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2009年9月県議会一般質問

2009年10月7日 神山悦子

一般質問

答弁

再質問

答弁

再々質問

答弁

 日本共産党の神山悦子です。
 8月30日投票で行われた総選挙は、国民の暮らしや平和を壊してきた自民・公明政権が歴史的大敗を喫しましたが、これは半世紀を超えて「財界中心」、「日米軍事同盟中心」という異常な自民党政治そのものが、国民から見放されたことを意味しています。歴史の新しいページが開かれ、民主党中心の新政権が誕生しましたが、国民が下したこの審判は大きな前向きの一歩として歓迎するものです。
 私たちは、「よいものには協力、悪いものは反対、問題点は正す」という『建設的野党』として、どんな問題でも国民の利益にたって全力を尽くしていきます。

 ところで、先月、鳩山首相は、国連で開かれた国際会議に連続して出席し、地球温暖化対策について、日本が温室効果ガス排出量を2020年までに25%削減するという、野心的な中期目標を国際舞台で初めて公約しました。また、国連安保理の核不拡散・核軍縮首脳会合では、非核三原則の堅持を改めて誓い「核廃絶の先頭に立つ」決意を表明しています。この会合で、安保理決議が核保有5大国を含む全会一致で採択されたことも画期的です。一方、カザフスタンで開かれた第5回アジア政党国際会議にわが党の志位委員長が出席し「核兵器のない世界」をめざすようよびかけました。
この夏、私は長崎で開かれた原水爆禁止世界大会に参加したこともあり、今年4月プラハでのオバマ演説以降、「核兵器廃絶」に向かって世界が大きく動き始めたことを大変感慨深く受け止めています。

 さて、国内の政治に目を向ければ、自公政権のもとで雇用のルールが壊され、不安定雇用者は青年や女性の2人に1人にまで広がり、貧困から抜け出せないワーキングプア=「働く貧困層」は1000万人を超えています。医療、年金、介護、障がい者などあらゆる分野で社会保障が壊され、農林水産業と中小零細業は衰退に追い込まれ、地域経済と地域社会が崩壊しつつあります。国民のくらしは、安心も希望も奪われ貧困と格差が日本の社会を覆っています。
 わが党は、後期高齢者医療制度の廃止、介護保険制度の見直し、生活保護の母子加算・老齢加算の復活、障害者自立支援法の廃止など、野党共闘であと一歩というところまで政府に迫ってきました。新政権が誕生した下でも、これらが速やかに実現するよう積極的に働きかけていきます。
 民主党のマニフェストには、日本の米と農業に壊滅的打撃を与える日米FTA(自由貿易協定)や衆議院比例定数削減、消費税増税、憲法9条の改定など、「悪い」部分も盛り込まれていますが、いずれもこれらは、財界主導で持ち込まれたものでした。もちろん、私たちはこれらの具体化には反対です。
新政権が、財界・大企業中心の政治を改め、国民の立場で政策を見直していくことを求めるものです。
 以上、新政権誕生への期待と課題などを述べましたが、新政権の誕生をどう受け止めているのか、知事の認識をおうかがいします。

 次に、「雇用対策」についてですが、
 福島労働局が、10月2日に発表した8月の県内の雇用失業情勢によれば、有効求人倍率は0.33倍と過去最悪となり、4万8,000人以上が失業者となっています。
 これまで私たちは県に対し、昨年11月から先月25日まで、計5回にわたり経済・雇用対策の申し入れをしています。また、昨年末から派遣村に取り組んできた郡山では、この10ヶ月間で30人以上もの路上生活者を救出しています。今年も年末に向っていっそう厳しさを増す雇用情勢をみれば、県としても、失業者への抜本的な対策が急務です。

