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9月県議会代表質問

2012年9月27日
日本共産党 阿部裕美子

はじめに

 日本共産党の阿部裕美子です。日本共産党県議団を代表して質問いたします。
 まず最初に、日中間で大きな問題となっている尖閣諸島の領有をめぐって、中国各地で日本人に対する暴力行為や威嚇、日本関連企業や建物への破壊活動がおこなわれていますが、中国政府は、日本人、企業、大使館の安全確保に万全の対策をとるべきです。
 日本への批判や抗議を暴力で表す行動は、いかなる理由であれ許されません。日中両国政府は、国民が冷静な行動をとるよう最大限の努力をはらう責任があります。
 尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も日本の領土であることは明白です。日本共産党は9月20日、「領土問題は存在しないという立場を改め、冷静で理性的な外交交渉によって、日本の領有の正当性を堂々と主張し、解決をはかるという立場に立つべき」との申し入れを政府に行いました。
 翌日は、志位委員長が駐日大使と申し入れに沿って会談を行いました。

 先日行われた民主党の代表選挙は野田総理が再選されました。しかし、政策が変わるわけではありません。原発再稼働、TPP推進,消費税増税推進は自民党とも全く同じであります。自民党総裁選で選ばれた安倍総裁はじめ立候補した5人の候補がそろって「憲法の改正」を掲げました。「橋下・維新の会」にすりよる動きもあります。
 この方向では国民が不信を強めている政治の閉塞(へいそく)を打開する展望は見えてきません。
 先の通常国会で、民主党・自民党・公明党の三党合意で決められた消費税増税と社会保障削減は被災地の復興への努力に冷水を浴びせるものです。「消費税が上がったら店を閉めるしかない」との悲鳴が上がっています。日本共産党は、被災地の復興の障害となり、日本経済を破たんさせる消費税増税ありきの道ではなく、(1)「能力に応じた負担の原則」に立って税・財政を改革すること。(2)国民の懐を温めて経済を立て直すという「消費税増税に頼らない別の道」があること提案しています。
 国民の命と暮らしを守る国民の願いにこたえることが政治の最大の使命であることを申し上げ、最初に原発問題から質問いたします。

1、原発事故問題について

 東日本大震災、原発事故から1年6か月が過ぎました。国による警戒区域の見直しが進められていますが、ほとんどの人は帰れる見通しが立っていません。「生きているうちに帰れないだろう」と肩を落とすお年寄りの姿が脳裏を離れません。いまだに16万人の県民がこれから先の行先も定まらず、避難生活を余儀なくされています。
 福島県民にとって政府の収束宣言などとても認められる状況ではありません。福島県民の思いは原発ゼロであることは政府が福島市で開催したエネルギー環境聴取会でもはっきり証明されました。
 この間の原発事故をめぐる変化は、1、原発事故が収束せず、被害がなお拡大していること。2、原発再稼働の条件がないこと。3、処理ができない使用済み燃料がたまり続けることが世論も注目してきていること。4、国民世論が大きく変化して「原発ゼロ」が多数派になり、パブリックコメントでも8割を占めたことに表れていると思います。
 いま、私たちに問われていることは原発事故の悲劇を二度と繰り返えさせないためになぜこのような事故に至ったのか、なぜ県民を守ることができなかったのか、事故の徹底解明を行い、事故を教訓とすること。即時原発ゼロを発信し、福島県民が大同団結して、原発に頼らないふくしま復興を実践で示すことではないでしょうか。
 しかし、原発を推進してきた財界やアメリカは原発の存続・維持で政府に露骨な介入をしています。こうしたもとで野田政権は「2030年代に原発ゼロを可能にする」ことを盛り込んだ「エネルギー・環境戦略」の閣議決定さえ見送りました。結局、原発再稼働は容認し、中断している原発の建設を再開し、使用済み核燃料再処理も続行であります。財界やアメリカの要望には応え、直ちに原発から撤退するよう求めた、国民世論には背くものと言わざるを得ません。そこで伺います。

(1)事故に直面した福島から、すべての原発からただちに撤退する「原発ゼロ」の政治決断を政府に求めるべきではないでしょうか。見解を伺います。
 まず、本県の原発10基廃炉を国に明言させ、そのうえで今後廃炉に向けた工程を明らかにさせることが必要だと思います。知事の見解を伺います。
(2) 福島原発の事故の原因究明を行い、国民に情報公開をすることを国と東京電力に求めるべきと思いますが見解を伺います。
(3)東京電力のテレビ会議のビデオ内容を編集なしで、すべてを全面公開させることを求めるべきと思いますが見解を伺います。
(4)四つの事故調査報告でも指摘をされていますが、福島県の対応についても検証が必要です。「県の事故調査委員会」をつくり、事故の経過から今後の対応に至るまで、県の対応を検証すべきと思いますが見解を伺います。
(5)こんどの原発事故にあたって、防災計画はほとんど実行されませんでした。今回の事故の教訓を踏まえ、「地域防災計画原子力災害対策編」の見直しを急ぐべきと思います。見解を伺います。

