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2012年6月定例県議会代表質問
2012年6月22日 日本共産党 宮本しづえ

 日本共産党の宮本しづえです。私は、日本共産党県議団を代表して質問いたします。
 大震災と津波、原発事故から既に1年3ヶ月余が経過しました。福島県は復興に向かって懸命の努力が始まっているものの、今尚、16万人が避難生活を余儀なくされ、その内6万2千人は県外に避難し、いつ戻れるかもしれない不安と将来展望が見えない状況に置かれています。
 今、政治が被災県民に寄り添い支援する具体的対策が強く求められています。
しかし、国政では、「社会保障、税の一体改革」によって、被災者を増税により生活困難に追い込み、復興に大きな障害をもたらそうとしています。知事は、この改革をどう受け止め、対処されるか伺います。
 原発事故の基本的認識について伺います。この間、東電はもとより民間、政府、国会と各事故調査委員会が今回の事故原因解明調査を行い、いくつかの報告がなされています。
 民間事故調査委員会報告では、地震の直後に原発建て屋内部は水蒸気が充満、明らかに放射能を帯びた冷却水が漏れていたと現場作業員が証言しており、津波以前にパイプの破損が起きていたことを明らかにしています。
 津波対策については、既に2006年の段階で、国と東電は合同の勉強会を開き対策の必要性を認識していたのに、国もその対策を指示せず、東電はそれよりも安易な対策すら、経費がかかると対応しなかった経過が明らかにされました。それなのに、20日出された、東電事故調委員会の最終報告は、想定外の津波による天災だとして、自らの責任を棚上げしたことに対して、当事者意識の欠如だ、徹底した原因究明をとの批判が各方面から出されています。
 昨年9月、枝野経済産業大臣は、人災だと国会で答弁。民間事故調査委員会でも、人災だと指摘する意見も出されています。今回の事故が、安全神話の下で安全対策をないがしろにしてきた国と東電によって、引き起こされた揺るがしようのない人災であることは、明らかなのです。
 福島県は、佐藤栄佐久前知事時代、プルサーマル導入を一旦決めたものの、県民の批判を受けて、原発の安全性を独自に検討し、2002年に国に対して、原発の基本に関わる7つの疑問点を指摘、プルサーマル受け入れを撤回したのです。しかし、佐藤雄平知事に替わって立場は一転、国、東電の安全対策後回しの姿勢を容認、科学的な検証もないままに2010年プルサーマルを受け入れより危険な原発運転へと大きく舵が切られていったのです。その点では、県も、国、東電と同様重大な責任は免れません。この時点の津波対策の必要性について、県はどう認識し対応されたのか伺います。
 原発を推進してきた人たちが、人災との認識に立って自ら取ってきた態度を反省し真摯に事故と向き合う事なしには、的確な事故の対策も取られないし、福島県民の不安も払拭できないばかりか、完全賠償による福島県民生活の復興、再建もできません。
 先日、東電の福島被災者支援対策室長に会った際に、事故の認識を聞いたところ、人災か天災かの二者択一を迫られれば、私は天災と答えてきましたと述べて、人災であることを否定しているのです。
 改めて、知事はこの間の事故調査委員会の報告を踏まえて、今回の事故を人災と認められるか認識をお示しください。
 福島原発事故検証が半ばなのに、国は大飯原発の再稼動を政治判断しようとしていることは重大です。原発再稼働は、福島原発事故の教訓を踏まえ、科学的知見に基づいて対応すべき性格の問題です。国自らが示した当面する最低の安全対策とした、防潮堤もなければ、免震重要棟もない、フィルター付きベント設備もないなど、再稼働できる条件は全くありません。県内では、川俣、浪江町議会や、南相馬、二本松、会津若松、喜多方市議会、飯舘村議会が、次々と再稼働反対の意見書を議決しています。福島県としても、国に再稼動中止を強く求めるべきですが、見解を伺います。

 政府は、間もなく福島復興再生特措法に基づく基本方針を閣議決定します。ここにどれだけ福島の具体的な要求が盛り込まれるかが、復興の内容とスピードを決めると思います。そこで、以下の基本的立場に立って基本方針が策定され、具体化が図られるよう求めるべきと考えます。
 第一に原発事故で被災した全ての県民を支援する立場に立つこと
 第二に、放射能汚染の不安を払拭し、安心して住み続けられる福島県を作るために、徹底した県民健康管理を行うこと。
 第三に、避難指示区域の見直しは、被災住民の意見、要望を十分に反映すること。
 以下、この立場から具体的事項について質問します。
 まず、徹底した県民健康管理についてです。福島でこのまま子育てしていてもいいのだろうか、県民のこの不安の最大の理由は、低線量被曝による健康への影響です。
 福島市の調査では、3月末と4月末の僅か1ヶ月の間に、避難者数が258人も増加したことが明らかになりました。
 低線量被ばくの影響は未解明で、被ばくは少なければ少ないほど良いというのが専門家の共通した知見であり、将来発生するかもしれない身体的症状、既に発生している精神的不安に最大限対応し、県民の命を守る強いメッセージを示すことが何よりも重要です。
 県が、全県民対象に行っている県民健康基本調査のアンケート回収率は、未だに22,6パーセントに過ぎず、これでは全県民を掌握することは到底不可能です。アンケートの回収の有無に関わらず、全県民の健康を管理する仕組みを早期に確立すべきですが、見解をお示しください。
 福島医大が、健康管理を一括して行うという方式は、県民一人ひとりの健康を守るという観点が希薄です。健康調査の責任者を務める山下俊一福島医大副学長は、医大の健康管理センターの体制は設備も人員も全く不十分で県民要求に応えられないことを認めています。県民一人ひとりの健康をチェックし管理するために、早期に市町村が実施する方式を検討すべきと考えますが見解を伺います。
 現在市町村や各保険者が実施主体となって行われている各種健診を実施機関任せにせず、県の責任で健診無料化して、全県民にいち早く健診を受けてもらい、低線量の影響がまだ現れにくい段階で、しっかりデータベース化することこそやるべきですが、県の考えを伺います。
 子どもの医療費が18才まで無料化となり、歓迎されていますが、県民の要求はそこに留まらず、18才を超えても将来起きる可能性のあるがん等の発生に対応できる医療費無料化を求める声に発展してきています。
 浪江町は、全町民に健康手帳を交付し、長期にわたり健康を管理する方針を明らかにしました。同時に国に対して、全ての町民の医療費を無料化するよう求めたのに対して、平野復興大臣は、検討すると応えていることが明らかになりました。この要求は、浪江町だけでなく、全県民の共通したものになろうとしています。福島県として、全県民の医療費無料化を国に求めるべきと思いますが見解を伺います。
 県は、県民健康管理基金を活用して18歳以下の県民の医療費無料化を実施する方針ですが、どの程度の期間対応可能と考えているのか伺います。
 また、恒久的な財源の確保についてどのように考えているのか伺います。
 県民が最も不安に感じている将来のがんの発生に対する検診制度の拡充が求められます。福島県は、この点では全国に遅れを取りました。地域がん登録実施施設はようやく県内21施設になったものの、県立のがんセンターはありません。
 この際、他県からの遅れを一気に取り戻し、しっかりとしたがん対策に取り組む先進県とするために、がん対策推進条例を制定し、その上で県立がんセンターの建設に取り組むべきと考えますが、県の考えを伺います。