 まず、最も深刻な新規高卒者の就職問題についてお尋ねします。
 来春の県立・私立高校生の就職希望者6,324人(6月末現在)に対し、県内事業所の求人は2,151人と1/3しかなく、8月末で△52.7%と前年同月比で半分以下です。いったん不採用になれば次の求人はこないという状況に、進路指導の担当者も頭をかかえています。高校生が、社会人としてスタートしたと同時に即「失業者」となることを想像しただけでもぞっとします。県は、あらゆる手を尽くして高校生を支援すべきです。
 まず、福祉・教育・医療・介護など公務・公共部門において雇用創出を図る必要があると思いますが、県の考えをうかがいます。また、資格や運転免許等の取得経費の補助や、職業訓練機会の保障をすること。さらに、もし就職できなかった場合は、地元自治体、経営者団体とも連携し、職業訓練に月10万円の支給を行える制度の創設が必要と考えますが、新規高卒者就職促進対策本部の考えをお尋ねいたします。

 さて、会津地方は、富士通マイクロエレクトロニクス(FML)の強制配転、スパンション・ジャパンのリストラなどによって、雇用と地域経済は大きな打撃を受けています。ところが、今年も9月末までに富士通マイクロエレクトニクスと関連事業所で1000人規模の正社員のリストラが強行されています。
 7月23日、富士通は、今後2年間で最高益をめざすという中期経営計画を発表しています。それによれば、半導体などの不採算事業の構造改革を進め、黒字化を図るとしています。今年の第1四半期決算短信によれば、少なくとも約7,000億円の内部留保金があり、配当金も本年度は6円を予定しています。決算の見通しも上方修正しました。この夏は土日やお盆も稼動するなど生産も伸びています。以上の現状を見れば富士通がリストラしなければならない合理的な理由は、どこにも見当たらないと思いす。

 一方、富士通が立ち上げる介護事業所「ケアネット」に対し、県のふるさと雇用再生特別基金から会津若松市を通じて、委託費として人件費と物件費の教材費・研修費など計1億7,074万円が支出されます。この金額は半年分の支出なので、3ヶ年の継続事業となれば3年間で約10億円が支出されることになります。ケアネットは、富士通の半導体製造工場からの離職者受け皿のためとしていますが、わずか80人を吸収するにすぎません。
 多額の内部留保金をためこみ、株主には配当を出す体力がある企業が、正社員を次々と解雇している一方で、離職者支援と称して、県の雇用対策基金事業を受け、多額の人件費まで税金で手当てされるというのは、企業の社会的責任からみて問題はないのでしょうか、県の見解をお尋ねします。
 また、富士通をはじめ県内の誘致企業等に対し、リストラを中止し雇用を守るよう、直接知事が申し入れることを求めますが、見解を伺います。

 9月は障がい者雇用支援月間でした。非正規よりさらに狭き門なのが障がい者の雇用です。昨年の県内民間事業所の障がい者雇用率は1.54%全国33位(07年度41位)でした。県の知事部局は2.37%全国16位(同24位)、県教委員会は1.17%全国45位でした。県は、率先して法定雇用率を守るべきです。特に、遅れている教育分野での障がい者雇用率を抜本的に引き上げる必要があると思いますが、県の考えをうかがいます。

 次は、「貧困問題」についてです。
 貧困問題は、意識して見ようとしなければ見えません。先進国では、貧困問題が常に政治の大きなテーマになり、貧困率を減らす議論がされています。ところが日本は、1965年以降、低所得者世帯に関する調査や分析をやめており、貧困率を指し示す指標がありません。OECDの分析によれば、日本の貧困状況は加盟国中ワースト4位、14.9%であり、特に、青年・若年層の貧困率の上昇が日本の特徴でれ、貧困層の8割はワーキングプアとされました。
 県としても、貧困解消のために、労働者派遣法の抜本改正と最低賃金を時給1,000円以上に引き上げるよう国に求めるとともに、ワーキングプアをなくし、公共サービスの質を確保するためにも公契約条例を制定すること、失業者への住宅確保や生活支援を抜本的に強化すべきと思いますが、県の考えをお尋ねします。