2、福島県の総合計画について

 次に福島県の総合計画について伺います。
 大震災と、原発事故を踏まえた総合計画の見直しが行われています。福島県はまだ復興の緒にも就かない状況にあり、全面的な行政の支援が強く求められています。今日の現状をつくりだした原因が国と東京電力による安全神話に浸って、必要な対策を講じてこなかったことによる「人災」であることを明確にし、必要なあらゆる対策を国と東電にもとめる姿勢を鮮明にすることです。すべての県民が被災者であるとの立場に立って、一人一人の暮らしと生業を復旧、再生させることが、福島県再生の課題であることを明確にすべきであります。
(1)総合計画の見直しはこれまでにとらわれずに、県民の一人一人の暮らしと生業を取り戻すことを基本となるものとすべきです。見解を伺います。
(2)震災被害が子どもや高齢者、障害者や病気の方など、弱い立場にいる方たちに強くのしかかることが今度の震災でも鮮明になりました。医療・教育・福祉がもっと整備されていればこれほどの被害を受けることはなかったのではないかと残念に思われることが多々あります。これを教訓にして、総合計画は医療・教育・福祉を重視した内容にすべきと思いますが見解を伺います。

3、賠償問題について

 次に賠償問題について伺います。
(1)原発事故の賠償については加害者と被害者が決して入れ替わることはありません。被害者は何の落ち度もないのですから、東京電力や国の加害責任を明確にして、全面的にその責任で元の生活を取り戻すことが必要です。加害責任があいまいにされ、東電が「基準」を押し付けることは許されません。失ったものは住んでいた家、生活基盤であり、精神的被害が加わりました。
 原子力災害の被害者がそれぞれの移転先で生活基盤を回復できるだけの賠償、生活基盤の再取得価格の賠償がされなければなりません。これは当然のことと思いますが県はどのように考えているのか見解を伺います。
(2)東京電力が示した「賠償基準」が公開されていますが失った財産の再取得にはほど遠いものにとどまり、被災者からも不満の声が上がっています。原発事故さえなかったら発生しなかったであろう被害はことごとく賠償するという立場に立つことが必要です。財源は確保できます。使用済み燃料処理の積み立ててきた4・8兆円、さらに原発推進で大きな利益を上げてきた原発利益共同体に負担をしていただくことです。
 国は避難指示区域の見直しを受け入れないと賠償に応じないとの不当な態度をとっていますが、この現状を県はどのように認識しているのか伺います。
(3)賠償は生活と生業を再建することができる十分なものとなるよう国と東京電力に求めるべきと思いますが、見解を伺います。
(4)この間、完全賠償をさせる県北の会が提出した請求書が突き返されたり、賠償請求書を提出しても、なかなか賠償してもらえないとの声があちこちから聞こえてきます。速やかに賠償を進めさせるために、5月31日以降開かれていない、知事が会長を務めている福島県原子力損害対策協議会を速やかに開会し、国と東京電力に対し、誠実かつ迅速な賠償を求めるべきと思いますが見解を伺います。

4、除染について

 次に除染について伺います。
 住み続けることができる福島を取り戻すうえで除染は欠かせない問題ですが、思うように進んでいないのが現状です。
 除染事業を推進させるために、県市長会がまとめた要望書が提出されました。改善点が要約されています。そこで次の三点について伺います。
(1)除染事業については、国の責任で各市町村に現地担当者を配置するなどの人的支援を実施すべきと思いますが見解を伺います。
(2)県も市町村の推進体制整備を積極的に支援すべきと思いますがいかがでしょうか、伺います。
(3)また、除染業務委託設計の基礎となる積算基準等を示すよう国に求めるべきと思いますが、見解を伺います。
(4)次に森林除染について伺います。
 環境省の環境回復検討会において、生活圏への影響は極めて少ないとして森林除染は不要とする方針案が示されましたが、約7割が森林である福島県にとっては生活に欠かせない問題であります。森林から流れ出る汚染水が農用地に用いられていて、森林の除染なくして生活の安全・安心はなしえない地域もあり、森林除染は不要とすることをそのまま認めるわけにはいきません。
 森林に携わってきた方々は、枝打ちや間伐を行い、下草刈りを行うなど山を管理することが除染につながるといわれます。
 除染のための伐採事業と森林整備事業を組み合わせた山づくり事業を起こし、森林・林業・木材関係者の仕事を確保することも必要だと思います。森林整備と組み合わせた除染にどのように取り組んでいく考えなのか伺います。
(5)次に県北浄化センター汚泥問題について伺います。
 センター内にたまり続けている汚泥は1万9千トンを超え、テント数にして60という深刻な事態です。住民を苦しめていた悪臭対策は実施され改善されましたが、県北浄化センターの汚泥処理についてはあくまでも地元の合意の上で進めるべきと思います。見解を伺います。

5、県内労働者の命と健康を守るための対策について

 県内労働者の命と健康を守るための対策について伺います。
 事故収束にあたる原発労働者の約65%は福島県民ですが、放射線量測定機に鉛をかぶせて仕事をさせたり、ずさんな健康管理や重層下請け構造でのピンハネ、危険手当の未払い、違法な派遣労働の実態が次々に明らかになっています。技術も熟練している原発労働者を安定的に確保するためにも、それにふさわしい処遇をされてこそ、働き続けることが可能になります。
(1)下請けを含め、原発事故の収束作業に従事し、復興の最前線で働く原発労働者の役割、重要性について、県はどのように考えているか見解を伺います。
(2)復旧・復興の中心的役割を担う国や地方自冶体の職員の健康状態も限界を超え、多くの職員がメンタルの不調を訴えています。郡山市ではこの間、4人の職員が過労死・過労自殺で亡くなるという深刻な事態が発生しています。このようなことをなくすためにも、
県および市町村職員の増員が求められていると思います。県はどのように対応するのか見解を伺います。
(3)放射能汚染への不安から「避難退職」を選択する労働者も後を絶ちません。夫が仕事の関係で福島県の自宅に残り、妻と子どもは他県に避難するという「自宅単身赴任」という新しい言葉まで生まれています。家族みんなで過ごし、保養することも必要です。
 有給による「避難休暇制度」を導入した企業に補助金を出す仕組みをつくるように国に求めるべきと思いますが見解を伺います。