 次に被災者支援について伺います。
 浪江町の復興ビジョンは、原発に依存しない町づくりとともに、全国どこに避難していようと、町民として支援する立場を鮮明に打ち出しました。このビジョンは、ただ帰還条件を整備するだけでなく、今後も町外での避難生活を選択せざるを得ない町民を、被災者として支援するというもので、町民に希望を示すものだと思います。
 福島県復興計画においても 、県内外への避難者を含め全ての県民を、支援の対象としていると思いますが、県の認識はどうか伺います。
そのうえでまず、県内に自主的に避難している避難者への支援をどのように行っていくのかについて伺います。
 先月、自主避難する権利を求める会の皆さんが、何の支援もしない福島県に対して、自分たちを同じ県民として県外避難者同様に家賃などの支援を行って欲しいと、要望書を提出しました。これに対して県が今月出した回答は、現時点では困難だという極めて冷たいもので、関係者からは、やり場のない怒りの声が上がっています。
 県外に自主避難すれば、避難者支援が受けられる訳ですから、これでは自主避難者は皆県外に出て行けというようなものです。
 今月11日、共産党が行った政府交渉の席で、国土交通省の担当者は、賠償もあるので、二重取りになる可能性があるとまで述べました。
 しかし、賠償に要求通りには応じない東電の姿勢を見れば、すぐに対応できるかは不透明ですし、請求から支払いが実行されるまでにも時間がかかります。それを承知の上で賠償でと言うなら、それは実質避難者を見捨てるようなものです。県は、本当に賠償で解決できる問題と捉えているのでしょうか。
 県は、災害救助法に照らして、不平等が生じている現状を直視し、被災者支援の実施主体として、まず自主避難者の支援を行い、その上で国に財政負担を求めるべきですが、見解を伺います。

 県外に避難した県民でも、借り上げ住宅支援が受けられずに困っている事例はあります。
 ある方は、宮城県に避難したら、家賃は基準額以内なのに、宮城県が広さの条件を付したために、借り上げ住宅支援が今もって受けられない状態に置かれています。
 この方に限らず、公営住宅以外の支援は行わない府や県があること、既に新たな申請を締め切ってしまった県があることなどで、県外で支援を継続しているのは23県しかなく、支援を受けられない避難者がいることは明らかです。
 県は、借り上げ住宅支援を受けられない実態をどのように把握されているか伺います。新規申請受付を終了した県には再開を要請すべきですが見解を伺います。
 災害救助法では、住宅の提供を避難所という現物提供とともに、被災者が自ら借りた住宅に家賃支援する現金給付もできるとしています。
 個別に救済する必要がある場合は、現金給付の方法を取る等の対策で、全ての避難者を救済すべきですが見解を伺います。

 住宅被災者支援についても、同様のことが起きています。
 災害救助法では、安全な住まいの確保と言う観点から、住宅が全壊、又は半壊程度に被災し、なおそこに住み続ける場合、住宅の応急修理のための経費を、52万円限度に負担する仕組みになっています。
 本県において、応急修理に該当する被災者数はどの程度あると把握されているか伺います。また、それに対して応急修理の申請を受け付けた件数は何件になっているかお示しください。
 いわき市や郡山市のように、地震被害が大きかった地域では、今尚災害査定が終了していません。今年の3月末で、いわき市では3155件、郡山市では868件の調査積み残しが報告されているのです。
 こういう実態が分かっているのに、応急修理の申請は締め切ってしまったのはどういう訳でしょうか。被災者支援の責任者としての県の見解をお示しください。応急修理の申請受付を直ちに再開すべきですが、見解を伺います。
 同時に、一部損壊住宅や宅地被害などの被災者のために、福祉、人権の立場で支援策を講じることが求められています。
 そこで、一部損壊住宅や宅地の被害に対する県独自の支援策について、見解を伺います。
 更に、住宅が不足している現況に鑑みても、県は被災自治体の代行事業という形にとらわれずに、県営住宅縮小の従来方針を転換し、復興公営住宅を県営住宅として整備すべきと思いますが、見解を伺います。

