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2011年9月定例県議会一般質問
2011年10月5日 宮川えみ子県議

 東日本大震災・原発事故から、間もなく7カ月になります。
 今回の福島原発事故は、ウラン換算で広島型原爆20個分、セシウムでは168個分という大量の放射性物質を、福島県をはじめ全国各地にまきちらしました。この深刻な原子力災害から福島県を復興するためには、日本はもとより人類が経験したことのない大事業を成し遂げなければなりません。
 しかし国の認識と対応は、除染でも賠償でもまったくそれにふさわしいものになっていません。復興財源を増税で賄うと言う事になれば被災県民はもとより、厳しい生活を強いられている方々に大きな苦しみを押し付け、景気回復に重大な打撃を与える事になり、国民が一致して災害を乗り越えるということになりません。
 日本共産党は、257兆円にもなって使い道に困っている大企業の内部留保の一部で復興国債を買ってもらうなどの提案、欧米諸国の大資産家が「われわれに増税を」と言うように、大企業や大金持ちの負担をこそ求めています。日本で野田内閣が財界直結で被災者国民に背を向けていることは到底許されるものではありません。
 また、農業者はもちろん各分野に重大な打撃を与えるTPPには強く反対を求めます。今、知事・議会とも一致して特別法の制定を求め広範囲で長期的被害に対応する時であり、大量かつ広範囲に放出された放射性物質の汚染の実態を正確に把握し、リスクを県民に明らかにし、大規模除染と県民の健康調査を実施し、安心して住み続けられる福島県を築く時だと思います。

一、原発の全面廃炉について

 全県民が最も求めている原発事故の収束について国は、ステップ2を前倒しすると言いますが、原子力学会の報告では(9月22日報道)第一原発の1〜3号機近辺は放射能濃度が高く実態が把握できない状況にあるが、調査では、すべてで炉心構成材の再溶融が起こったとしています。野田総理は原発事故の現状を意図的に小さく見せ、他の原発の再稼働を急ごうとしていますが、枝野経済産業大臣は地元合意のない原発は推進できないといいます。地元福島の意思は明確です。浪江町長は原発はいらないとはっきり言い、県内は、3・11以降34市町村の議会が、全面廃炉の意見書を採択しています。
 知事は「復興ビジョン」に、原発に依存しない社会づくりを明記しました。世論調査でも鮮明になっている原発からの撤退の国民の声に応え、「東京電力福島原発の第一原発5・6号機、第二原発の1〜4号機も含めた10基全部の廃炉」を、国に明確に求めるべきですがいかがですか。

二、放射能除染について

 放射能汚染から県民を守る施策を一刻も早く前進させる事は避難した多くの子どもや若い人を福島県に戻し、真の復興を実現させる要になります。しかし、この問題は遅々として進んでいません。進まない原因は3つあります。一つは、がれき置き場を含む最終処分の方針が決まらない、二つは、膨大な費用、三つは、方法論を含めた英知の結集の問題です。

1、国が決めた除染は、避難区域など年間放射線量20ミリシーベルト以上は費用も含めて国が実施する、20ミリ以下〜5ミリまでは市町村が計画を作れば費用は国が出す、ところが5ミリ以下つまり1時間当たり1μシーベルト以下は国は費用はまったく出さないと言うのです。こうした線引きを行えば福島県内は指定区域と、ごく一部しか除染支援の対象になりません。政府は「除染は国が責任を持って進める」といいますが、こうした不当な線引きを持ち込むことは、子どもたちや県民の命に責任を負わない許しがたい態度です。なぜこんなことになったのか、8月26日に、民主・自民・公明各党のみなさんの提出した議員立法で社民党のみなさんが賛成して決めた「放射性物質汚染対処特措法」とそれに基づいた「緊急実施基本方針」に基づいているからです。この基本方針は(1)除染の対象地域を限定している(2)国基準以下の汚染レベルの低い廃棄物を一般廃棄物とみなし自治体の処理にしている(3)東電の責任と国の責任をあいまいにしています。
 5ミリの線引きは、東電と国の責任を放棄し、原子力災害をできるだけ小さく見せ、財政を出し惜しむためであり、原発に固執しようという態度が根底にあります。自治体からも批判が噴出しています。県として政府に5ミリの線引きの明確な撤回と、除染は国が責任を果たすようにすべきですが、いかがですか。