6、被災者・避難者支援について

 次に、被災者・避難者支援について伺いします。
(1)避難所を転々としながら体調を崩し、亡くなられた方など震災関連死は千人を超えました。「先祖代々築き上げてきた田や畑、家を自分の代で亡くしてしまうのか。その悔さ、辛さを誰にぶつければいいのか」「これからの自分の人生、どこで、どう生きていけばいいのか。」など、避難者の悩み、不安はつきません。仮設住宅の中でひきこもりになってしまう人。急に老いてしまう人。要介護や要支援になる人が増えているなど避難生活での困難さはより深刻になっています。避難生活が長期になることが予想される中で一人一人に寄り添った支援が一層求められています。県は避難者支援のあり方についてどのように考えているのか伺います。
(2)このような時に国は避難指示地域以外の住民の国保税と医療費一部負担金の免除に必要な費用を負担する「特例措置」を9月末で打ち切るとしました。
 生活が一層厳しくなっている時に医療費の負担が増えればどうなるか想像に難くないでしょう。困難な状況におかれている方たちを無慈悲に切り捨てて復興になるでしょうか。
 今回の国の「特例措置」の打切りで国民健康保険税と医療費一部負担金の減免を継続するとしている市町村をお示し下さい。
(3)また介護保険、後期高齢者医療制度についてはどうでしょうか。伺います。
(4)国に特例措置の継続を求めると同時に、市町村負担にならないよう県としての対応を行うべきと思いますが見解を伺います。
(5)県内の自主避難者の支援については災害救助法の支援対象となっているにもかかわらず、県外の自主避難者と同等の支援が行われておりません。県議会において、県内自主避難者に対して災害救助法運用を求めることについての請願も採択され、副知事も国に要請に行きましたがいまだに何の支援もありません。そこで、県内の自主避難者に対する借り上げ住宅について、まず、県が支援を行うべきと思いますが見解を伺います。
(6)自主避難者で住民票を移していない子どもの修学が公立学校で許可されず、やむなく私立学校に入学せざるを得ないという事態が生まれています。すべての子どもたちの教育を受ける権利の侵害であり、住民票を移動していない自主避難の児童生徒が、避難先の市町村立学校に転入できるようにすべきと思いますが県教育委員会の見解を伺います。
(7)福島県が支給する県南地区と会津地方の県民に対する給付金について、県内に住民票がなくても、県内に生活していて事故にあった被災者にはもれなく支給すること。支給にあたっては4項目の同意事項を支給条件とすべきでないと思いますが、見解を伺います。
(8)暮らしの再建の土台は「住まい」の確保です。復興公営住宅の建設を急ぎ、県営住宅を早期に提供できるよう具体化すべきと思いますが見解を伺います。
特定避難勧奨地点の指定は地域コミュニティを破壊し、地域をバラバラにするという深刻な状況を生み出しています。和気あいあいと暮らしていた地域の生活を取り戻すために、支援策が必要であることを指摘をしておきます。

7、県民の健康管理体制、医療、福祉の充実を

 次に県民の健康管理体制・医療・福祉の充実について伺います。
 放射能被曝のもとで県民の健康を維持していくための総合的・長期的な体制をつくっていくことは重要課題であります。県が行った県民健康管理調査の回収率は22.9%にとどまっていますが、原発事故の時に福島県にいたことを証明する重要なものとなります。これが長引くほど回収は難しくなります。
(1)調査票を大事なポイントのみを記入する思い切って簡易なものにしてはどうかと思いますが見解を伺います。
(2)国勢調査並みの体制を取り、調査票回収を一気に進めてはどうでしょうか。見解を伺います。
(3)10月から県内すべての子どもの医療費が18歳まで無料となり、大変喜ばれています。健康問題は県民全体の問題でもあります。今後、長期に経過を見ていかなければなりません。
 すべての県民の医療費を無料にすべきと思います。見解を伺います。
(4)また県民が無料で受診できる健康診断、がん検診の体制をつくる必要があると思いますが県の見解を伺います。
(5)医師不足はこれまでの状況に加えて、放射能被曝が追い打ちをかけています。二本松社会保険病院では来年4月から産科が休診となってしまい、避難されている方や里帰り出産など年間4百人を超える方が出産していた場所がなくなってしまいます。県民の命と健康を守っていくために非常事態となった福島県に対して、不足している看護師や医師の確保を国の責任で行うよう国に強く求めるべきであると思います。見解を伺います。
(6)障がい者、病人、高齢者など要援護者には震災時に命をつなぐために必要な医療と避難施設の連携が取れるシステムが必要です。医療との連携がとれる「福祉避難所」を県内の一定の地域ごとに確保することを求めますが見解を伺います。

