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2010年2月県議会 当初予算反対討論

2010年3月18日
県議 神山悦子

 日本共産党の神山悦子です。
 日本共産党県議団を代表し、議案第1号 2010年度福島県一般会計予算、24号 福島県建築士法関係手数料条例の一部を改正する条例、議案第25号 福島県立総合衛生学院条例の一部を改正する条例、議案第29号 福島県都市公園条例の一部を改正する条例、議案第30号 福島県自然の家条例の一部を改正する条例、議案第47号 福島県立病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例、議案第56号 県の行う建設事業等に対する市町村の負担について、以上7件に反対の立場から意見を述べさせていただきます。

 まず、議案第1号 県の2010年度一般会計予算についてですが、新年度の予算規模は9,022億円と2年連続の増加、2005年度以来5年ぶりの9,000億円台となりましたが、415億円の借換債の特殊要因を除けば、8,607億3,500万円と前年度をわずかに上回る規模です。

 新年度の予算が大きくふくらんだ主な要因は、昨年の政権交代によって高校授業料無償化や社会保障費の自然増分など国庫支出金の増額に加え、新年度からスタートする新総合計画の重点施策が盛り込まれたことによるものです。
 しかし、歳入面では、地方交付税が増額されたものの、もともと地方税収の少ない地方財源を保障するための制度ですから、県税収入が対前年度比で約300億円、率にして14.5%の減収分が地方交付税で補填されたにすぎません。しかも、地方交付税は、2,917億円のうち過去最多となった765億円の臨時財政対策債を除けば、実質的な地方交付税は前年度比で73億円、3.5%しか増えていないのです。
 したがって、本県の財政運営にゆとりが生まれたわけではないので、県債の発行や主要基金80億円を取り崩してのやりくりとなりました。県債の全体規模は、対前年度227億円14.1%増やし1,840億円、借換債を除いた県債依存度は16.6%となります。

 一方、歳出面をみると、公共事業などの投資的経費は、国補助事業で14%削減されたものの、県単事業の公共事業は増えました。もちろん、県単の公共事業の多くは、生活関連の整備など住民要望が多い事業であり、大型から小型事業へ、新規建設から維持管理へ、そして、地域循環型へと公共事業を転換することは、地元建設業の仕事と雇用確保するうえで必要なものです。
 しかし、その一方で、藤川議員も質したように、県民には不要不急の無駄な大型開発事業は、ほとんど見直しされていません。特に、小名浜東港については、知事が就任してから予算が大幅に増額されており、当初予算だけでなく年度途中にも次々と追加補正を組んでハイペースで推進しています。来年度は事業費ベースで42億円、うち県費21億円を投入します。小名浜東港建設は、1994年度に着工されてから来年度当初予算までの16年間で事業費累計額は444億円、そのうち県費累計額は272億円となります。東港のケーソン埋め立て事業は、今年度末で終了する予定で、新年度からはいよいよ首都圏の建設残土を搬入し埋め立て工事に入ります。今なら建設を中止しても影響は少なくてすむはずです。
 今後、人工島建設と橋梁建設に約300億円もの事業費をかける予定ですが、東港建設を中止して、その予算を今緊急に求められている経済・雇用対策やセーフティネットの構築、子育て支援、高齢者や障がい者支援、介護・医療・福祉・教育予算にこそ向けるべきです。また、宮川議員も質したように、農業や林業で生活が成り立つよう、国の基金活用にとどまらず農産物の価格保障や林業従事者や林業加工業者への支援、県産材を活用するためには新築住宅への補助に加えて秋田県のように住宅リフォームにも支援すべきです。
 農林予算の山のみち地域づくり交付金事業は、旧緑資源機構の幹線林道工事で、事業規模を縮小するなど見直しされたとはいえ、希少野生生物が生息する地域の開発行為であり、自然保護や環境面からもこれ以上事業を継続すべきではありません。