 除染について伺います。
 福島県から県外への避難者が、6.2万人と6万人台から減らないのは、何よりも放射能の不安が大きいためです。この不安解消のためには、しっかりした除染を実施するしかありません。しかし、除染の効果的、効率的な方法はまだ具体的に示されておらず、市町村は手探りの状態で除染に取り組まなければならないのが現状です。
 先日、環境省の担当者に要請に行ってきましたが、国もまだ効果的除染方法を確立できていないとの回答でした。
 でも住民は待てません。遅々として進まない除染にしびれを切らして、避難を選択せざるを得ない状態に追い込まれていることが、福島市の避難者数に表れていると思います。
 子育て中の世帯を始め、市町村の計画による除染の順番は待てないという人たちが、個人的に業者に依頼して除染を実施としたものも負担の対象にすべきです。二本松市は、今後2年間で住宅の除染を終了させたいとして、個人的に業者に依頼したものについても市が負担し、県に請求する方法を取る方針と伝えられています。私が、福島市の担当者と懇談した際にも、国に要請しているとのことでした。
 この問題について国の担当者の見解を求めたところ、国は、市町村の除染計画策定以前に個人的に行ったものについては負担すると言うものの、これから行う場合については明言しません。
 除染に要する経費については、本来、個人が負担すべきものではありません。このため、県は、個人が除染に要した費用について、確実に支払いがなされるよう国に求めるべきと思いますが、見解をお示しください。
 また、県民一人ひとりが、放射線量が高いホットスポットがどこかを測って、自らの身を守れるように支援することも重要です。
 希望する全世帯に放射線量測定器を配布し、効果的、効率的な除染に向けて、県民が身の回りの放射線量を自ら確認できるようにすべきと思いますが、県の考えを伺います。

 賠償について伺います。
 県民の暮らしと生業の再建にとって、完全賠償は当面する最大の課題です。先日伺ったJA県中央会の庄條会長は、JA県全体の賠償は請求に対して79%に留まっていると話しており、賠償が進んでいない苛立ちが伝わってきました。先日は、相馬市で津波被害だけなら再開可能だが、放射能汚染による被害で事業再開できないのに、東電は津波が原因として賠償しようとしないため困っているという自営業者のお話を伺いました。諦めかけている業者も出始めているといいます。
 1999年のJCO事故の際に、東海村は、現在の福島県損害対策協議会と同様の組織をつくり、ほぼ全員の賠償を勝ち取ったと報告されています。福島でも、県レベルに留まらず、市町村にも同様の協議会をつくり、漏れなく請求を支援することを検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 東電は県民の精神的損害について、会津地方は全く対象とせず、県南は、子どもと妊婦に一人20万円の賠償をするとしました。
 これに対して、福島県は、国からきた応急対策基金の一部300億円を活用し、給付金を支給する方針を決定し、専決処分で実施しましたが、この事で、東電の賠償責任を免罪してはなりません。
 この間、県は全県民に対して賠償せよと求めてきたように、県南や、会津地方に対しても、中通、いわきと同様に賠償がなされるのは当然のことです。
 東電が、県の給付金支給に対して、30億円の寄付を行うとしたことには、どこでも大きな怒りの声が上がっています。
 精神的損害賠償金の肩代わりをするのであれば、あくまでも東電に請求すべき性格のお金であることをはっきりさせるべきだったと思いますが、給付金とした理由をお示し下さい。
 県内の避難指示対象区域外における東電の精神的損害等の賠償の進捗状況をお示し下さい。
 県南、及び会津地方に対する給付金は市町村が申請受付となります。また、賠償は市町村の協力の下で、東電に個人情報が提供されて、賠償手続きが行われています。賠償、給付金、いずれも市町村は進捗状況を掌握し、漏れない対策を講じる必要があると考えますが、どのように対処するのか伺います。
 東電の賠償が進まない場合に、仮払いできる現行制度は、観光業に特定しているため、国の仮払い法を見直して、賠償全てに活用できるようにすべきとの要望が出されています。現行制度の早期見直しを国に求めていく必要がありますが、県の考えをお示しください。

 国から、警戒区域、避難指示区域を放射線量で3分割して、新たな避難地域指定を行う避難区域の見直し案が示されましたが、放射線量で地域が線引きされ新たな分断が起きること、賠償と連動し打ち切りの根拠にされるのではないかと、関係住民から強い不安の声が上がっています。
 昨年9月に避難指示解除された広野町はじめ旧緊急時避難準備区域について、今年3月に出された中間指針第二次追補で、今年の8月を目安に賠償を打ち切る方針が出されたら、轟々たる批判にさらされ一旦撤回しました。避難指示解除されたからといって、住民生活が元に戻れるわけではなく、広野町で実際に戻った住民は、340人程度に過ぎないのです。川内村も同様です。除染も進まない中では、圧倒的住民は帰還できないと判断しているのです。
 4月16日に避難区域見直しを受け入れ警戒区域が解除された南相馬市小高区の住民は、はじめは喜んで自宅に戻ってみたものの、上下水道も使えず掃除もできない、ゴミは宅地の隅に保管してくれと言われ、とても生活再建などできる状態ではなく、帰るたびに朽ちていく家を見て、希望が絶望に代わり怒りの声が上がるとともに、帰還を諦める住民も出ています。
 生活再建の見通しが全く立たないうちに、賠償の打ち切りなど到底ありえず、避難区域見直しと連動できる問題でないことは明瞭だと思います。避難区域見直し後においても継続されるべきと考えますが、県の考えをお示し下さい。
 また、県が昨年7月の国への重点要望の際に、賠償金への非課税措置を求めていましたが、国は検討するとしており、引き続く取り組みが重要です。県の見解を求めます。
 受けた被害の完全賠償を実施させるうえで、財源は大事な課題です。原発建設、資金調達に係わり利益を上げてきた関連企業にも、拠出させる「福島原発事故被害補償基金」の創設を国に求めるべきと思いますが、県の見解を伺います。
 長期避難につれて、身体的問題だけでなく、精神的にも展望が見えず、追いつめられて自ら命を絶つ人が相次ぎ震災関連の自殺者数は15人に上り、対策が求められていますが、県の対応策を伺います。