2、高校を含む学校・保育所・幼稚園・学童保育・公園など子どもたちの生活空間の除染については、市町村の財政負担をなくすべきと思いますが、いかがですか。

3、伊達市が実証実験を始めています。飯館村の全面除染は3224億円かかるとしています。現在提案されている予算では到底間に合いません。国への第三次補正でどのくらい確保されると考えていますか。

4、県内各地域で除染を実施していますが方法や計画がばらばらです。これまでの経験や知見を共有し除染をより効果的に進めるために、市町村と各研究者が一体になって進める組織が必要ですがいかがですか。1000人の人材養成といいますが、子どもたちの周りの除染を優先して配置すべきと思いますがいかがですか。住宅の除染の手引はいつころまでに作成しどのように周知徹底をするのですか。
 「福島県で子育てをしてもいい、暮らしてもいいな」と言うメッセ−ジが伝わるように除染計画の見通しを示すべきと思いますがいかがですか。

三、食の安全について

1、学校給食の検査体制の強化のため、学校給食施設単位で、食材の放射能検査が実施できるように検査機器の配置のため、市町村の負担にならないように(公私を問わず)市町村への財政的支援することを求めますか、いかがですか。

2、米の問題は、主食でもあり県内経済に大打撃を与える問題でもありますので、検査体制を強化するとともに、暫定規制値を超えないものの、放射性セシウムの濃度が高い場合は、その地域単位での全量買い上げを国に求めるべきと思いますがいかがですか。

3、食の安全を守るため、検査機器の緊急輸入、民間や研究機関の検査機器の借り上げ等、検査体制を早急に整える事が重要です。県民が身近に食物等を検査する体制を整える必要がありますがいかがですか。

四、医療・福祉問題について

1、県民健康調査が始まりましたが、放射能の影響で、いままでも不足していた医師・看護師など医療スタッフの避難退職が相次いて、県民の健康対策に困難を増しています。また同様の問題で若い人の避難は産科・小児科の医療機関の経営に打撃を与えています。このような問題を克服して、健康管理の十分な体制を整え、原発放射能の問題が心配されたが、結果的に福島県民は長生きできたと言われるように全力を挙げるべきです。
 医療スタッフが県外に避難する一方、国内外には放射能の健康被害に対し貢献したいという意欲に燃えた方々も多いです。これらの方々を福島県に来ていただくための情報発信と医師の具体的処遇改善が必要ですが、どのように考えていますか。
 また、政府は地域医療再生基金を東北3県に120億円づつあるとしていますが、これらを活用して公立私立を問わず医師・看護師の確保に使うべきと思いますがいかがですか。

2、10月からは18歳以下の甲状腺の検査実施を行い、今年度は3万6千人を対象にするとのこと。すべての子どもへの放射能の健康不安が広がっているだけに、県としては18歳までの医療費無料化を実施すべきと思いますがいかがですか。
 その際、県の制度にして市町村負担をなくすとともに、その財源は全額国に求めるべきと思いますがいかがですか。

3、原発事故にかかわって、高齢者の精神状況は深刻です。それは健康そのものにも深刻な状況を与えています。
 65歳以上の医療費無料化を求めますがいかがですか。その費用総額を国に求めるべきと思いますがいかがですか。

4、すべての県民の健診費用の無料化を求めますが、いかがですか。

5、放射線医学について、医大に研究機関・施設・体制を計画しているようですが、原発事故収束に貢献している多くの労働者がいわき市にいます。福島労災病院との連携をどのように考えていますか。

五、希望の持てる復興施策について

1、介護問題について

 もともと1万人以上の待機者で施設不足が深刻だった福島県内で、双葉・南相馬地域から、県外や、いわき・中通り・会津地域に介護状態にある方々が緊急避難しています。一人部屋に数人が入居しなければならなくなるなど、介護施設が劣悪な状況になっています。
 原発で避難した30キロ圏内の介護施設数と定員、今後の回復の見通しと課題についてお示しください。
 仮設住宅に緊急的介護施設を設置する必要がありますが、県の計画と具体化についてお示しください。
 県の責任で介護施設の増設が必要です。国に予算要望をし増設すべきですがいかがですか。

2、仮設住宅問題について

 仮設住宅の積雪・寒さ対策や、洗濯干場・スロープの屋根・通路の舗装・排水対策等の進行状況についてはどのようになっていますか。
 今回の水害で須賀川市の仮設住宅が浸水被害にあいました。何重にもなる苦難が続きます。県の対策はどうなっていますか。