 また、あぶくま高原道路・トラハイは、事業費43億円、うち県費23億円を投入し来年度中の完成をめざします。あぶくま高原道路は、福島空港の利用促進という面もあってすすめられ1994年度に着工されていますが、この道路は前知事にかかわる談合事件の舞台にもなりました。完成すれば全長36km、総事業費1,280億円、そのうち県費722億円を投入しますが、過大な需要予測の下で建設されたムダな道路づくりの典型です。今議会の一般質問で、県道川俣原町線の八木沢峠の整備を求める質問が相次ぎましたが、トラハイを含めた高速交通網優先が、いかに本県の道路行政をゆがめてきたか、今や誰もが認めることではないでしょうか。
 さらに、福島空港は、お隣の茨城空港が今月全国98番目に開港したことから、いっそう需要減少が予想されます。しかし県は来年度、空港利活用促進事業関連費として3億円、空港管理費に4億5千万円の県費を投入しますが、空港の使用料収入を差し引いても7億円の赤字となる見込みです。2001年度から来年度までの10年間の赤字累計は約70億円となる見込みです。旧自民党政権時代に、これもまた過大な需要予測の下、全国に100近い地方空港を乱立してきた反省がないまま、航空会社への着陸料や駐機料の減免、本県は空港利活用促進関連事業まで続け、その赤字の穴埋めに毎年県民の血税を投入してきました。福島空港の閉鎖に向けて真剣な検討を開始すべきです。
 90年代半ばの対米公約で全国の地方自治体も大型開発の公共事業が次々と推進されてきましたが、本県もこれを国策だとして、福島空港も小名浜東港も過大な需要予測を立てて推進してきました。しかし、今後の需要見込みや人口減少、景気の動向、世界市場との関係など、県自らさまざまな角度から再検討すべき時期を迎えていることを指摘するものです。

 その一方で、県内の雇用情勢は、全国ワースト4位と深刻な状況は脱しておらず、当初予算にも高校生の未就職支援が盛り込まれたことは評価しますが、新規高卒者の2月末の就職内定率は87.8%、未内定者は674人で、高校を卒業しても現在約700人近くの就職未内定者がいるのは深刻な事態です。社会人の第一歩が失業者で始まるような事態はなんとしても回避しなければなりません。未内定者への職業訓練手当ての制度創設も視野にあらゆる手立てをとって県の責任で未就職者の支援にあたることが求められます。

 また、政府の高校授業料無償化制度の創設は、大きな前進面ではあるものの、今議会で自民党の平出議員からも質問があったように県立高校でも授業料無償化だけでは教育費の負担問題は解消されません。教材費や制服代、PTA会費などの諸経費まで含めれば県立高校で10〜25万円もの負担は重いものです。さらに、私立高校生においては、入学時を除いても県内の私学の授業料平均は月28万円、年間約336万円のうち私学への就学支援金年間11万8,800円を支給するだけでは大変不充分です。これまでの授業料の減免基準を下げないとした県の措置を一定評価しつつも、他県のようにせめて貧困世帯とされる年収350万円以下を対象に、県立高校であれ私立高校であれ各種学校であれ、授業料だけでなく教材費などの学校納付金などを含め教育費が質無償となるような国の制度改正と、それまでの県独自の上乗せ支援を検討すべきだと思います。

 議案第24号と29号、47号は、二級建築士・木造建築士免許証の書き換え交付登録料の値上げと再交付手数料の新設など建築士法関係手数料、県立病院の普通診断書やX線フィルムの複製料等の値上げ、あづま総合運動公園内の新たな使用料の設定に係る議案ですが、県民に負担を求める料金設定であり、認められません。
 議案25号は、県立総合衛生学院の歯科技工学科を廃止しようとするものですが、県立の技術者養成の機関をなくすべきではありません。
 また、議案第30号は、県の自然の家の管理運営を指定管理者に委託しようとする条例改正です。指定管理者制度は、小泉政権時代に2003年にそれまでの管理委託制度に代わって導入されたものですが、国の規制緩和政策の下、「官から民へ」と地方自治体の業務や施設まで民間に開放する政策がとられました。しかも直営の「公の施設」もその対象にされたのです。地方自治法にもうたわれている「住民の福祉を増進する目的をもってその利用に共するための施設を設ける」との観点からみても、県の行政サービスを安易に民間に委ねるべきではありません。少なくとも福祉関係施設と教育関係施設は県が直営で行うべきです。
 議案56号は、国営土地改良事業にかかる県の行う建設事業等に対する市町村の負担を求めようとするものですが、今年国直轄事業負担金制度改革にあわせ、事務費負担を廃止する見直し等があったものの、私たちが以前から主張しているように市町村への負担そのものを廃止すべきです。

 以上の理由を述べ、議案第1号、24号、25号、29号、30号、47号、56号の7議案に反対を表明し討論と致します。

以 上



日本共産党福島県議団
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