8、再生可能エネルギーについて

 次に再生可能エネルギーについて伺います。
 福島県は再生可能エネルギーの宝庫です。豊かに存在している資源を積極的に活用して発電を行うことは原発に頼らない福島復興にとっても重要課題です。土湯温泉の蒸気利用発電や小水力発電の試み、山林未利用材を燃料としたバイオマス発電システムの取り組みが始まっています。
(1)メガソーラーなどの大型推進だけではなく、地元の住民が参加し、地産地消の産業として地域の雇用拡大や産業の活性化につながる地域循環型経済に貢献するためには地元中小企業等の参入を支援する取り組みが大切だと思いますが見解を伺います。
(2)住宅太陽光発電についても支援制度の拡充を行うべきと思いますが県の考えを伺います。
(3)県有施設や学校などの公共施設・特に県立学校への太陽光発電の導入をすべきと思いますが見解を伺います。

9、教育問題について

 次に教育問題について伺います。
 福島県の子どもたちはさよならもいえずに友達と別れなければならなかったり、親や祖父母と離れ離れになったり、外で元気に遊べなくなったり、心無い差別を受けたりと、地震、津波、放射能被曝の中で、つらく悲しい体験をたくさんしました。未来に生きる子ども達がこの困難を乗り越えて、生きる力をつけて、希望を持って羽ばたいていくことができるように、教育が担わなければならない役割は強調しすぎることはない大きな問題だと思います。知事は日本一子どもを育てやすい福島県にすることを表明していますが、そのために具体的に何をするのか実践で示すべきだと思います。
 ふくしまからはじめようはまず教育からではないでしょうか。
(1)世界の先進に並ぶ、思い切った対応が待ち望まれています。複数担任制による少人数学級を実現するためにも、正規教員を増員すべきと思いますが見解を伺います。
(2)児童虐待が社会問題になっている時、福島県にはまだ未設置の「情緒障害児短期治療施設」が必要とされています。県の見解を伺います。
(3)いじめ自殺が報道されていますが公立学校におけるいじめの早期発見や未然防止にどのように取り組んでいくのか伺います。
(4)すべての県立学校、市町村立小・中学校にエアコン設置が必要と思いますが見解を伺います。
(5)市町村立小・中学校、の耐震化を急ぐべきと思いますが見解を伺います。
(6)同じく、私立幼稚園の耐震化を急ぐべきと思いますが見解を伺います。

10、オスプレイ配備と低空飛行訓練について

 最後に、米軍の新型輸送機オスプレイ配備と低空飛行訓練について伺います。世界各地で墜落などの事故を起こしている欠陥飛行機を、世界一危険とされる沖縄の普天間基地に配備するなど、到底認められないと沖縄では超党派の運動が大きく盛り上がっています。オスプレイ断固反対の県民大会に10万人が参加し、県議会議長や那覇市長、各界会長が「私たちには子や孫を危険から守る責任がある」と訴えました。オスプレイ配備は福島県にとっても他人ごとではありません。低空飛行訓練ルートは原発事故で避難している地域の阿武隈山系上空や、絶滅危惧種であるイヌワシの営巣地である会津地方の上空が訓練ルートに含まれています。国に対して、オスプレイ配備反対、低空飛行訓練反対の明確な意思表示をすべきと思いますが見解をお伺いして私の質問を終わります。

以 上

答弁

一、原発事故問題について

知事
 「原発ゼロ」の決断を政府に求めることについてであります。
 私はこれまで、国や電気事業者に対し、原子力発電所事故の一刻も早い収束を求めつつ、県民が安全で安心して暮らせる福島県を取り戻すため、復興計画において「原子力に依存しない持続的に発展可能な社会づくり」を基本理念に掲げ、全力で復旧・復興に取り組んでまいりました。
 わが国におけるエネルギー政策につきましては、本県での原発事故がもたらした広範囲かつ深刻な被害の現実を踏まえて、国においても原子力に依存しない社会をめざす必要があると考えており、先に政府において決定された「革新的エネルギー・環境戦略」に基づき着実に進められていくものと考えております。

企画調整部長
 県内原発の全基廃炉につきましては、県として国及び電気事業者に対し、引き続き強く求めてまいる考えであり、廃炉に向けた工程につきましては、廃炉の決定を受けて明らかにされるものと認識しております。

生活環境部長
 原発事故につきましては、今月19日に発足した原子力規制委員会において、事故原因の究明を継続し、得られた知見のすべてを安全性の向上に反映することとされております。
 また、東京電力においても、今月11日に、社外の専門家から構成される「調査検証プロジェクトチーム」を設け、主要な事故調査報告書の論点を踏まえて課題と対策の方向性の整理を行うこととされております。
 県といたしましては、国及び東京電力に対し、これらに確実に取り組むよう求めてまいります。
 次に、テレビ会議映像の公開につきましては、事故の原因者である東京電力自らが説明責任を果たすため、原因究明に必要なすべての情報の速やかな公開に努めるべきものと認識しております。
 次に、県の対応の検証につきましては、防災関係機関等へのアンケート調査やヒアリングの結果、政府、国会双方の事故調査委員会の指摘等を踏まえ、現在、事故への備えも含む初動対応に関する問題点の検証作業を行っているところであり、今後、速やかにこれらの結果を取りまとめ、公表してまいります。
 次に、地域防災計画につきましては、原子力災害発生時における初動対応の見直しの一環として、防災対策を講ずべき重点区域の暫定的な拡大や関係市町村への通報連絡の強化等について検討しているところであり、本年11月を目途に見直しを完了してまいります。
 今後は、国が改定する防災指針等を踏まえ、原子力緊急事態における避難指示基準の見直しや緊急時モニタリング体制の再構築等について検討することとしており、来年3月を目途に、これらの防護措置の具体化を図ってまいります。

