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6月定例県議会討論

2010年6月30日 藤川淑子

 日本共産党の藤川淑子です。
 私は、議案第一号、福島県国民健康保険広域化等基金条例の一部を改正する条例、議案第二号、福島県税条例の一部を改正する条例、議案第十三号、県の行う建設事業等に対する市町村の負担の追加および一部変更について、の各議案に反対の立場で意見を述べさせていただきます。

 議案第一号、福島県国民健康保険広域化等基金条例の一部を改正する条例は、国民健康保険の広域化方針および、その実施に基金を使えるように改訂する内容です。
 国民健康保険法が一部改訂され、都道府県は、国民健康保険の運営の広域化または国民健康保険の財政の安定化を促進するための市町村に対する支援の方針を策定できることになりました。
 この広域化等支援方針策定の背景は、民主党のマニフェストにある、被用者保険と国民健康保険を段階的に統合し、将来、地域保険として一元的運用を図るとする方向性を踏まえ、市町村国保の都道府県単位化を進めるためのものです。前政権が進めてきた、地方分権改革推進要綱の路線上に、後期高齢者医療制度廃止後の新たな医療制度の在り方についての議論を加え、市町村国保の広域化が一層推進される状況となっています。
 市町村国保がかかえる財政的な問題は、高齢化に伴う医療費の増加だけが原因のように言われていますが、市町村国保に対する国庫負担を減らしてきた政策に根本原因があります。1984年から2007年までに、医療費への定率負担は45%から38.5%に削減されました。
 加えて、事務費への国庫負担や、助産費補助金への国庫負担、保険料軽減費負担金がすべて廃止され、市町村や都道府県の負担になり、市町村国保の総収入に占める国庫支出金の割合は、1984年に49.8%だったものが2007年には25%にまで減らされ、それが保険料を押し上げ、1984年当時、一人当たり保険料は39020円だったものが2007年には84367円に高騰し、払いたくても払えない世帯を増やし、滞納を理由に資格証明書を乱発し、国民のいのちと健康を脅かしています。さらに、政府は退職者の医療給付も、国庫負担ゼロの被用者保険に転嫁しています。
 国民の医療に責任を負う国の役割を投げ捨て、国庫負担を削減してきた政策の誤りを正すことなく、市町村国保を広域化しても問題の解決には至りません。さらに、後期高齢者医療制度廃止後の新しい高齢者医療制度の素案では、65歳以上の高齢者を原則国民健康保険に加入させ、広域化した国保、つまり都道府県に運営を委ねるとしていますので、これでは地方の矛盾が増幅されることは火を見るより明らかです。
 今、求められている医療改革は、国民健康保険の国庫負担率を元に戻し、一人当たりの保険料を引き下げ、必要な医療はきちんと受けられるようにすることであり、各地方自治体が独自に進めている乳幼児や障害者医療費助成などの制度を、国の制度として実施することであり、高齢者の窓口負担は無料化する改革です。
  今議会に提案された条例改定は、国保の広域化の環境整備につながる改定ですので賛成できません。

 次に、議案第二号、福島県税条例の一部を改正する条例は、政府の税制調査会方針にもとづく国税改訂に連動した改訂です。
 民主党政権による初めての税制改正が昨年12月に、政府税制調査会「平成22年度税制改正大綱」としてまとめられました。今年度の政府予算の歳入見込みは、前年度と比べて九兆円の落ち込みですが、この急激な落ち込みは、おもに、金融危機による世界的不況の影響を見込んでいることと、前政権が所得税の最高税率や法人税率を引き下げ、租税特別措置による大企業優遇策などを繰り返し、税制を大きく変えてきたことによります。
 民主党政権の税制改革は、このような税収構造を正す抜本的改革には手をつけず、子ども手当や高校授業料無償化など目玉政策の財源捻出のための税制改革にとどまりました。「隠れ補助金」とも呼ばれる、特定の業界や大企業が恩恵を受けている租税特別措置については、租税特別措置透明化法案で、改革に手をつけたものの、研究開発減税や証券税制などを温存したまま、大企業や大資産家優遇にはメスは入らず税収を上げる決め手にもなっていません。子供手当や高校授業料無償化の財源に充てるため、年少扶養控除の廃止や特定扶養控除の縮小で子育て世代への影響は複雑です。配偶者控除の廃止もされ、これは、子供のいない片働き世帯への増税となります。所得税や住民税の負担増は保育料や国民健康保険税など他の制度に連動した負担増をもたらしますので、前政権が進めた庶民いじめの税制改革と同じ立場であり、暮らしにとって厳しいものとなりました。
 今議会に提案されている条例改定には、たばこ税増税と非課税口座制度新設に伴う改定が入っています。
 たばこ税増税は、「健康の観点から」と理由づけされていますが、一本当たり3.5円の値上げで、標準的なたばこ一箱100円程度のアップになります。たばこは身体に悪いことは明白であり、喫煙率を下げる施策に力を入れることは当然必要ですが、大衆的なし好品の値上げは庶民増税です。
 また、非課税口座制度新設は、高額所得者に多大な利益を与えてきた証券優遇税制の期限切れの後継措置として新設されました。毎年、新規投資で100万円、3年間で最大300万円までの少額上場株式等の投資について、配当および譲渡益を最大10年間非課税にするというものです。これは、小泉構造改革時代の「貯蓄から投資へ」の流れを受け継いだものです。庶民の将来生活のための資産を優遇するための非課税口座を設けるのなら、もっとも安全に所有できる預貯金にこそ優遇口座を設けるべきと考えます。
 以上の理由で、県税条例改正は認めることができません。