 米の全袋検査について、国は、100ベクレルを超す地域は作付自粛を求めました。このこと自体農家の誇りも意欲も奪うもので、農家が受け入れられないのは当然であり、福島県の英断で作付を行い、今年の県産米は全袋検査する方針で取り組みを始めました。しかしあくまで自主検査という性格付けです。それでは、本来責任を持つべき国や東電の責任が曖昧となり、財政負担を求める根拠がなくなります。
 全袋検査は、国と東電が責任を負うべきと思いますが、県の考えを伺います。
 全袋検査の仕組みづくりを巡っても、様々な矛盾が噴出しています。まず、全袋検査の実施主体が、市町村ごとに設置された地域協議会とされ、この協議会が、検査機器の選定から検査場所、要員の確保、運搬方法、検出値全てに責任を負わなければなりません。これは大変困難な事業です。
 検査機器は、注文台数によって値段が異なり、果たして全県で何台になるのか全く分からない状態で決めろといわれても決めようがないとの声も上がっています。全袋検査機器の選定状況をお示し下さい。
 検査機器を設置するための場所の確保、コメを運搬する経費は、賠償で対応する方針のようですが、これらも含めてワンセットであり、一部分だけを賠償にするのは不自然ですし、秋口の米の出荷までに間に合わない可能性もあります。全袋検査に要する経費は、県が一括して負担すべきと思いますが、見解を伺います。
 全袋検査は、法令等に基づく検査として実施すべきと思いますが、県の考えを伺います。

 最後に、只見川流域の大水害対策について伺います。
 私は、今年の4月に現地視察し、金山町長や只見町長から要望をお聞きしました。洪水調節機能を持たせてほしいというのが要望でした。
 県が提唱して設置された、情報連絡会議の第5回会議の席上で、電源開発は、奥只見ダム、田子倉ダムの通常水位を洪水期に限定して2から3メートル下げて、実質洪水調節機能を持たせる方針を初めて明らかにしました。これは画期的な前進です。このことが十分に理解されていない感があります。県は国に対して水位低下による下流域への効果について、住民への丁寧な説明を行うよう求めるべきです。同時に、その必要性を認めた事自体、災害とダム操作の因果関係を示していると思いますので、災害原因の検証を徹底して行うよう併せて国に求めるべきと考えますが、見解を伺い、私の質問を終わります。

答弁

一 国政の動きについて
知事
 「社会保障・税一体改革」につきましては、人口構造の変化に対応した社会保障制度の構築とそのための安定的な財源の確保を図る上で、極めて重要な課題であると認識しております。
 また、この改革にあたっては、国において、地方の声をよく聴くとともに、震災及び原子力災害の影響やその後の経済・社会情勢を十分に踏まえたものとしていくことが必要であると考えております。
 今後とも、私は、本県の被災者のみなさんの厳しい現状を踏まえ、震災・原子力災害からの復興・再生を最優先に取り組んでまいる考えであり、国においても、「福島の再生なくして、日本の再生なし」と野田総理大臣が力強く発言された言葉の重みをしっかりと受け止め、被災地の復興を何よりも優先して取り組んでいただきたいと考えております。

二 原発事故の基本認識について
生活環境部長

 原子力発電所の津波対策につきましては、プルサーマル受け入れ当時、東京電力においては、最新の知見に基づき、最大5・7メートルの津波を想定した対策を講じ、原子炉の運転に支障がないことを確認しており、発生しうる津波の規模や影響も含めて、更なる知見の拡充に向けた取り組みを進めているものと認識しておりました。
 県といたしましては、国及び東京電力に対し、データの蓄積や知見の拡充を図り、津波対策を含む耐震安全性の確保に着実に取り組むよう、求めていたところであります。

知事
 事故原因の認識についてであります。
 2月に公表された福島原発事故独立検証委員会、いわゆる民間事故調査委員会の報告書において、「この事故が『人災』の性格を色濃く帯びている」との指摘や「『人災』の本質は、過酷事故に対する東京電力の備えにおける組織的怠慢にある」との指摘がなされております。
 事故原因等については、現在も、政府事故調査委員会等において、最終報告に向けた取りまとめ作業が行われており、原子力安全規制を一元的に担う国の責任において、明らかにされるべきものと認識しております。
 今後とも、私自身が先頭に立って、東京電力に対し、事故の収束、迅速かつ十分な賠償に、これまで以上に全力で取り組むよう、強く求めてまいります。

企画調整部長
 原子力発電所の再稼働につきましては、何よりも住民の安全・安心の確保を最優先に対応すべきであると考えております。
 関西電力大飯原子力発電所について、東京電力福島第1原子力発電所事故の検証さえ終わらず、安全規制体制も確立しない中で、国が再稼働を決定したことは、被災県として非常に残念な思いであります。
 県といたしましては、国に対し大飯原発を含め、再稼働の判断にあたっては、事故を検証し、安全規制体制を確立した上で、住民の安全・安心の確保を最優先に対応するよう強く求めてまいります。