二、福島県の総合計画について

企画調整部長
 総合計画の見直しにつきましては、本県の復興を図る上で、県民1人1人の生活基盤を再建することが不可欠であることから、避難されている方の生活再建はもとより、除染や県民の健康管理を進めるとともに、医療供給体制の整備や福祉サービスの充実、農林水産業や製造業などの再生、商業やサービス業の活性化を図るなど、すべての県民が安心して住み暮らせることができるよう、計画の見直しに取り組んでまいる考えであります。
 次に、総合計画における医療・教育・福祉の位置付けにつきましては、本県の将来を展望する上で、極めて重要な視点であると考えております。
 このため、医療、教育、介護・福祉をそれぞれ独立した政策分野と位置付け、医療供給体制の再構築や充実、医師や看護師の確保、豊かな心や確かな学力の育成、介護保険サービス提供体制の整備、障がい者の生活支援などを盛り込む考えであります。

三、賠償問題について

原子力損害対策担当理事
 住宅等の生活基盤の再建に向けた賠償につきましては、帰還、移住のいずれを選択した場合においても、財物賠償はもとより精神的損害や就労不能損害等の賠償金の一括払いなどにより、生活再建につながる賠償がなされるべきであると考えております。
 次に、避難指示区域の見直しに伴う財物損害等の賠償につきましては、避難指示解除までの期間に応じて行われることとされておりますが、国、東京電力に柔軟な対応を求めてきた結果、区域の見直しが完了しない場合でも、精神的損害等については12ヶ月分の賠償がなされることになりました。
 今後とも、被害の実態に見合った賠償が迅速になされるよう努めてまいります。
 次に、生活と生業の再建に向けた賠償につきましては、就労不能損害等に対し、被害者のそれぞれが生活政権できるまで十分な賠償期間を確保するとともに、迅速かつ円滑な賠償がなされるよう、引き続き、関係団体、市町村と共に、国、東京電力に求めてまいりたいと考えております。

知事
 原子力損害賠償についてであります。
 私が会長を務める福島県原子力損害対策協議会は、昨年7月の設置以来、国の原子力損害紛争審査会における審議や「指針」の策定状況、東京電力による賠償の動向等に的確に対応し、「総決起大会」の開催や公開質問の実施、国、東京電力への直接の要望・要求など、原子力損害賠償の完全実施に向け、一致団結して活動してきたところであります。
 今後も、東京電力による「賠償基準」の策定や賠償金の支払いにおける課題等を見極めた上で協議会を開催し、すべての原子力損害に対し、誠意ある迅速な対応を求めることはもとより、最後まで確実かつ十分な賠償がなされるよう取り組んでまいる考えであります。

四、除染について

生活環境部長
 除染事業の国による市町村への人的支援につきましては、現在、福島環境再生事務所職員が直接、巡回訪問や相談対応を行うほか、国の調整のもとで仮置き場の設計などに関する技術的な助言を行う専門家の派遣を行っております。
 今後は、これらに加え、日本原子力学会などの関係団体と連携し、除染現場において適切な支援ができる専門家を派遣するなど、国に対して、各市町村のニーズに応じた人的支援のいっそうの充実を求めてまいります。
 次に、県による市町村支援につきましては、契約の締結段階においては、発注に必要な契約手続例や共通仕様書・積算基準例等を作成し、市町村に提供すると共に、これらを活用するための職員向けの説明会を開催しております。
 また、契約の実施段階においては、事業者による履行状況を適切に確認できるよう、市町村の求めに応じて業務管理者を派遣しているほか、除染手法や財源の手当などに関する様々な個別相談に対応しております。
 今後とも、市町村における除染の進捗状況に応じて、きめ細かく支援してまいります。
 次に、積算基準等につきましては、国は、本年5月に、除染特別地域の除染に係る積算基準を、県は、本年8月に、それ以外の地域の除染に係る積算基準例を作成したところであります。
 今後は、資材の価格動向等を踏まえ、適宜、見直しが必要となることから、国において、両者の整合性を図りながら、県が作成した積算基準例を取り込んだ形で、全体を調整するよう求めてまいります。

農林水産部長
 森林整備と組み合わせた除染につきましては、従来の森林施業の技術を生かした極めて有効な手段と考えております。
 県といたしましては、間伐等の森林施業と除染を一体的に進める施策について国に対して提言しているところであり、森林の再生を効率的に進めるため森林所有者や林業従事者の理解と協力を得ながら森林の計画的な除染に取り組んでまいる考えであります。

土木部長
 県北浄化センターの汚泥処理につきましては、これまでも周辺住民に対して十分な説明を行いながら臭気対策などを実施してきたところであり、今般、設置することととした乾燥施設など新たな取り組みにつきましても、これまでどおり丁寧に説明を行いながら進めてまいる考えであります。

五、県内労働者の命と健康を守るための対策について

生活環境部長
 原発作業従事者につきましては、継続的に十分な要員を確保するとともに、安心して働くことができる環境を整備することが、今後の廃炉作業を着実に進めるにあたって、極めて重要であると考えております。
 このため、今月7日に県が開催した関係機関との協議の場において国には、長期的な要員確保に向けた取り組みを、東京電力には、被ばく低減対策など、作業環境の改善に向けた取り組みを強く求めたところであります。