 次に、議案第13号、県が行う建設事業等に対する市町村の負担の追加および一部変更については、国の見直しにより、事務費の負担はなくしたものの、建設費の負担は従来通り市町村に求めており、その金額は、土木関係で28市町村、9億9251万8700円、農林水産関係で47市町村27億7912万2426円にものぼります。県の行う建設事業への市町村負担は早期に廃止すべきと考えます。よって、議案第13号には賛成できません。

 次に、新規請願175号、安全審査想定外の長期保管MOX燃料を使い、原発敷地内に使用済みMOX燃料を貯蔵するプルサーマルを進めないよう求める請願については、採択する立場で討論いたします。
 この請願は、東京電力がすすめるプルサーマル計画において、長期保管のMOX燃料の使用をやめることと、原発敷地内に貯蔵する使用済MOX燃料の処理方策が決まるまで、プルサーマルを進めないよう求める請願です。
 東京電力福島第一原発3号機に搬入されているMOX燃料は、裁判において品質データや検査方法の開示が指摘された経緯があり、品質については未確認の燃料です。その上、搬入から10年が経過し、劣化や組成変化等の心配があり、健全性の確認が必要な燃料です。
 県においても、耐震安全性の確認、高経年化対策の確認とならんで、長期保管MOX燃料の健全性の確認をプルサーマル受け入れの必要不可欠な3条件とし、国や東京電力に的確な説明責任を求めているところです。搬入から10年、製造から12年も経過した燃料でプルサーマルを実施した事例は世界でも例がなく、現時点で健全性の確認がなされていない長期保管のMOX燃料を使用しないことを県民が求めるのは当然のことです。
 また、同請願が求めている、プルサーマルを実施した際発生する使用済みMOX燃料の処理方策及び貯蔵先を明確に示すことについては、行き場のない使用済みMOX燃料が福島第一原発の敷地内に蓄積され続けるという将来にわたる問題を指摘し、この問題の解決策が示されない限りプルサーマルの実施はすべきでないとしています。
 国では、使用済みMOX燃料の再処理は第二処理工場で行うこととしていますが、原子力長期計画でも第二処理工場の見通しはいまだ立っておらず、やっと検討に入ったところです。
 この問題では、福島県エネルギー政策検討会「中間とりまとめ」においても、第二処理工場の実現性が極めて低い中で、使用済みMOX燃料の処理は明確ではない、との立場を明らかにしています。
 使用済みMOX燃料の処理方策の問題は、プルサーマル導入に賛成であっても、反対であっても、看過できない福島県の将来にかかわる重要な問題です。県民の安心安全を最優先する立場に立てば、これらの問題が明確に解決できるまで、プルサーマル実施をしないで欲しいという県民の声に、しんしに耳をかたむけるのが県議会の果たすべき役割ではないでしょうか。
 プルサーマルの実施については、現在、県が3条件の確認中でもあり、「県民の安心・安全の確保を最優先に慎重に対応したい」と述べていることから、この請願の審査過程において、私たちは、充分に慎重な議論をすべきと意見を述べましたが、慎重審議されることなく結論を急ぐという扱いになりました。
 プルサーマル実施を急ぐことについて、多くの県民が、さまざまな不安を感じています。私は、県議会は県民の代表であり、企業や行政の立場に立つのではなく、県民の意見を鏡のように映すことが、何より大切であると思うのです。
 よって、請願175号は採択すべきものと考えます。

 以上、述べさせていただきまして、私の討論といたします。



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