3、被災者の心配は今後の生活設計です。自力で住宅を作ることができない被災者の心配の声が上がっています。
 県はこれまで公営住宅建設は縮小する方向でしたが、今度の災害を受けて建設を進めるべきです。厳しい財政の市町村任せでなく県の責任で住宅建設を進めるべきですがいかがですか。
 国の特別な支援を求め早急に計画を示すべきですが、いかがですか。
 いわき市は被災した他市町村からの居住希望者が増え続け、さらに地震の被害も広がり続けているなど、現状でも家を見つけることが困難です。今不足している住宅対応をどのように考えていますか。

4、真の復興は住民の暮らしと中小商工業者の復興が基本です。
 しかし、工場・店舗等再生支援事業補助金はさる7月末に募集が締め切られ多くの希望者が利用できなくなりました。予定予算の3倍近い応募があって今回その処理のためだけの補正予算が組まれました。復旧の基本は被害があっても、そこで商売を続けられることができるかどうかが決め手です。
 多くの方々が待っている、中小企業等復旧・復興支援事業のうち、特に要望の多い、工場・店舗等再生支援事業の二次募集を早急に行うべきですがいかがですか。

6、行政改革の名の下に自治体職員減らしが進められてきました。今回の大災害で職員不足が重大事態になっています。それは職員の心身の問題だけでなく、広く市民の要望に対応できない事態になっています。
 原発災害の長期化・広がり、いわきの地震災害の広がりなど、市民対応が待ったなしです。県及び市町村への長期的な人的支援を国に求めるべきですが、いかがですか。

六、賠償問題について、

 原子力賠償においては、「中間指針」がまとめられましたが、福島県の実態に見合ったものとは到底言えません。9月7日の県議会全員協議会でも東電は人災と認めない、賠償は国の陰に隠れて抑えようとしてまったく誠意のない態度でした。
 県はさる21日、東京電力の西沢社長に対し、原発事故がなければ生じなかったすべての損害について誠意を持って対応すること、被害者の立場に立った対応をすることなどを申し入れました。
 また、さる9月27日の衆議院予算委員会での日本共産党の志位委員長の質問に対し東電は、「加害者としての意識は自覚している」と答えましたが、人災については認めませんでした。枝野経産大臣は「国と東電による人災だ」と述べました。
  精神的な損害も含め被害はオール県民が受けています。中間指針にとらわれず、全県民対象に聞き取りを行い十分な賠償を求めるべきと思いますが、いかがですか。

七、教育問題について

1、教育の再生は福島県の再生です。しかしそうなっているでしょうか。子どもの健康と学力はどうなっているのでしょうか。疲れ果てた先生も多いです。
 7月の常任委員会の調査では、被災地の校長先生等から、故郷や家をなくし、友人が命まで落としている中で、親代わりにと思っている先生を転勤させたやり方は納得できない、被害を受けた先生が兼務を解消して手厚い教育ができるようにしてほしい、慣れ親しんだ多くの先生と別れなければならなかった子どもたちの思いを語りながら、今からでも兼務を解消して現場にあった教員の配置をしてほしいと要望を受けました。
 また、最近では養護の先生から学校の除染が進まず、プールや校庭の使用が制限され公園でも遊べず、肥満が深刻と言います。1学期から2学期にかけて体重が13キロも増えた子どもがいて、4キロくらい増えた子は何人もいると言い、放射能の前に成人病の心配が出てきてしまうと言うのです。
 教員の兼務をなくし、被災地の児童生徒のケアができる体制を取れる教員数を確保する事が重要ですがいかがですか。
 福島県で最初に25人学級を実施することを国に求めるべきと思いますがいかがですか。

2、県は来年度は正規教員採用だけでなく再任用も採用しない、講師は減らすという方針です。災害にあった子どもや教員の思いにこたえないばかりか、優秀な人材を教育現場に入れる機会も失わせました。今後の(公立小中学校の)教員採用計画・規模についてお示しください。

3、エアコン設置問題ですが、電気代の負担が重いので扇風機にしたが、熱い空気をかき混ぜるだけで気分が悪くなった子どもが出るなど問題がでています。エアコンを設置する市町村に維持管理の補助も支援すべきと考えますがいかがですか。来年度以降の設置要望にも応えるべきですがいかがですか。これらについて私立学校についてもお答えください。