総務部長
 県及び市町村職員の増員につきましては、これまでも、全国知事会や総務省等を通じた職員派遣要請などにより、人員の確保に努めてきたところであります。
 今後、さらに、県におきましては、知事部局の職員定数を増員し、執行体制を強化するとともに、市町村に対しましては、各自治体の状況に応じ職員採用に積極的に取り組むよう、連絡会議等を通じた助言に加え、県からの職員派遣を検討するなど、必要な支援に努めてまいる考えであります。

商工労働部長
 企業が設ける有給の「避難休暇制度」につきましては、法定以外の休暇として、各企業がそれぞれの事情に応じて個別に付与要件を定めるものであることから、これに対して、国の補助制度の創設を求めることは難しいものと考えております。

六、被災者・避難者支援について

原子力損害対策担当理事
 避難者支援の在り方につきましては、避難生活が長期化する中、避難者の多くが今後の生活や健康に対する不安など様々な課題を抱えており、その思いやニーズに的確に対応した取り組みが必要であると考えております。
 このため、避難元市町村はもとより、受入自治体や関係団体等との連携の下、生活相談や交流の場づくり、さらには、きめ細かな情報提供等を通じてきずなを維持し、ふるさとへの帰還に結びつくよう、避難者に寄り添った継続的な支援に努めてまいります。

保健福祉部長
 国民健康保険税の減免を継続することとしている市町村につきましては、須賀川市など5市町、医療費一部負担金の免除については、白河市など16市町村となっております。
 次に、介護保険の減免を継続することとしている市町村につきましては、保険料で、須賀川市など3市町、利用者負担については、白河市など13市町村となっております。
 また、後期高齢者医療制度については、福島県後期高齢者医療広域連合において、保険料及び医療費の一部負担金ともに減免を継続しないこととしております。
 次に、特例措置の継続につきましては、今年6月の復興に向けた緊急要望において継続を要望しておりましたが、国の終了の方針を受け、先月、岩手県、宮城県との3県連名で改めて強く継続を求めたところであります。
 次に、特例措置の終了に伴う県の対応につきましては、国保税及び一部負担金については、県調整交付金により、国の8割補助対象の場合には1割の補助を上乗せし、国補助対象外の場合は、9割を補助することとしております。
 また、介護保険については、市町村の判断により減免を継続した結果、介護保険財政に支障が見込まれる場合には、県の介護保険財政安定化基金の貸付により対応してまいりたいと考えております。
 なお、後期高齢者医療制度については、福島県後期高齢者医療財政安定化基金の交付を検討しておりましたが、広域連合の判断により減免の継続には至りませんでした。

原子力損害対策担当理事
 県内の自主避難者に対する借り上げ住宅につきましては、災害救助法の適用がなされるよう、再三にわたり要望してきたところですが、国は、発災から1年以上経過している状況を踏まえ、応急救助を目的とした同法ではなく、新たに成立した子ども・被災者支援法等での対応を検討すべきとしております。
 県といたしましては、原子力災害という特殊な状況に鑑み、現に困窮している県内自主避難者を早急に救済するため、災害救助法による支援を引き続き国に強く要請してまいる考えであります。

教育長
 住民票を異動していない自主避難の児童生徒の転入につきましては、学校教育法施行令の規定に基づき、関係市町村教育委員会間の協議を経て、受入校を設置する市町村教育委員会が承認した場合に可能になります。

原子力損害対策担当理事
 県南、会津、南会津地域の住民への給付金につきましては、給付目的の周知や重複受給の防止等を図るため、4項目の同意を求めるとともに、震災発生時に、生活の本拠が対象の3地域にあったことが客観的に認められる場合は、住民登録にかかわらず給付することとしております。

土木部長
 復興公営住宅につきましては、原子力災害による避難者の生活再建に向け、1日も早く供給する必要があることから、県営住宅の整備に着手することとしたところであります。
 今後は、用地取得や設計等を速やかに実施し、早期に提供できるよう取り組んでまいる考えであります。

七、県民の観光管理体制、医療、福祉の充実について

保健福祉部長
 基本調査の調査票につきましては、県民健康管理調査検討委員会における検討の結果、原発事故後、空間線量が高かった時期の外部被曝線量を推計するためには、行動記録と線量マップ情報を下に推計することが適当とされ、そのため、現在の調査票としたところであります。
 なお、行動の記憶が曖昧なところは「不明」として提出いただければ、事務局においてないよう確認のお手伝いをさせていただくなどの対応を行っております。
 次に、基本調査調査票の回収につきましては、これまでも、新聞やラジオ等による広報、書き方説明会の開催、企業等への働き掛け、看護学生ボランティアによる戸別訪問などに取り組んでまいりましたが、今後は、特に、仮設住宅等に避難されている県民を対象とした戸別訪問等に重点的に取り組み、回収率の向上に向け努力してまいる考えであります。
 次に、県民の医療費につきましては、放射線被曝に起因する健康被害が発生した場合に、医療費の無料化等の援護措置が国の責任において講じられる必要があると考えており、その旨が、福島復興再生特別措置法に基づく復興再生基本方針に規定されたことから、今後の国の対応を注視してまいる考えであります。
 次に、健診の無料化につきましては、従来からの特定健診やがん検診については、その実施主体である市町村や医療保険者等の判断によるものと考えておりますが、県民健康管理調査において取り組んでいる避難区域等の住民に対する特定健診への健診項目の上乗せや、健診対象者の拡大については、県の負担によって実施してまいる考えであります。
 次に、看護師や医師の確保につきましては、本県の医療供給体制を回復・強化していく上で喫緊の課題であることから、県では、これまで、医療機関の人材確保の取り組みへの支援や、修学資金の拡充による医師・看護師の確保など、独自に様々な取り組みを展開するとともに、国に対しても人材の確保を強く要請してきたところであります。
 今後とも、引き続き長期的な医師確保対策や全国的な看護職員派遣の取り組み等について要望してまいる考えであります。
 次に、福祉避難所につきましては、東日本大震災のような複合災害により広域避難が必要となった場合でも、要援護者に適切に対応できるよう、避難所の体制を整備する必要があることから、今月、県内市町村・関係団体等を対象とした福祉避難所に関する説明会を開催し、制度の周知を図ったところであります。
 今後、医療を必要とする要援護者がより安心して避難できるよう、福祉避難所と医療機関等が事前に協定を締結するなど、連携強化の取り組みを促進してまいりたいと考えております。

