。

生活環境部長
 廃炉の安全管理に関する県の役割につきましては、国において新たな安全規制体制が整備されたこの機会に、有識者から、国による安全規制への地元自治体の関与や地元住民の参画の在り方などに関する意見をいただきながら本県独自の安全監視体制を検討してまいりたいと考えております。
 次に、原発作業従事者につきましては、東京電力からの定期的な報告によると本年4月から8月までの5ヶ月間で、年間被曝限度の50ミリシーベルトに対して20ミリシーベルトを超えた者が143人全体の約2%に上るなど、依然として厳しい環境の下での作業が継続しているものと認識しております。
 次に、原発作業従事者の作業環境に関する国と連携した恒常的機関につきましては、適切な被曝管理や労働災害の防止等について、国を含む関係機関と情報交換を行うために設けた「福島県原子力発電所労働者安全衛生対策連絡会議」を必要に応じて開催することとしております。
 次に、経費の確保につきましては、法律に基づき、原子力損害賠償支援機構と東京電力が策定し、本年5月に国が認定した「総合特別事業計画」によれば、東京電力は、廃炉作業における安全確保のため、十分な支出を行うこととされており、国、機構及び東京電力の責任において確実に取り組むべきものと考えております。
 次に、原発作業従事者の生活保障につきましては、昨年4月に、国から東京電力あての通知において、緊急作業従事者が、従事後も、就業上、不利益な取り扱いを受けることのないよう十分な配慮を求めたことを踏まえ、国及び東京電力において適切に対応すべきものと考えております。

商工労働部長
 労働実態の把握等につきましては、国が関係法令に基づき行うものと認識しております。
 県といたしましては、労働者からの様々な相談に対し、専門の相談員が助言を行うなど、引き続き、きめ細かく対応してまいります。

生活環境部長
 原発作業従事者の長期的な健康管理につきましては、国は、昨年10月に策定した指針に基づき、健康相談や被曝線量に応じた検査を、東京電力は、中長期ロードマップに基づき、国の指針に上乗せした対応を、すべての緊急作業従事者を対象に将来にわたって実施することとされております。
 県といたしましては、引き続き、国及び東京電力において、これらに確実に取り組むよう求めてまいります。

保健福祉部長
 独立行政法人放射線医学総合研究所の誘致要望につきましては、当該法人を所管する国及び法人において適切に判断されるものと考えております。

二、雇用対策について
商工労働部長
 雇用対策につきましては、雇用保険の広域延長給付の終了を踏まえ、短期の就業機会を創出する緊急雇用創出事業を拡充するとともに、安定的な雇用を行う企業への助成事業について対象範囲を拡大し、いっそうの利用促進に努めてまいります。
 これに加え、被災企業の事業再開等支援や企業立地補助を通して、多様な雇用機会の確保に取り組んでまいります。

保健福祉部長
 福祉関連の雇用対策につきましては、介護職員処遇改善加算による賃金改善や福祉・介護人材緊急雇用支援事業等により、人材確保や、働きながらの資格取得支援、職員研修などの職場環境の改善に取り組んできたところであり、今後とも、積極的に雇用の確保を図ってまいる考えであります。

三、地域防災計画の見直しと災害時要援護者対策について
生活環境部長
 原子力防災に係る重点地域につきましては、今回の事故において、国の防災指針の想定を超えて避難区域等が設定されたことから、まずは、対象区域となった13市町村に暫定的に拡大することとし、11月を目途に、地域防災計画に反映してまいります。
 今後は、国の防災指針の改定状況や県防災会議原子力防災部会における審議などを踏まえ、気象条件も考慮し、重点地域の本格設定に向けて検討を進めてまいります。