4、いわき市では地震の被害が大きく、校庭が使えないだけでなく体育館も壊れ仕方がないので体育の時間は廊下を走っている等、子どもたちの体力作りに重大な悪影響が出ている学校があります。(市町村立)学校施設の災害復旧が進むように県の支援が必要ですがいかがですが。

八、いわき市等の地震対策について

 いわき市南部から内陸にかけて、2つの断層が動き、さらに余震も続き、地震の被害が今も広がっています。

1、一部損壊住宅被害の支援策について、市町村が要綱を作れば国の社会資本整備総合交付金を活用し実施できるとのことで、私どもの提案が実り県も努力していただいて一歩前進しました。そして、このことを利用して県内20市町村が支援策を実施することになりました。
 しかし、いわき市や中通りの一部の市町村では、壊れた家が膨大な数になっています。自治体の負担は相当重くなり実施に踏み出されない状況です。県の制度として市町村支援制度を作り、特に被害が大きい自治体への特別な支援が必要ですがいかがですか。

2、地震により山間部の水脈が変わり水の枯渇で苦しんでいます。戸数が少なく別の水源からの取水費用の負担も大きいので、沢水や井戸水を生活用水として使っている地区の支援強化を求めますがいかがですか。

九、大震災のさなか、7月の会津と9月の中通りの豪雨・台風災害がありました。

 只見川の氾濫はダムの放水の在り方が問題視され、阿武隈川の水害は地元民から「人災」ではないか(ポンプ管理・内水面対策)と言う声が上がっています。今回のような記録的な豪雨に対応するためには、河川の整備促進はもちろんですが、減災と言う視点で洪水における人命優先の考え方に基づく減災対策をどのように取り組むのですか。

以 上


答弁

一、原発の全面廃炉について
知事
 宮川議員のご質問にお答えいたします。
 県内の原子力発電所についてであります。
 東京電力福島第一原子力発電所により、農林水産業、製造業、観光など本県のあらゆる産業が甚大な被害を受けるとともに、多くの県民が放射線の不安にさいなまれ、県内外での避難生活を強いられており、これまで国や電力事業者が主張してきた原子力発電所の安全性に対する信頼は、今回の事故によって根底から崩れたものと考えております。
 このような中、福島県復興ビジョンにおいて、福島県では原子力に依存しない社会をめざす、との基本理念を決定し、国に対しても、こうした考えを示してきたところであります。
 県といたしましては、人口が200万人を割り込むなど、本県が直面している深刻な状況を考えると、原子力災害の一刻も早い収束が何よりも重要であり、国や電力事業者に対して、引き続き強く求めてまいります。

二、放射線所染について
生活環境部長
 除染に関する国の責任につきましては、10月2日に知事が、直接、細野原発事故担当大臣に対して強く申しいれたところ、除染は国の責任で推進すべきものであり、追加被曝線量が年間1から5ミリシーベルトの間の地域の面的除染に要する経費についても、国が財政措置を講ずるとの解答がありました。
 次に、市町村の財政負担につきましては、市町村除染計画に基づき、子どもたちの生活空間を含む面的除染及び局所的除染を実施する場合には、その経費は、すべて、国の責任において措置されるものと認識しております。
 次に、国の第3次補正で本県に配分される除染に係る予算額につきましては、現在、調整中であると聞いております。
 いずれにいたしましても、各市町村における除染の進捗状況に応じ、県予算額が不足する場合には、所要額を確実に措置することを引き続き国に要請してまいる考えであります。
 次に、除染の推進につきましては、国や日本原子力研究開発機構、原子力学会等と一体となって、市町村に対して適時適切に専門家を派遣し、技術的助言を行うなかで対象ごとの除染の方法や成果等について、情報共有を図りながら、効率的・効果的に取り組んでまいります。
 次に、除染業務講習会修了者を子どもたちの生活空間の除染に、優先的に配置することにつきましては、市町村が作成する除染計画に基づき、子どもの主たる生活の場である住家を含めた面的除染を実施する場合に、講習会修了者を要する事業者が活用されるものと考えております。
 次に、住宅の除染の手引きにつきましては、先般実施した住宅除染モデル事業の成果を踏まえ、今月中を目途として作成し、ホームページに掲載するほか、地域説明会などにおいて活用したり概要を分かりやすくまとめたパンフレットを配布することなどにより、周知徹底してまいります。
 次に、除染計画につきましては、市町村はそれぞれの地域の実情に応じた除染目標や達成時期を定めることとされていることから、これらを、広く地域の内外に、分かりやすく発信することにより、地域住民の将来にわたる安心感を醸成していくことができるものと考えられます。
 県といたしましては、引き続き県民の不安解消や理解促進のため、市町村や関係機関と一体となって取り組んでまいります。