三 県民健康管理について
保健福祉部長

 県民健康管理調査につきましては、外部被曝線量を推計する基本調査や、発災時、おおむね18歳以下のすべての子どもを対象とした甲状腺検査などに取り組み、さらに、健康診査については、既存の健診制度も活用しながら、これまで受診機会がなかった方も含め全ての県民が何らかの健診を定期的に受診できる仕組みを構築することとしたところであり、これらの調査や検査を長期にわたり継続して実施することにより、将来にわたる全県民の健康の維持、増進を図ってまいる考えであります。
 次に、県民の健康管理につきましては、今回の原発事故を踏まえ、県民の健康を長期にわたって見守っていく必要があることから、継続的な調査や検査を確実に行うため、県民健康管理調査の拠点として整備を進めている県立医科大学において、関係機関、学会等との連携を図りながら実施していくこととしたところであり、今後、市町村との連携を更に深めながら、県民健康管理調査にしっかりと取り組んでまいる考えであります。
 次に、健診につきましては、従来からの特定健診やがん健診の無料化は、実施主体である市町村や医療保険者等の判断によるものと考えておりますが、県民健康管理調査において、これまで健診の対象とされていなかった方についても、県の負担により新たに受診機会を設けるなど、全県民の受診機会を確保することといたしました。
 また、健診などの各種検査や調査等の記録を県立医科大学に整備するデータベースにおいて長期にわたって管理することとしており、現在、このデータベースの構築に向け、具体的な検討を進めているところであります。
 次に、全県民の医療費無料化につきましては、県民に、放射線被曝に起因する健康被害が発生した場合に、医療費の無料化等の援護措置が国の責任において講じられる必要があると考えており、その旨を、福島復興再生特別措置法に基づく復興再生基本方針に明記するよう、国に対し、強く求めているところであります。

子育て支援担当理事
 18歳以下の県民の医療費無料化につきましては、子どもの健康を守り、安心して子どもを生み、育てやすい環境づくりを進めるために実施するものであり、継続的な事業の実施に最大限努めてまいる考えであります。
 次に、医療費無料化の財源につきましては、福島復興再生特別措置法の趣旨に基づき、福島県民健康管理基金への継続的な財政支援を求めることなどにより、必要な財源の確保に努めてまいる考えであります。

保健福祉部長
 がん対策につきましては、平成20年3月に策定した福島県がん対策推進計画により、総合的かつ計画的に進めているところであり、今年度、この計画について、震災後の本県の現状や課題を踏まえた見直しを行い、しっかりと取り組んでいく考えであります。
 また、現在、県立医科大学において、がんの専門的な医療機能を持った放射線医学に関する研究・診療拠点整備の検討が進められており、この中で、最先端の検査機器の導入等によるがんの早期発見や早期治療に向けた医療体制の強化を図り、本県のがん対策をいっそう推進してまいる考えであります。

四 被災者支援について
企画調整部長

 復興計画につきましては、東日本大震災、さらには新潟・福島豪雨など一連の災害からの復興に向けた取り組みを総合的に示すものであり、全県民のための復興計画として、その推進に取り組んでいるところであります。

原子力損害対策担当理事
 県内自主避難者に対する支援につきましては、災害救助法による借上住宅の提供に当たり、東京電力の賠償の動きや市町村の意向等も踏まえながら引き続き国と協議を進めてまいります。
 次に、借上住宅の支援を受けられない県外避難者の実態につきましては、避難者の多い都県への本県職員の駐在を始め、関係都県による連絡会議の開催や避難者の交流の場の確保等を通じ、避難先自治体と連携しながらその把握に努めているところであります。
 次に、借上住宅の新規受付につきましては、引き続き対応していただくよう、昨年度各都道府県に対し、要請を行ったところであります。
 各都道府県においては、公営住宅や民間住宅の空き状況、新規受付の状況等を踏まえ、終了時期を判断したものと考えております。
 次に、現金の給付による対応につきましては、災害救助法による借上住宅の支援は、現物を持って行う給付を原則としているため、困難であると考えております。
 次に、住宅応急修理の対象世帯につきましては、地震、津波等により全壊および半壊の被害受けた住宅数は、平成24年5月31日現在で8万9096棟となっておりますが、そのうち、応急的な修理により居住可能であり、かつ修理の対象範囲や世帯収入など一定の要件に該当する世帯が対象になります。
 次に、受付件数につきましては、平成24年5月31日現在で2万8004件となっております。
 次に、申請の締め切りにつきましては、住宅応急修理制度は、原則として災害発生から1ヶ月以内に実施するものでありますが、東日本大震災に関しては、被害が甚大であることから、市町村の意向を踏まえ、国との協議により受付期限を設定したところであります。
 次に、受付の再開につきましては、国から、この制度が震災後の応急救助の一環として実施しているものであるため、困難であるとの方針が示されております。

土木部長
 一部損壊住宅につきましては、県において、社会資本整備総合交付金により事業が実施できるよう調整し、現在、該当市町村において取り組んでいるところであり、同交付金制度の活用により引き続き支援してまいる考えであります。
 また、宅地の被害につきましては、市町村が行う造成宅地の崩落対策に係る事業の採択要件緩和や補助率のかさ上げ等がなされたところであり、今後は必要に応じて更なる要件の緩和等を国に対し要望してまいる考えであります。
 次に、復興公営住宅につきましては、被災者の生活再建のため、応急仮設住宅等の入居者を早期に受け入れることが喫緊の課題であることから、県といたしましては、原子力災害による避難市町村の意向を十分に確認しながら、県営住宅を含む様々な整備方法について検討してまいる考えであります。