保健福祉部長
 福祉人材につきましては、今年3月に県内の特別養護老人ホーム等に対して行ったアンケートによれば、震災前と比較して相双地域で40名、いわき市で18名の介護職員が減少しており、当該地域においては、福祉人材が不足しているものと考えております。
 次に、福祉人材の確保につきましては、県が指定した福祉人材センターにキャリア支援専門員を配置し、県内各方部での就職支援セミナー、合同面接会等を開催するとともに、今年度から、高校生などを対象に社会福祉法人が南相馬市等で行うホームヘルパー2級養成研修への支援や介護福祉士等修学資金の貸付枠の拡充により福祉分野の就労支援に取り組んでおり、今後とも、積極的に人材の確保を図ってまいる考えであります。
 次に、聴覚障害者情報提供施設につきましては、今年度から、聴覚障がい者情報センターを立ち上げ、聴覚障がい者への情報提供体制の充実を図ったところでありますが、当該センターは、法に基づく基準を満たす施設ではないことから、今後の整備の在り方について、関係団体と協議してまいりたいと考えております。

四、仮設住宅支援について
土木部長
 応急仮設住宅への要望につきましては、これまでも、必要性を勘案し、追加工事を実施してきたところであり、さらに、発注の手続を簡素化するなど、速やかな対応に努めてまいりました。
 避難生活の長期化に伴い、新たな要望も予想されることから、今後とも、避難者に寄り添ったきめ細かな対応に努めてまいる考えであります。

生活環境部長
 地域での交流活動などにつきましては、避難者が避難先で不慣れな生活を送る中、避難先住民との触れあいを通じ、地域に溶け込み、安心して暮らす上で、極めて重要であると考えております。
 このため、避難元自治体をはじめ、民間団体等による交流活動などが、現場のニーズに対応して積極的に行われるよう、関係部局と連携しながら取り組んでまいります。

五、いわき市の諸問題について
保健福祉部長
 いわき市への避難者につきましては、要介護認定を受けている高齢者が、今年7月末で965名、障害者手帳等を所持している方が、現在までのところ774名確認されており、高齢者等サポート拠点やデイサービスセンターでの各種サービスの提供、障がい者への家庭訪問による相談支援等を積極的に行っているところであります。
 次に、高齢者向けの仮設施設の整備につきましては、被災施設の整備に対する財政的支援を行うとともに、整備予定地を所管する自治体の土地利用計画や介護保険事業計画などとの整合性を図りながら、関係機関と調整してまいります。
 次に、いわき市の医師確保につきましては、これまで、県立医科大学からの医師派遣、地域医療再生計画等に基づく医師の県内定着や県外からの医師支援等に加え、全国的な医療支援組織に医師派遣を要請するとともに、国に、特に浜通り地域の医師確保を要望してきたところであります。
 いわき市には、双葉郡から多くの住民が避難していること等を踏まえ、今後とも、国に対し、医師確保について強く要望してまいります。

避難地域復興局長
 長期避難者等の生活拠点につきましては、受入自治体の状況や考えをしっかりと把握した上で、整備に向けた検討を促進するため、先般、受入自治体、避難自治体、国及び県による協議会を設置したところであります。
 協議に際しては、課題の整理など、運営について県が担うほか、広域自治体として積極的に考えを示しながら、整備の実点に向け、責任を持ってしっかり取り組んでまいります。

総務部長
 避難者の受入市町村に対する財政支援につきましては、当該市町村立学校に実際に就学している児童、生徒数や生活保護の被保護者数等が普通交付税の算定に反映されるとともに、受け入れで増加したゴミ処理等の経費について、特別交付税で必要な措置がされております。
 さらに、昨年度、地域の実情に応じたきめ細かな復興への取り組みを行えるよう交付した市町村復興支援交付金の算定にあたっては、避難者受入数等も考慮したところであります。

土木部長
 一部損壊住宅につきましては、県において、国の社会資本整備総合交付金により事業実施ができるよう調整し、現在、該当市町村で取り組んでいるところであり、同交付金制度の活用により、市町村の支援に努めてまいる考えであります。

原子力損害対策担当理事
 住宅応急修理につきましては、災害救助法による応急救助の一環として実施しているものであるため、受付再開は困難であると考えております。
 次に、住宅応急修理の受け付け終了と被害認定の関係につきましては、これまで市町村と協議を重ね受付期間を大幅に延長してきたところであり、新たな対応は困難であると考えております。