三、食の安全について
教育長
 学校給食施設への放射性物質検査機器の導入につきましては、設置者である市町村が、地域の実情等を踏まえ、判断すべきものと考えております。
 県教育委員会といたしましては、農産物等のモニタリング結果の速やかな情報提供に引き続き努めてまいります。

農林水産部長
 米につきましては、今月中旬を目途に、二段階による綿密な放射性物質調査を実施し安全性の確認に努めているところであり、県といたしましては、その状況を見極めながら適切に対応してまいる考えであります。

生活環境部長
 次に、水や食品等の分析体制の整備につきましては、市町村に対し、「線量低減化活動支援事業」を活用した放射能簡易分析装置の導入を働きかけるとともに、消費者庁が年内にも予定している全国自治体への配備にあたって、県内市町村への優先的な割り当てを強く要望しているところであります。

四、医療・福祉問題について
保健福祉部長
 医師を本県に招聘するための取り組みにつきましては、被災県に対する医師派遣を支援する組織である被災者健康支援連絡協議会を通じて、県内医療機関への医療従事者の派遣を全国に広く要請するとともに、国が設置する「相双地域医療従事者確保支援センター」とも連携しながら、医師の確保に取り組んでまいります。
 また、被災地に勤務する医師の処遇改善など人材を確保するための病院の取り組みを積極的に支援してまいる考えであります。
 次に、地域医療再生基金につきましては、今般の震災は医療人材の流失をもたらし、被災地を中心とした地域医療の確保に重大な影響を与えていることから、地域医療再生基金を活用し、災害で働く場を失った医療従事者の雇用や、県外からの医師・看護師等の確保などの病院の取り組みを、公立・民間を問わず、積極的に支援してまいる考えであります。

子育て支援担当理事
 医療費無料化につきましては、対象年齢拡大に対応するだけの十分で継続的な財源の確保が課題であると考えております。
 こうした点も含め、補助対象とする年齢や経費など、子どもの医療費助成のあり方について、研究してまいりたいと考えております。
 次に、医療費無料化を県の制度とすることにつきましては、現在、県は、市町村がそれぞれの地域の実情に応じて行っている医療費助成に対して、必要経費の一部を補助しているところであり、その仕組みは今後も維持したいと考えております。
 また、子どもの医療費については、これまで、医療保険制度において、給付割合や対象年齢の更なる拡充を図るよう、国に要請してきたところであり、加えて、このたびの原子力災害を乗り越えるため、本県の子供に係る医療費について助成する制度を設けるよう、国に対し強く要望しているところであります。

保健福祉部長
 65歳以上の医療費の無料化につきましては、税と社会保障との一体となった議論が必要であり、国において検討されるべきものと考えております。
 なお、現在、東日本大震災の被災者について医療費の一部負担金等が免除されているところであります。
 次に、健診費用の無料化につきましては、特定健診やがん検診等の実施主体である市町村や医療保険者等が判断すべきものと考えております。
 次に、福島労災病院との連携につきましては、復興ビジョンにおいて、県立医科大学における放射線医学に関する研究や診療機能の強化を目指すこととしておりますが、今後は、地域の中核的医療機関との連携についても関係機関や団体等の意見を伺いながら、検討してまいりたいと考えております。
 次に、震災に伴い避難した介護施設につきましては、屋内退避または避難指示のあった区域内の介護施設の数は30施設であり、その定員数は合計で1744人となっております。先般解除された緊急時避難準備区域内にある介護施設の大半は、すでに再開または再開の準備をしている状況であり、津波により被災した施設や警戒区域内にある施設の再開に向けた対応が今後の課題であると考えております。
 次に、仮設住宅における介護施設の設置につきましては、高齢者等サポート拠点によるデイサービス等の提供や、認知症高齢者等を対象としたグループホーム型の仮設住宅の整備により対応することとし、仮設住宅に入居する高齢者のために必要な介護サービス提供の確保に取り組んでまいる考えであります。
 次に、介護施設の増設につきましては、被災した施設が、既存の建物等を借り上げる場合や仮設による施設を整備する場合に支援を行うほか、次期後期高齢者福祉計画等においても、震災の状況も踏まえ、市町村と連携して、介護施設の計画的な整備に取り組む考えであり、これらの事業が円滑に進むよう国に支援を要請してまいる考えであります。