五 除染について
生活環境部長

 個人が除染に要した費用につきましては、原子力政策を国策として推進してきた国や事故の原因者である東京電力が負担すべきと考えております。
 県といたしましては、引き続き、国において速やかに、適切な費用負担や合理的かつ簡易な支払いが行われる仕組みを構築するよう求めてまいります。
 次に、身の回りの放射線量の確認につきましては、自動車走行サーベイの実施や、約6千台の測定機器を全市町村に配備する等、地域の実情に応じた詳細な汚染状況の把握に努めてまいりました。
 今後は、これらに加え、京都大学と連携して、機器の小型化や位置情報把握機能の精度向上を図ることにより、自動車走行サーベイシステムの市町村への普及や歩きながら連続測定できるシステムの導入等、効果的・効率的な除染の前提となるきめ細かな放射線量の把握に努めてまいる考えであります。

六 損害賠償について
原子力損害対策担当理事

 市町村における協議会の設置による賠償請求の支援につきましては、県民が被った様々な損害は、漏れることなくすべて賠償されるべきであることから、県の原子力損害対策協議会の活動など、市町村、関係団体としっかり連携した体制の下で、引き続き、被害者へのきめ細かな賠償請求支援に取り組んでまいる考えであります。
 次に、県南、会津、南会津地域の住民への給付金につきましては、原子力発電所事故による「ふくしま」ブランド・イメージの低下等に伴う精神的苦痛等からの早期の回復を図る必要性を踏まえ、「中間指針第一追補」で自主的避難等の損害の対象とされなかった県南等3地域の住民に対し、緊急的に支給することとしたものであります。
 次に、避難指示等対象区域外の精神的損害等に対する賠償の進捗状況につきましては、東京電力は、自主的避難等対象区域である23市町村について、6月15日現在、賠償対象の9割を超える世帯に支払いを行っております。
 また、県南地域の9市町村については、6月11日から請求を受け付けており、来週には支払いを開始する予定と聞いております。
 次に、自主避難等に関する賠償の請求漏れ防止につきましては、東京電力に対し、未請求者に対する働きかけを行うよう要請しており、市町村にも、転居先不明者に対する情報提供などの協力を求めております。
 また、県南等3地域の住民への給付金においては、市町村とともに、広報誌やホームページ等による十分な周知を図ることはもとより、適時、請求の進捗状況を確認していくこととしております。
 次に、国の仮払制度の見直しにつきましては、原子力損害賠償の支払いは、東京電力が、請求受付後、できるだけ迅速に行うことが基本であると考えております。
 県といたしましては、引き続き、東京電力に対し、個別事情に応じて、合意に至った賠償項目の先行支払いや概算払いなど、柔軟かつ迅速な対応を行うよう強く求めてまいりたいと考えております。
 次に、避難区域等の見直し後の賠償につきましては、住民のそれぞれが生活や事業の再建を完全に果たすことができるまで、長期的な視点に立ち十分な期間を確保するよう、国、東京電力に対し、要請してきたところであり、引き続き、市町村、関係団体とともに、あらゆる機会において被害の実情を訴えながら、強く求めてまいりたいと考えております。
 次に、原子力損害賠償金の非課税措置につきましては、被災地域全体における税制のあり方を踏まえ、被害者救済の視点を十分に反映させるよう、本年4月、国に対し、原子力損害対策協議会による緊急要望を行ったところであり、国において、しっかりと検討がなされるべきであると考えております。
 次に、原子力発電所関連企業の拠出による補償基金の創設につきましては、原子力災害の被害者に対する賠償が十分かつ迅速、円滑になされるためには、必要な資金の確実な確保が重要であることから、引き続き、東京電力の賠償資金の調達に必要な対策を国が全責任を持って講じていくよう求めてまいりたいと考えております。

七 自殺防止対策について
保健福祉部長

 震災関連の自殺につきましては、長期化する避難に伴う将来の生活や健康への不安などが心の負担となり引きこもり等の状態にある避難者への訪問支援が喫緊の課題と認識しております。
 このため、「ふくしま心のケアセンター」において臨床心理士等の専門職が、市町村社会福祉協議会の生活支援相談員と連携し、仮設住宅等の訪問支援を行っております。
 さらに、今年4月には県内6方部にセンターを設置し、体制の充実を図ったところであり、今後とも、審査関連の自殺防止にきめ細かに取り組んでまいる考えであります。

八 米の全袋検査について
農林水産部長

 全袋検査につきましては、米の安全性を確保する検査方法として国が認めたものであり、県の管理の下、県内全域で実施することとしております。
 また、県が支出する補助金につきましては、国がすべての財源を負担するとともに、検査の実施に伴う掛かり増し経費は、東京電力に賠償金として負担を求めることとしております。
 次に、全袋検査機器につきましては、県および関係団体で構成する「ふくしまの恵み安全対策協議会」で、基本仕様を定めて機器開発企業を募集し、各地域の関係者の参加を得て、要件を満たす5社による合同プロポーザルが実施されました。
 現在、企業からの提案を受けて、各地域において、設置場所や価格などを考慮して機種選定を行っており、これまでに半数以上の地域で選定が終わり、その他の地域でも近日中に決定される見込みであります。
 次に、全袋検査に要する経費につきましては、機器の整備費と検査員の人件費等を県から補助することとしております。
 また、全袋検査の実施に伴い発生する米の搬送費や保管の倉庫料等の掛かり増し経費については、基本的に東京電力からの賠償で対応することとしており、現在、地域の実情を聴きながら十分な賠償が得られるよう、東京電力と交渉を進めているところであります。
 次に、検査の位置づけにつきましては、県の管理の下で行う全袋検査を、「原子力災害対策特別措置法」に基づく食品の安全性を確認するための検査の一環として実施する考えであります。
 このため、必要な性能を有する検査機器を整備するとともに、検査手法の統一や検査業務研修会の開催などにより分析結果の信頼性を確保し、適切な検査が実施できるよう取り組んでまいります。