土木部長
 いわき市における県営住宅につきましては、現在、約2,500戸設置しておりますが、今回の大地震及び原子力災害による多数の家屋被害や避難者の受入などから、住宅をとりまく環境が大きく変化しております。
 県といたしましては、復興公営住宅や民間住宅の需給動向を勘案しながら、県民の1日も早い居住の安定に努めてまいる考えであります。

六、漁業問題について
農林水産部長
 海底土壌のモニタリング調査につきましては、これまで、調査点数を増やしながら、沿岸域での放射性物質の分析状況を確認してまいりました。
 今後、調査をいっそう強化するため、海底土壌を採取せずに土壌の表面で簡易に計測できる機器の活用について検討してまいる考えであります。
 次に、魚介類の検査体制につきましては、漁業協同組合等の導入した簡易分析装置による自主検査との連携を強化するとともに、農業総合センター等に配置したゲルマニウム半導体検出器による検査に当たり、測定時間の短縮を図るため、一体当たりの量を増やすなど操業再開に向けた検査点数の増加にも適切に対応してまいる考えであります。
 次に、漁場の堆積物撤去につきましては、漁場生産力の早期回復のため、堆積物の分布状況を把握するとともに、漁業者からの要望を踏まえながら、事業の継続について国に要望してまいる考えであります。

再質問

宮川えみ子県議
 知事に再質問いたします。原子力規制委員会についてです。知事は、独立性が担保された、経産省から分離されたと位置づけられたというご認識のようですが、この組織は原発を推進してきた環境省の外局として設置されています。環境省は1999年以降8件12基の原発立地をめぐる環境影響評価で建設ノーを言ったことは一度もありません。環境省の外局としてつくられた組織では基本的なところで出だしから真の規制にならないことは明らかです。知事の考えをもう一度お尋ねいたします。
 次に、生活環境部長に事故収束宣言の撤回について再質問をいたします。六月議会での神山議員への答弁とほとんど同じような答弁です。私は二月の代表質問でも質問し、神山議員が六月に質問しました。部長の言う「通過点と認識をしている」ということですが、これは私も同じです。はっきり国に「収束宣言を撤回すべき」というのが私の質問ですが答弁を再度求めます。
 さらに、生活環境部長に再質問いたします。廃炉における安全管理問題です。いまご答弁されたように、自治体とかそういう方の参加で、そういう組織をつくっていく方針だと言いますが、県民の率直な意見こそもっとも今の原子力安全対策に重要な役割を果たしていくと思います。県民の率直な意見を聞くこのことについて、どのようなお考えかお尋ねいたします。
 それから同じく生活環境部長にお聞きします。原発労働者問題についてですが、部長のご答弁と、私が話を聞く多くの(原発労働者の)方たち、だいぶ違うと思います。そこで、もっと積極的にこうした働く人たちの意見を聞くように求めます。これは商工労働部長もお答えをしておりますのでその観点からもう一度再質問をお二人の部長に質問いたします。商工労働部長もお答えください。
 土木部長に再質問をいたします。一部損壊住宅支援についてです。復興計画は市町村が行う事業については広域自治体として最大限支援するといいます。いわき市は国・平野復興大臣に4月9日に4万棟を超える住宅の一部損壊で市単独では財政負担が多大になるので支援制度の構築を要望しました。さらに県には5月14日、佐藤雄平知事に一部損壊住宅を対象とした支援制度を再構築してほしいと要望しております。そこで三点土木部長に質問します。一点、県はこの要望に対しいわき市と協議をしたのですか、どのような協議の内容だったのですか。県は同じく国と協議をしたのですか、どのような内容だったのですか。いわき市の場合は社会資本整備交付金利用は可能なのですか。この三点について質問いたします。
 保健福祉部長に再質問いたします。いわき市の医師不足についてです。抽象的なお話で具体的になかなかなっておりません。「国に対して強く要望」と言いますが、どのようなかたちで要望しているのでしょうか。これは、原発問題が主要な事態を引き起こしているわけですから、必ず一定の医師の派遣が実現できるような対応策が必要と思いますが、再度質問いたします。