五、希望の持てる復興施策について
土木部長

 仮説住宅の積雪・寒さ対策等につきましては、入居者からの要望も踏まえ、おおむね11月末までを目標に工事を実施しております。
 次に、台風15号で水害を受けた須賀川市の仮設住宅につきましては、市からの要請に基づき、同じ敷地内で盛土を行い、移築することとしております。
 次に、被災者のための公営住宅の建設につきましては、住民や地域の実情に精通した市町村が主体的にその役割を担うことが望ましいと考えております。
 しかしながら、原子力災害により避難を余儀なくされた市町村については、警戒区域の設定や自治体機能の移転などの特殊事情を踏まえ、市町村の意向も確認しながら、県の対応を検討してまいりたいと考えております。
 次に、被災者のための公営住宅の建設に対する国の財政支援につきましては、現行の国庫負担率の引き上げや地方負担に対する全額交付税措置など、国が全面的な財政措置を講じるよう要望しているところであります。
 次に、いわき市内の住宅対策につきましては、罹災住民や避難住民に対して、応急仮設住宅の供給、民間住宅の借り上げ、公営住宅空き家の提供を提供を行っておりますが、借り上げ住宅の供給にも限度があることから、市町村から要請のあった、応急仮設住宅の早期完成に努めております。
 今後は、罹災住民などの適正な把握に努め、必要となる応急仮設住宅の供給を図っていく考えであります。

商工労働部長
 中小企業等復旧・復興支援事業のうち、工場・店舗等再生支援事業の二次募集につきましては、被災企業の事業再開に向けた動きが進んでいることなどを踏まえ、来月の上旬を目途に、募集を開始できるよう、検討しているところであります。

総務部長
 人的支援につきましては、復旧・復興事業の本格化に伴い、中長期にわたる対応が必要なことから、総務省や全国知事会等を通じて、自治体職員の派遣を要請し、受け入れを行ってきているところであります。
 また、先月22日に行った総務大臣に対する要望の中で、国や独立行政法人職員の中長期的派遣による人的支援を求めたところであり、今後とも、復旧・復興事業の進捗状況等を踏まえながら、適切に対応してまいる考えであります。

六、賠償問題について
原子力損害対策担当理事
 原子力損害賠償につきましては、原子力災害が、県内全域であらゆる分野に及んでいることから、電話相談窓口や関係団体、市町村で構成する「原子力損害対策協議会」等を通し、被害の実態把握に努め、幅広く損害の事例を積み上げながら、国、東京電力に対し、確実かつ十分な賠償を強く求めているところであります。

七、教育問題について
教育長
 教員の兼務につきましては、警戒区域等にある学校の教員を避難した児童生徒の心のケアや学習支援等に当たらせるために、避難先の学校を中心に配置しているものであります。
 県教育委員会といたしましては、児童生徒の動向や学校再開の状況等を踏まえて、教員数を確保してまいりたいと考えております。
 次に、25人学級につきましては、本県では、全国に先駆けて30人学級及び30人程度学級を導入しているところであり、これをしっかりと実施してまいりたいと考えております。
 次に、公立小中学校の教員採用につきましては、毎年度、児童生徒数の増減を始め、学校の統廃合の状況や教員の退職予定者の数等により採用数を見込んでいるところであり、来年度以降につきましては、先行きが不透明な状況でありますが、教員採用試験が実施できるよう努めてまいる考えであります。
 次に、市町村立学校に係るエアコンにつきましては、学校の設置者である市町村が、その維持管理費を含め、総合的に判断して、設置したものと理解しており、エアコンの維持管理費を補助の対象とすることは考えておりません。
 次に、エアコンを設置する私立学校に対する維持管理費の補助につきましては、学校運営に要する管理経費等が私立学校運営費補助金の対象とされていることから、新たな補助は考えておりません。
 次に、市町村立学校のエアコン設置に係る補助事業につきましては、原子力発電所の事故に伴い、今年度緊急的に実施した事業でありますが、それ以降の継続については、今後検討してまいります。
 次に、私立学校に対するエアコン設置に係る補助事業につきましては、原子力発電所の事故に伴い、今年度緊急的に実施したものであり、来年度以降については、今後検討してまいります。
 次に、公立小中学校施設の災害復旧につきましては、国の災害復旧事業の対象となることで、市町村の財政的負担は大幅に軽減されることになります。
 県教育委員会といたしましては、市町村が行う災害復旧事業が国の事業として円滑に採択され速やかに実施できるよう、市町村からのさまざまな相談にきめ細かに対応するなどして積極的に支援してまいります。