八、再生可能エネルギーについて

商工労働部長
 再生可能エネルギー分野への中小企業等の参入支援につきましては、7月に産学官からなる研究会を立ち上げ、大学や産業技術総合研究所等との連携強化に努めているほか、研究開発助成により商品化への取り組みを促進しております。
 さらに、11月に展示会を開催し、ビジネスマッチングなどを通じて参入促進を図ってまいりたいと考えております。

企画調整部長
 住宅太陽光発電の支援制度につきましては、派遣と比べ非常に有利な補助事業を今年度新たに創設し、普及に努めた結果、当初の予定を超える申し込み実績ががったことから、さらなる普及促進を図るため、今回、約1,000件分に相当する増額補正予算を計上し、支援を拡充してまいりたいと考えております。

教育長
 県立学校への太陽光発電の導入につきましては、現在、改築工事を行う福島高校や保原高校など5校に、太陽光発電設備を計画しているところであり、今後とも、導入について検討してまいる考えであります。

九、教育問題について

教育長
 正規教員の増員につきましては、教員数はいわゆる標準法により決定されるものでありますが、今後の児童生徒数の推移や退職予定者の動向等を見極めながら、正規教員を増員できるよう努めてまいる考えであります。

子育て支援担当理事
 情緒障害児短期治療施設につきましては、虐待や発達障がいなどにより軽度の情緒障がいを有する児童に対して、本県においては、児童相談所と各児童養護施設が連携しながら、専門的ケアの充実に努めているところであります。
 今後は、こうした児童へのより効果的な支援策を検討する中で、情緒障害児短期治療施設の在り方についても研究してまいりたいと考えております。

教育長
 いじめに対する取り組みにつきましては、各学校において、いじめの予兆を見逃すことのないよう日頃から児童生徒の理解を深めるとともに、定期的なアンケート調査や個別面談等を実施し、早期発見に努めております。
 県教育委員会といたしましては、道徳教育や人権教育を推進し、児童生徒の豊かな人間性を育むとともに、24時間いじめ電話相談やスクールカウンセラー等の配置により、教育相談体制の充実を図り、教員と関係機関が連携しながら、いじめの未然防止、早期対応に努めているところであります。
 次に、県立学校に係るエアコン設置につきましては、保健室、情報処理室等の特別教室等において、必要な整備を行っております。
 次に、市町村立小中学校に係るエアコン設置につきましては、市町村が主体的に判断すべきものと考えております。
 次に、市町村立小中学校の耐震化につきましては、災害復旧事業の活用のほか、国庫補助率のかさ上げ措置が延長されたことや地方財政措置の拡充により実質的な地方負担が大きく軽減されたこと等を踏まえ、国庫補助事業の活用を促すなど、市町村が行う耐震化事業を積極的に支援してまいる考えであります。
 次に、私立幼稚園の耐震化につきましては、国の耐震補強工事に係る補助制度のいっそうの周知を図るとともに、耐震化に要する費用を低利で融資する福島県私学振興基金協会への原資の貸付を行うなど、引き続き設置者の負担軽減を図りながら耐震化の促進に努めてまいります。

十、オスプレイ配備と低空飛行訓練について

直轄理事
 オスプレイの配備と飛行訓練につきましては、わが国の外交防衛に関することであり、基本的には、国の責任において対応が図られるべきものと考えております。
 県といたしましては、県民の安全・安心を確保する立場から、全国知事会や北海道東北地方知事会を通じ、政府に対して、飛行訓練等の具体的内容を明らかにすることや、関係自治体の意向を十分尊重して対応することなどを要請しているところであります。
 今後とも、政府の対応を注視するとともに、引き続き、情報の収集に努めてまいる考えであります。