九 只見川流域の大水害対策について
土木部長

 只見川流域の大水害対策につきましては、発電事業者が、奥只見ダム、田子倉ダムにおいて、洪水期に水位を低下させることにより放水量を低減させる新たな運用を開始していることから、県といたしましては、ダムの許認可権者である国に対し、その効果について住民の理解を得るため、きめ細かな説明を行うよう求めるとともに、ダム堆砂の影響等災害原因につきましても、徹底した検証を行うよう引き続き働きかけてまいります。

再質問

宮本しづえ県議
 何点か再質問いたします。最初に知事に伺いたいと思います。私は知事の事故の認識、知事自身の認識について伺ったつもりです。この事故がどういう性格の事故なのかということをどう捉えるかによって、福島県が被った県民の被害、あらゆる対策をしっかりと国と東電に求めていく、この足場をしっかりとつくるということが大事だというふうに思うからなんですね。国は昨年の12月に事故の「収束宣言」を出してしまって、今年に入ってもう原発の再稼働だという方向に動いてきている。東電は今月の20日に出した事故調査委員会の最終報告のなかで、「自分たちの問題ではない、あれは天災だ」と。こういう立場に立っているんですよ。そうすると東電は、これは天災なんだから本来なら自分たちに責任はそんなにないんだと、免責されていいんだという立場に立って、賠償もそこを足場にしてやるとこういう話になるわけですよね。単なる天災じゃないというこの間の経過を見れば、きちんとした対応をとらなかったこの責任があることはもう明らかなんですね。そのことを抜きにして、福島県が東電にそして国にしっかりとした責任を求めるその足場を自らつくるということにはならないわけですよ。ですから知事がやっぱりこれは人災じゃないですかと、人災ですという立場に立って国と東電にしっかり対策を求めていくのかどうか、これがやっぱり私は福島県の復興の中身も、賠償の中身も決めていくんだというふうに思います。そういう点で知事がやっぱりどういう立場で求めていくのかということが問われているわけですから、あらためて事故の認識について伺いたいと思います。
 それから、復興計画については先ほど各部長から答弁いただいたとおりですけど、それをもとにして、じゃあ被災者支援をどうするのかということが問われるわけですよね、で、企画調整部長は「すべての県民を支援するんです」と、そういうものですとおっしゃった。だけれど実際の具体的な対策はそうなってはいないでしょうということを私は具体的な事例をあげて申し上げました。とくに県内の自主避難者に対する対策は、これは、「賠償もあるので」というような非常に曖昧な答弁で、自らの責任を放棄しているというふうに言わなくちゃいけない。災害救助法では、県がきちんとそれを発動して支援すれば、これは支援できるわけですよ。なんで賠償にそれを求めなくちゃいけないのか、この理由がまったく説明されていません。昨日の答弁でも、これは市町村と協議をしなければいけないとかっていう話をしていましたけれど、市町村とどういう協議が必要だと認識をしているのか、これ具体的にお示しください。災害救助法ですからね、損害賠償担当理事です。それで、これはですね、災害救助法に基づいて支援すればいいわけですから、福島県がそうやって国に財政支援を求めたときに、じゃあ国は拒否できる根拠はあるんですか。私はないと思いますよ。だけれど、もしあるとすればですね、どこにあるのかお示しをいただきたいというふうに思います。
 それから応急修理については、これはですね、全壊や半壊がいっぱいあるんだけど、実は応急修理の申請が一件もありませんなんていう自治体も県内にいっぱいあるんですよ、こういう実態は実は県は承知をしていたはずです。それなのにもう打ち切ってしまったという問題がある。国はね、もうやめてくれといった経過はありませんというふうに、我が党の国会議員に答えているんですね。というわけで、県としてはもう一度実態をしっかり把握して、国に再申請をして、すべての被災者の支援をこの面でも取り組む必要があると思いますけれど見解を伺いたいと思います。損害賠償の担当ですよ。
 それから、県外避難者についても、これ現金給付できないことになってます、と。国は現金給付はやりたくない。それだけの話です。法律では出来ることになってるのにやらないということが問題だということを重ねて求めたいと思います。

答弁

知事
 宮本議員の再質問にお答えいたします。事故原因等については原子力安全規制を一元的に担っている国の責任で明らかにされるべきものと思っております。国、東京電力に対して、今後とも事故の収束、迅速かつ十分な賠償に全力で取り組むよう強く求めて参ります。

原子力損害対策担当理事
 3点かと思います。県内自主避難者に対する救助法の適用の関係につきましては、以前から過去の議会においても別の分も含めてお話し申し上げてきたとおり、救助法上対象になっておりますが、全壊世帯、あるいは直接被災地の方々を優先して取り扱ってきました。それを今回、拡大についてご要望があるということで、我われも国と色々協議をもちろんしております。で、今お話にもございましたとおり賠償の話も一歩絡んでおりまして、そちらとの関係も一つはあり、また市町村との関係についてもお話がございましたが、市町村のほうでも実態の把握を含めて色々と協議をしていかなければならないということでございます。
 それから応急修理につきましては、これは国のほうからもですね、あくまでもまさに応急的な、避難所に避難しなくてもご自宅を修理すればご自宅でそのまま何とか暮らせるという趣旨の制度であるということで、なかなかこれからということでは難しいというふうなお話もありまして、さらに具体的なお話があった場合には県としても適切に対処して参りたいと思います。それから、現金の給付についてもお話がございましたが、現金の給付についてはまさに例外的な措置ということで、災害の発災直後の混乱期でありますとか、そういったときに発動されるものということで、現状での現金給付というのは非常に困難であると考えております。