答弁

知事
 原子力委員会は独立性が確保されたいわゆる三条委員会として設置されておりますから、実効性のある原子力安全規制に全力で取り組むべきであるとしっかりと求めてまいります。

生活環境部長
 収束宣言につきましては、放射性物質による影響がいまなお県内全域でおよんでいる現状を踏まえれば、事故の収束には程遠いものと認識しております。引き続き廃炉に向けて県民の安全・安心を最優先に取り組むよう、国・東京電力に対し強く求めてまいりたいと考えております。
 次に、安全監視体制における県民意見の反映につきましては、現在住民参画のあり方も含めて県独自の安全監視体制を検討しているところでございます。引き続き検討を重ねてまいりたいと考えております。
 次に、原発作業従事者の安全確保の関係についてでございます。現在私ども関係者で構成される福島県原子力発電所労働者安全衛生対策連絡会議を必要に応じて開催して、情報交換をしているところでございます。そうした場でしっかりと現場の声も伺いながら、情報連絡体制を強化してまいりたいと考えております。

保健福祉部長
 いわき市における医師不足、医師の確保対策を国に強く求めるべきというお質しかと思います。県といたしましても浜通り地域の医師確保に向けて度重なる国に対する要望活動を行なっております。6月には知事を先頭に緊急要望を実施したところであります。また医師の全国組織等々もございまして、そこにこれまでも医師の派遣等々の要請をお願いいたしておりまして、現在もいわき市に医師の派遣を頂いているところであります。今後は浜通り地方医療復興計画等々に基づきまして、いわき市が医学部等に医師の寄附講座等を設けて、そこから医師の派遣等を計画されているという事業もございますので、こういった事業が効果的に実施され、いわき市に医師が派遣され確保できますように県としても積極的に支援してまいりたいと考えております。

商工労働部長
 労働実態の件でございますが、県といたしましては県庁舎内に中小企業労働相談所を設置しまして、専門の相談員を配置するとともに労働相談用のフリーダイヤルを設置してございます。労働者からのさまざまな相談に応じているところでございますので引き続ききめ細かな対応をしてまいりたいと考えてございます。

土木部長
 要望等がいわき市からございまして、いわき市とも協議をしております。昨年度、社会資本整備総合交付金を用いて援助したい、補助したいという市町村があるかどうかの聞き取り等々について協議してまいりまして、そのときに要望のあった市町村がかなりございましたので、その点につきましては社会資本整備総合交付金の活用ということで、これも国とその内容について協議させていただいた結果、社会資本整備総合交付金での対応が可能になったということでございます。またいわき市について今後対応したい旨のご要望があれば、この社会資本整備総合交付金ですでに実施済みの市町村もございますので実施できるように進めてまいりたいと考えてございます。