八、いわき市等の地震対策について
土木部長
 一部損壊した住宅の改修につきましては、県において、国の社会資本整備総合交付金により事業が実施できるよう調整し、現在、20市町村においてその活用が図られているところであり、引き続き支援してまいる考えであります。

保健福祉部長
 沢水や井戸水を生活用水として使っている地区の支援策につきましては、水道法の規定により、水道の整備は市町村が行うものであることから、それぞれの市町村において、検討されるものと考えております。

九、記録的豪雨対策について
土木部長
 洪水時の減災対策につきましては、堤防の整備や調整池の設置などにより流域の洪水に対する安全度の向上を図るとともに、住民の的確な避難が可能となるよう、雨量や河川の水位等の防災情報のきめ細かな提供や、危険箇所や避難路を再確認する防災訓練を実施するなど被害の最小化を図るための総合的な施策を、よりいっそう推進してまいります。

再質問

宮川えみ子県議
 全炉廃炉について知事に伺います。浜岡原発のある牧之原市議会も、永久停止を求めた決議が採択され、国の原子力委員会に寄せられた意見の98%も「脱原発」の意見でした。福島県の立地町のある町長さんは、廃炉作業は長い時間と大変な人手を要する、つまり長期間の相当な雇用が見込まれますと言いましたら、ほっとしたように原発に対する本音を語りました。知事も地元町長も雇用を心配しているようですが、雇用は相当確保されます。それに再生可能資源エネルギー推進地域にしていけばさらに雇用は増えます。全面廃炉がそのスタートになりますが、はっきりと言っていただきたいと思いますがいかがでしょうか。
 それから、生活環境部長に除染についてうかがいます。大臣は、5ミリシーベルト以下は支援しないという方針を撤回したと言いますが、内容がはっきりしません。知事は、「もともと除染は東電と国の責任だ、一軒・一軒訪ねて除染をすべき」と言っているわけですから、除染計画を持った全市町村には全面的財政支援を行わせる事は当然です。除染は最大限応じると言うだけではだめです。全面的に責任を持つ・費用は全額持つと明言させる事が大事だと思いますが、いかがですか。
 それから、若い人の福島県からの避難が止まりません。除染計画メッセージを市町村任せでなく、県として出していく事が必要だと思いますがいかがですか。
 教育長に質問します。学校給食での放射性物質検査ですが、若い人の避難要因の大きな理由は、内部被曝問題です。安全と同時に安心を提供する必要があります。支援を求めますがいかがですか。
 25人学級を国に求める事ですが、野田総理は9月20日の閣議で、「復旧復興にかかる費用は十二分に要求を出してもらいたい、青天井でいい」と述べたとのことです。
 知事は、さる7月21日、「東日本大災害からの復旧・復興に関する要望」という、34ページにわたる要望を内閣に提出しました。ところが、児童生徒かかわる要望はほんのわずか2ページくらいです。教育の復興が福島県の復興と言うのですから、本当に大変な思いをしているわけですから、もっと国にいろいろ要望したらいいと思うのです。25人学級を福島県からと、要望してもらいたいのですが再度伺います。
 それから、賠償問題について原子力損害対策担当理事にお聞きします。健康被害調査は全県民に行います。精神的被害は全県民が負いました。どんな問題でも相談に来ていい、窓口を設けた、情報を提供した、これだけでは肝心の損害を受けた人が本来受けられる賠償支援を受けられません。方法はいろいろあると思いますが、全県民対象に聞き取り調査を行う事は重要だと思います、再度お答えください。
 中小企業支援事業ですが、商工労働部長にお聞きします。これはやるということで非常に期待しております。前回の7月の締め切りの夜中の11時まで、なんでこんなところに人がいるのかというほど、いわき合同庁舎はものすごい人でした。そして、「もう締め切りました」というポスターのような大きなことわりが次の日に張りだされたわけです。予算をどのように見ているのか、積み残して占め切ってしまう事のないようにしてもらいたい、今が大事な時期だと思うんです。そのようなことで予算の関係がどうなっているかお聞きいたします。

答弁

知事
 原子力災害が収束しない現状において、まずはこの事故の収束が第一である。事故の収束に全力で取り組むことが大事だと考えております。また、本県の原子力発電所においては、再起動はあり得ないと常々申し上げてきたところであります。