再々質問

宮本しづえ県議
 まず知事にですね、今の知事のこの答弁はですね、自らの認識についてはお示しになりません。私は非常に県民にとっても納得のいかないものだというふうに思いますよ。これは国が責任を持って解明をしていくのは当たり前のことです。しかしその国がいまそれでは福島県民が求めるような方向で真摯に反省してますか。今月の8日の日にですよ、野田首相が再稼働について記者会見やりました。そのときになんと言ったと思いますか、福島県の福島原発事故の記憶が残る中で、しかし国民の暮らし守るためにはこれは再稼働だ―こういうことを言ったんですよ。この福島県の原発事故だってもう記憶の中、つまり過去の話にしようとしている。もうこの言葉を見れば明らかなんですよね。そういう国任せで、本当にこの原発事故の原因解明ができるのかどうかだって私は非常に疑問だと思います。だから、この間の経過を見れば、国と東電がしっかりと対策とってこなかったという歴史的な経過は明らかですからね、だから「責任ちゃんと取れよ」という立場に立って、「人災でしょう」という立場に立ってこそ、国にも東電にもしっかり求めるこの足場を福島県がつくることになるんではありませんかということを私は聞いているわけです。そういう点で知事の認識をあらためて求めたいと思います。それから、被災者支援の問題です。担当理事にお聞きをしますけどね、やらない理由をいろいろおっしゃるんだけど、でも問題は、私はいま法の制度がありながら被災者がその支援を受けられないでいるという現実があるという問題を福島県はどう認識してどう対応しようとしているのですかと、ここのところを求めているわけですよ。だからどういう方法だって良いんですよ。現金給付はその一つでしょうという意味合いで私は現金給付の問題を言ったのであって、たとえば県外避難者であったら、福島県が直接にその県の住宅をその相手の県にお願いするんじゃなくて福島県が直接にやったってそれは構わないんですよ。いろいろ方法はあるでしょう。でも問題は今もって一年三ヶ月経った今なお、住宅の支援も受けられないでいるというような実態が放置されているということが一番問題なんだと申し上げているんです。それは県内も県外も同じなんです。その人たちを本当に本気になって支援しなくちゃいけないという立場に福島県は立ってるんですか。復興ビジョンも復興計画も「全県民を支援する」んだと言ってるんだから、いま明らかに支援対象から外れている人をどう支援するのかを具体的な対策をとるべきではないですか、このことを私は申し上げているんです。方法論じゃない。そういう立場に立ったら方法なんていくらだって出てくるんです。そういう立場に立ってないから問題じゃないですかということを申し上げている。この点をあらためて見解を求めたいと思います。
 それからですね、今のこの個人の自主避難者もそうですけどね、賠償で何とかしようなんていうことで、東電が本気になってどこまで取り組んでくれるのかという問題があるんですよ。だって東電はさっき言ったみたいに、私たちは人災だと思っていませんよ、天災でした。そこを基準にして賠償を考えているわけですから。県民が、被災者が、被害者が求めるようなものに完全賠償するとそういう立場にはなかなか立ちきっていないわけです。そういう中では賠償というよりも今できる方法でやるべきじゃないですかということを私は申し上げている。その点でひとつコメの問題があります。コメはですね、農政部長がおっしゃったように、かかり増しの経費だけ賠償でということなんですよね、でもコメの全袋検査が一体でしょう。倉庫が見つからなかったら機械を置くところがないんですよ。運搬方法も賠償の中身がわからなければ運びようがないわけでしょう、それを東電に何とかしてくださいって言いながら、協議会で何とかしてくださいって言うのは、これは県として責任が持てないし、九月から出荷が始まるかもしれない。もう始まろうとするわけでしょう。そこに間に合わないんじゃないかという心配があるんだけど、本当に大丈夫なのかどうか、あらためてこれは見解をお聞きしたいと思います。

答弁

知事
 宮本議員の再々質問にお答えいたします。事故原因等については現在政府事故調等、これらが最終報告に向けたとりまとめを今おこなっているところであり、私は国の責任において明らかにされるべきものと認識をしております。今後とも国および東京電力に対して、原子力災害の被災県として申し上げるべきことをしっかり、申し上げていかなければいけないと思っております。

農林水産部長
 再質問にお答えします。コメの全袋検査にかかる施設整備ですとか検査員の人件費は県で補助対象としておりますが、その他の運搬費、倉庫の保管費用などについては、地域の状況によって一律ではないので、今回補助と位置づけるんではなくて賠償で対応するという考えに立ったものでございます。基本的には当然、申し上げたとおり東京電力で対象とするということになってはおります。現在かかり増し経費について地域の実情も聞きながらその額も含めて詰めているところでございまして、県でそれらをまとめていま東京電力と鋭意交渉をしているところでございます。

原子力損害対策担当理事
 再質問にお答えいたします。一つは賠償との関係でございますが、自主的避難に関する生活費増あるいは実費分につきまして、早急に基準を明らかにするよう東京電力に求めております。また国との関係から言いましても、そういったことも含めて国と、もちろん我々被害の実態についてはいろいろ聞かせていただいておりますので、協議をすすめて参ります。それから、他県(に避難)の方も含めて住宅の供給というお話もございました。そちらにつきましては例えば実際に該当にならなかった方のおただしもありましたが、そういったケースについては例えば公営住宅ですとか例えば雇用促進住宅ですとか、そういったことで用意はしておりまして、いろいろご相談があれば、そちらの他県から、あるいはこちらにご相談があれば福島県からもいろいろきめ細かにご相談には応じているところでございます。



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