再質問

阿部裕美子県議
 はじめに、知事に、原発問題で伺います。原発の国の施策については、まるで福島県のこの困難な状況が見えないかのようなものであると思います。いま原発問題で大きく問われていることは、原発ゼロを望む国民世論に逆らって、原発再稼働を容認して、原発に固執し続けるのか、いま政府は2030年代に原発ゼロと言っていますが、これは事実上の棚上げではありませんか。建設中の原発を建設していく。そうなりますとこれは50年代まで稼働することになります。諸外国ではドイツ・イタリア・スイスなど福島原発事故に学んで“原発はもうやめる”すべて廃炉にして着々と原発のない社会に向かって努力が進んでおります。福島原発事故という重大な事故を体験したこの日本こそ、その立場に立つべきではないでしょうか。しかし実際には大飯原発の再稼働、そして海外への原発輸出、原発に固執する政策からきっぱり足を抜け出していない現状であります。いま私たちに問われているのは文字通り原発ゼロをただちに国に実現することを福島県から発信していく、いま福島県の役割は本当に大事になっているのではないでしょうか。核兵器が人類と共存しないというのと同じように、原発は人類とは共存しません。使用済み燃料の処理も技術的にもまだ解明されないまま溜め込んでいく。原発を稼働していくには、原発労働者が被ばくしなければ稼働できない。こういうものを続けるべきではありません。一部の人々の利益のためにこれからの将来に負の遺産を残してはなりません。福島県はいま、国に対してこのことを大きな声で言っていく責任があるのではないでしょうか。もう一度そのことを知事にお伺いいたします。
 次に教育長に伺います。自主避難者の方たちが住民票を移動しなければ公立学校に入学できない。私立に入学せざるを得ない。私立ですと現実には月に19,000円の月謝を払わなければなりません。こういうことが市町村の受け入れに任せられて、市町村任せという状況でいいのでしょうか。実際には不平等が現れている、こういう状況に対して、県として指導的対応も必要ではないでしょうか。住民票を移動できないいろいろな理由はあります。親や祖父母から「住民票だけは移動しないでほしい」と言われていたり、自分の地元でWBCを早く受けたい、そのために住民票をまだ移動していない。この放射能被曝という事態の中でさまざまな状況があると思います。そういう事態に柔軟に対応して、すべての子どもの教育を受ける権利を保障するという立場で対応すべき問題ではないでしょうか。もう一度伺います。終わります。

答弁

知事
 わが国のエネルギー政策につきましては、本県での原発事故がもたらした広範囲かつ深刻な被害の現実を踏まえて、国においても原子力に依存しない社会、これを目指す必要があると考えており、政府において決定された革新的エネルギー環境戦略に基づき、着実に進めていくべきものと考えております。

教育長
 県教育委員会といたしましては、要請があれば、区域外就学に関する他の市町村教育委員会の対応や動向等について情報提供してまいりたいと考えております。

再々質問

阿部裕美子県議
 保健福祉部長にお伺いします。福祉避難所についてでありますが、これから市町村の担当の方たちと具体的な方法もすすめて行くとのことでありますが、この点については、医療と連携できるシステムということで、実際に使える内容とすることですすめて頂きたいと思います。今回の震災被災関連死亡者の中でも最も多いのが、避難所で体調を崩したりして亡くなっているという、数値にもはっきりと表れています。福祉避難所の果たす役割はいざというときには、大変大事なものを担っていると思います。先日頂いた61箇所の福祉避難所の指定では12箇所が大熊町が入っているという、現実には開所できないような状況がありましたので、実際に使えるものとしてこの福祉避難所の設置を進めて行っていただきたいと思います。質問ですお答えください。
 それから、賠償問題について伺います。損害賠償の問題に関連して知事にお答えいただきたいと思います。実際に東電から示された賠償基準では、生活を再建できるこういう状況にはなっていないという現実があります。避難指示区域の見直しに伴う賠償基準の考え方として示されている例えばある方の宅地評価を見ますと、1.43倍の時価相当額では新たな土地や建物はとても購入できるような状況にはないというのが現実であります。事故がなければ暮らし続けることができた、普通に生活できる単価・基準を示してもらうことが、復興に希望を持てる問題だと思います。今の現状を踏まえてこれから少しでも復興に希望がみえるような取り組みをしていただきたいと思います。
 知事に質問をしております。賠償協議会について知事のお考えをもう一度おたずねいたします。
 それから子育て支援担当の方にお伺いします。情緒障がい児短期治療施設についてはこの間の児童虐待が年々増えてきて過去最悪という事態になっている中で、東北六県の中でも青森県・岩手県はすでに設置もされております。福島県としてもこの設置について、もっと踏み込んで検討を行なっていただきたいと思います。これにお答えください。

知事
 東京電力の賠償の件でありますけども、賠償の基準の策定、そしてまた賠償金の支払いにおける状況、また課題等をしっかりと見極めたうえで協議会を開催して、全ての原子力損害に対して誠意ある迅速な対応を求めることはもとより、最後まで確実・十分な賠償がなされるようしっかりと取り組んでまいる考えであります。

保健福祉部長
 福祉避難所を使える内容とすべき、というお質しかと思います。今月、各市町村各社会福祉施設や医療機関等々を集めた説明会を実施いたしました。現在福祉避難所を指定している市町村9つございまして、アンケート等をその場で取りましたところ、34の市町村が福祉避難所の指定をしたいというお答えを頂戴しております。福祉避難所に医療的ケアが必要な要援護者の方が来る可能性は十分ありますので、福祉避難所は事前に医療機関等との協定を結んでおくということになってございます。福祉避難所になりますと、国庫補助制度等で人件費の支援、あるいは施設設備の整備の補助等もございますので、そういった中身を説明しながら、より機能するような福祉避難所を県内各地に設定して行きたいと考えています。

子育て支援担当理事
 情緒障がい児短期治療施設についてでございますけれども、全国の設置状況、現在25県で設置されておりますが、そういった設置状況、設置形態、設置運営の課題等々について幅広く研究して参りたいと考えてございます。



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