生活環境部長
 まず除染の費用についてでありますが、先般、細野大臣が来県した際にも、市町村が除染の実施基本方針に基づき除染計画を作成し、面的除染あるいは局所的除染を行う場合には、国の責任においてしっかりと財政措置を講ずるように要望したところであります。さらに基金総額が不足する場合には、追加的な措置も含めてしっかり講ずるように要望したところでございます。今後とも、そうした要望を強くしてまいりたいと考えております。
 それから、安全・安心の除染計画の策定について、安全・安心のための分かりやすい公表についてでございます。現在、ウェブサイトを立ち上げまして、線量情報については逐次公表して分かりやすくお示しをしているところでございます。これに加えて市町村が除染計画を策定する場合には、除染の目標、除染を行った場合の達成時期について明らかにし示していくことが、安心感の醸成につながると考えられますので、公表の仕方についても工夫してまいりたいと考えております。

商工労働部長
 工場・店舗等再生支援事業の予算につきましては、現在、募集とあわせて検討しているところであります。

原子力損害対策担当理事
 すべての県民の聞き取り調査ということでありますが、200万人県民すべては、実態として難しい面はございますが、電話相談の拡充、それから巡回法律相談を新しくやることといたしまして、それから市町村を通じての把握、それから協議会の各団体の会合にのべつ出ていまして、事業者からの聞き取り調査も行っておりますので、こうしたことを通じまして、1人でも多くの実態を把握をしながら、国・東電に訴えかけてまいりたいと考えております。

教育長
 学校給食の検査の機器に対する財政的支援の話でございますが、そもそも市町村におきまして、学校給食の提供の方式が違っております。それから食品の購入の方式も違っておりますので、これは先ほど申し上げたとおり、市町村の判断になるのかと思っておりますが、現在、国において3次補正予算の中で新たな制度として基金の整備という状況もあるようですのでその辺の情報も適時、市町村の方に提供してまいりたいと考えております。
 それから、25人学級でございますが、これにつきましては先ほど申し上げましたように、今回の大きな震災の中で児童生徒の転校等非常に大きな動きが出ております。学校の再開等もございます。この中で福島県が全国の中で先がけて行っております30人、あるいは30人程度学級を維持しながら、教育体制を整備して行きたいと考えております。

再々質問

宮川えみ子県議
 知事におねがいいたします。再稼働はあり得ないと言いましたが、やはりいま明確に言わないと国の方ではやるということですよね。だから私は、何も知事の責任で日本中の原発をやめよと言っているわけではないんですね。この福島原発の全面廃炉と言っているわけです。今度の原発事故の一番の責任者は東電です。次は国です。しかし、これを防ぐことができなかった、県民を塗炭の苦しみに陥れた責任の一環は知事にあります。いま全面廃炉をはっきりと主張し、国に求めるこれがいま全県民にできる知事の最大の貢献ではないかと思うんです。再度、東京電力福島原発の全面廃炉を表明し、国に求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 それから、生活環境部長に質問いたします。しっかり要望した、いろいろ要望した、全面的に出すよう要望した、といいますが答えはどうだったのでしょうか。
 それから、土木部長に質問いたします。一部損壊住宅支援についてお聞きします。いわき市は、井戸沢断層と湯ノ岳断層という二つの断層が動きました。重要幹線道路の不通が続き、やっと開通しつつありますが、道路という道路はぼこぼこです。家は、いわき市全部で13万3千戸あります。しかし、そのうちの半分の6万7千戸が壊れたんです。全壊と大規模半壊あわせると1割以上で、一部損壊は3万4千軒に上っています。いまだに列を作って家屋被害の申請が窓口に来ているんです。
 国の制度を引き出して実施いただいた努力は大変ありがたいのですが、県がやっぱりこういうところの支援する制度にならないと、肝心の困っている市町村ができないんです。県として何らかの支援策を求めますが再度伺います。

答弁

知事
 本県の原子力発電所においては、再稼働はあり得ないと常々申し上げてきたところであります。

生活環境部長
 細野原発事故担当大臣は、年間1〜5ミリシーベルトの間の面的除染に要する経費についても国が財政措置を講ずるという回答をされました。

土木部長
 この事業そのものが、一部損壊した住宅の修繕を補助する市町村を交付金で支援しようとするものであり、引き続き現行制度で対応して行きたいと考えております。

以 上



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