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2010年度決算認定についての討論
2011年10月20日 藤川淑子県議

 日本共産党の藤川淑子です。
 私は、議案第26号「決算の認定」について、反対の立場で意見を述べます。
 2010年度一般会計決算は、歳入9120億3100万円、歳出8829億3600万円で、翌年繰越額を除いた実質収支は33億2100万円でした。
 財源構成は、自主財源が3663億5800万円、県債などの依存財源が5456億7300万円、比率は、自主財源40.2%、依存財源59.8%で、全体の6割を依存財源に頼る足腰の弱い財源構成となりました。
 決算年度の2010年は、2006年から5年間にわたる「うつくしま行財政改革大綱」の最終年度でした。
 行財政改革大綱は、行政運営の枠組み転換と言いながら、アウトソーシングの徹底と財政効率最優先の考え方を県政運営に持ち込みました。
 2010年までの5年間で、県立病院改革と言いながら、リハビリテーション飯坂温泉病院、本宮診療所、三春病院、猪苗代病院を次々廃止し、県民の生命を守る拠点を削減しました。2010年度は、大震災発生の影響で延期となっている大野病院と双葉厚生病院の統合で、浜通り唯一の県立病院を削減しようとしました。また、医療を担う人材不足が叫ばれているにもかかわらず、2010年度に、県立会津若松看護専門学院の募集停止し、県立総合衛生学院の専門学科縮小を強行しました。
 県立社会福祉施設の見直しでは、この5年間で、飯坂ホーム、やまぶき荘、さつき荘、きびたき寮、浪江ひまわり荘、からまつ荘、喜多方しののめ荘、希望ヶ丘ホームを、2010年度は矢吹しらうめ荘と、矢吹しらうめ荘通勤寮を民間移譲しました。これらの施設は低所得者の障害者のための施設や、身寄りのない高齢者の施設などです。さらに、障害児の入所施設である大笹生学園の民間移譲、若松乳児院、郡山光風学園の見直しも視野に入れています。
 事務の効率化と称し、県の行政を担う人員削減もすすめました。県職員削減は、2010年度は知事部局31名を削減、これにより5年間目標の1445名を上回り1474名を削減してしまいました。そのうち教育委員会の削減数が最も多く878名でした。
 3月11日に東日本大震災と原発事故が発生し、浜通りの病院や介護・福祉施設は壊滅状況となりました。それをフォローすべき中通りの公的医療・福祉体制も大混乱し半年以上過ぎた現在も深刻なマンパワー不足のなかで、現場は定員オーバーと過密労働が続いています。
 行財政改革で公的な医療・介護・福祉を削減し、脆弱な体制においやったことは、大災害時において、県民の生命と人権を危機にさらしてしまったと言わざるをえません。
 県内の公的医療・介護・福祉の体制を手厚くとっていたなら、障害者や高齢者難病患者等の被害をもっと少なくすることも、できたのではないでしょうか。
 また、災害対応にあたる職員の人員不足や長期にわたる兼務で、あらゆる部署の業務停滞が表面化しています。災害対応が長引くにつれ、過労で倒れる県職員も出ています。効率化の名のもとの公務員削減は、実は県民サービスの削減であり、災害時や緊急時に、住民の生命・財産を守る立場で、住民要望に迅速に応えるという公の役割を充分果たすことができない、決定的な弱点をはらむことになったのではないでしょうか。とりわけ、教育分野の人員削減は、災害後の子どもたちへの対応を考えた時、真剣な総括が求められます。
 行財政改革で医療・福祉・県民サービスを削減する一方、2010年度予算編成の際にも無駄な事業として指摘した小名浜東港地区整備事業、あぶくま高原道路建設、山の道交付金での大規模林道づくりについては、取りやめることなく実施されました。
 県民の理解が得難いのは、予算の段階からすでに赤字運営を見込んだ福島空港に対し、維持管理費のほかに利活用促進費、交通企画費、空港国際化推進費、就航先誘客促進費など、県民の税金をつぎ込み、さらには、空港の付属施設である空港公園に対し、維持管理費や緊急性の乏しいトイレやタイルの補修工事費などを支出していることです。これらを全部合わせると、2010年の空港赤字は6億6100万円にのぼりました。
 空港については、閉鎖も視野に入れた検討を提案しましたが、まともに検討することなく例年同様に空港運営を継続したことは認める事ができません。
 市町村に対する支援については、市町村の国民健康保険財政に対する県独自の財政支援がなされないままであることや、県が行う建設工事への市町村負担金を求め続けていることなど、市町村に冷たい行政が行われました。
 また、全ての会派が要望している、子どもの医療費無料化年齢引き上げは、ついに実施されず、中小企業が求める住宅リフォーム助成事業も先送りしました。
 2010年度は、県民の反対の声を押し切ってプルサーマル実施に同意した年でもあります。
 県は、プルサーマル受け入れの条件として耐震安全性の確認、高経年化対策の確認、長期MOX燃料の健全性の確認をあげ、この3点について、東京電力及び原子力安全保安院の安全確認がなされたと判断し、プルサーマル実施を受け入れました。
 しかし、県民世論は7割がプルサーマル導入に慎重又は反対でした。県議会には、県民から使用済みMOX燃料の処理法が未確立なうえ、製造から12年も経過したMOX燃料を使用するプルサーマル実施の見送りを求める請願が提出されました。県民の声に真摯に耳を傾けるのが県議会の役割りですが、県議会はこれを不採択にし、プルサーマル導入の道筋をつけてしまいました。
 プルトニウム含有量がウラン燃料よりも多く危険性の高いMOX燃料を使用していたプルサーマル実施炉の3号機も震災による原発事故で爆発し、ヨウ素やセシウムとともにプルトニウム、ストロンチウムが県内に拡散し、県内全ての産業と県民に甚大な被害と塗炭の苦しみを与えています。
 以上の理由から、議案第26号、決算の認定については認めることができません。

 最後になりますが、この間、県民のみなさま、行政・県議会のみなさまには、大変お世話になりました。この場をお借りし、心より御礼申し上げます。
皆様のご健勝とご活躍、そして、何よりも福島県の復興を心より祈念いたしまして、私の討論といたします。

以 上



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