再々質問

宮川えみ子県議
 まず知事でございます。「全力で取り組むべきである」と知事の思いがご答弁されたわけですが、私はその思いを本物にするためには、先ほど申し上げましたような立場が必要ではないかと思うんです。知事はわが党の代表質問で「国においても原子力に依存しない社会を目指す必要がある」とお答えになっています。その思いを実現するためにも、福島県から規制委員会について、意見を言うということが大事ではないかと思います。環境省でなく独立した機関を、原子力ムラの人間は原則入れないなどの具体的なことを求めていく必要があると思いますが、もう一度答弁をお願いします。
 生活環境部長に再質問をいたします。事故収束宣言のことです。昨年12月議会で全会派一致で採択した意見書では、「収束宣言したことは当県の実態を理解しているとは言い難く、避難者の不安・不信を掻き立てる事態になっている」と指摘しました。今まさにこの事態になっているのではないでしょうか。県は県民のこの声をこそ受けて、はっきりと国に撤回そのものを求める。このことが大事だと思いますが、再度ご答弁をお願いいたします。
 土木部長に再質問いたします。昨年いわき市と協議をしていると言いました。今度要望があればと言いました。私は先ほどの質問で、今年5月14日佐藤雄平知事に一部損壊住宅を対象とした支援制度を再構築してほしいと要望書があがっているはずです。部長もわかっているはずです。それなのに、今度要望があればという答弁はいかがでしょうか。再度このことについて質問をいたします。
 漁業問題について農林部長に質問いたします。検査する魚種や量が増えたとしても対応できる検査体制ということで質問をいたしました。簡易分析器強化、ゲルマニウム半導体などで短縮できるようにすると言いますが、漁業が本格的に始まったら、これで対応できますか。私は到底できないと思います。やはり漁業再開を目指すには、今の体制では検査はなかなか難しいと思います。ですからそのための体制を今から拡充していくことが大事ではないでしょうか。簡易分析器の強化やゲルマニウム半導体で漁業が再開したときの検査体制は本当にできますか、再度質問をいたします。
 福祉関連で雇用を増やすことで介護職員の処遇改善の問題です。保健福祉部長に再質問を行ないます。いろいろご答弁をいただきましたが、私は介護職員の処遇改善に直接支援しないと非常に大変な状態は乗り切れないと思うんですね、本当に今大変な状況になっているんです。やはり介護職への直接的処遇改善の支援をご検討いただきたいと思いますが、再度ご答弁をお願いいたします。
 聴覚障害者情報提供施設です。県も(現在の対応は)法に則っていないということですので、このあり方の協議を早急にやっていただきたいと思いますが、その辺の見通しもご答弁頂きたいと思います。

答弁

知事
 原子力規制委員会については、国に対して引き続き長期にわたる必要となる廃棄物の処理、そして燃料の取り出しと廃炉作業における安全確保や原子力災害に備え、本県の事情を踏まえた防災体制の整備など、実効性のある原子力安全規制に全力で取り組むよう、求めてまいります。

生活環境部長
 収束宣言についてであります。引き続き、県民に不安や懸念の声があることを踏まえて、事故の完全収束に向けて中長期ロードマップに基づく取組みを着実に実施するように国や東京電力に対して引き続き強く求めてまいりたいと考えております。

保健福祉部長
 介護職員の処遇改善につきましては、県といたしましても本来介護報酬の中で継続的に確保されるべきものと考えております。このため、これまでも全国知事会といたしまして、本体部分できちんと措置してくださいというお願いを国に対して申し上げてきたところであります。現在国では10月より介護従事者の処遇改善がきちんと反映されているかどうかを検証を始めるということにいたしておりますので、その動向を注視しながら必要な措置を国に対しても重ねて要望してまいりたいと考えております。
 それから聴覚障害者情報支援センターについてのお質しでございます。今年度から、繰り返しになりますが、情報提供体制の充実ということで相談員さんの人件費等の措置を講じたところでございます。ただ、現在の事務所等は非常に狭隘でもございます。いま現在東分庁舎等も使用できないということで、新たな施設等々になりますとなかなか見つけるのが難しいかなという感じはありますけども、できるだけはやくスペース等々国の基準が満たせるようなセンターとなりますよう、団体の皆様と協議を重ねてまいりたいと思っております。

農林水産部長
 魚種や量が増えた場合の検査体制についてでありますが、現在漁業協同組合に県から貸与した5台を含めて7台の簡易分析装置がございます。それからゲルマニウム半導体の検出器ですが、農業総合センターの10台のほかに水産試験場等に2台がありまして、12台ございます。現在の容器で半導体検出器で分析をするのに一検体あたり2000秒かかっておりますが、検体数が増えた場合に先ほど答弁したように一検体あたりの量を増やすマリネリ容器という700ml入るもので検査しますと600秒ということで七割時間が短縮されますので、対応は可能だというふうに考えております。

土木部長
 5月の14日に知事にいわき市長からの要望を頂いていること存じております。そのときに一部損壊住宅を対象としました支援制度の再構築ということでご要望を頂いているところでございますが、繰り返しになりますが社会資本整備総合交付金を活用して市町村を支援しているということがございますので、引き続き社会資本整備総合交付金により市町村の支援をしてまいりたいと考えております。



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