 今、子どもの7人に1人が貧困といわれています。貧困によって、「教育格差」が広がるだけでなく「健康格差」をもたらし、子どもの脳の発達や発育にも影響を及ぼすことが指摘されています。日本の国内総生産(GDP)は、500兆円を超える豊かな国のはずですが、その一方で子どもに対する社会保障費はわずか0.83%(04年度)しかありません。もし、EU並みの2〜3%にすれば、子どもの医療費無料化や母子家庭への児童扶養手当・生活保護の母子加算の復活、公的保育所の増設など、総合的な子育て支援が可能となります。
 県自身も、数値目標を持って子どもの貧困を解消すべきです。その際、子ども自身に目を向けた支援策をとっていくことが大切です。また、貧困問題解消にも有効なスクールソーシャルワーカーを増やすべきと考えますが、県の見解をうかがいます。
 また、子どもの医療費助成制度は、県内59市町村のうち8割以上の51市町村が県を超えて対象年齢を引き上げています。県の子どもの医療費無料化の対象年齢を義務教育終了まで引き上げるべきと思いますが、県の考えをうかがいます。
 日本は、高校や大学などの学費が世界一高い国です。高校授業料の無償化が国の制度として実施されるのは歓迎ですが、授業料が免除されても入学支度金や諸経費が払えず、修学旅行にも行けない、さらには入学辞退や退学まで余儀なくされる生徒が増えています。教育は、「未来への投資」と位置づけ、EUなみに教育費無料をめざすべきです。
 県は、高校の入学支度金や諸経費、PTA会費など、授業料以外の子ども1人にかかる教育費全体の経費の実態をつかむと共に、大幅な軽減を図ること。生活保護世帯には、教育扶助や高校生への生業扶助があることをもって、授業料免除が受けられないのは問題です。改善すべきですが、県の見解をうかがいます。
 さらに、本県の授業料免除基準は、生活保護費とほぼ同じ1.0倍としていますが、今や全国最下位です。県立高校の授業料の免除基準を生活保護費の1.3倍に引き上げること。また、県の奨学金制度については、高校生に対する給付制の奨学金制度を創設するよう求めますが、県教育委員会の考えをお尋ねします。

 次に、9月補正予算に関わってお尋ねします。
 政権が代わり、国の公共事業のムダ使いが取沙汰されていますが、本県では私たちが一貫して中止を求めているトラハイや小名浜人工島のムダな大型開発にはメスが入れられていません。今年度、トラハイには9月補正後の事業費ベースで58億円、うち県費は30億円投入され、また、小名浜の人工島には事業費ベースで78億円、うち県費は44億も投入されるのです。不要不急の小名浜東港の建設を中止すべきと思いますが、見解をうかがいます。また、東港の建設を中止するだけでも、高校生の未就職者支援や、子どもの貧困解消や教育費の軽減など、雇用・福祉・教育へ予算を回せるはずです。県の見解をうかがいます。

 ところで、今回の補正予算には、あぶくま養護学校の増築費がようやく計上されました。40教室分が不足しているうちの18教室分とのことですが、根本的には分校化の構想を持たなくては解決しないと考えます。県は、「今後の特別支援教育のあり方について」の審議会の答申を受けて、あぶくま養護学校の教室不足問題について、また広域通学区問題をどのように解消していく考えなのかお尋ねします。

 最後に、「温暖化対策と原発行政について」ですが、
 鳩山首相が、温室効果ガス排出量を25%削減すると表明したことが内外の注目を浴びています。ところが、産業界からは、「経済成長を妨げる」「家計負担が増える」などと反対する声があがっています。これは、自公政権のもとで策定された中期目標は、一面的な経済分析からの評価に過ぎません。つまり、温暖化対策への費用だけが強調され、気候変動による災害・農業被害・人的損害など温暖化による環境被害の費用を無視しているうえ、今後、産業創出やエネルギーコスト削減をした場合のプラス効果の費用は加えられていないからです。
 鳩山新政権が25%の削減を打ち出している今、県のCO2削減戦略目標を大胆に見直す必要があります。特に、本県は、90年以降、石炭火発を6基も増設したため、CO2排出量は90年比37.2%も増加させ、全国トップの突出した伸び率となっているのです。
 本県の火発の燃料を石炭から天然ガスへ転換することを求めるなど、あらゆる手だてをとってCO2を大幅に削減することを求めますが、県の見解をうかがいます。

 一方、原発は、CO2を出さないエネルギーなどとして、日本は2030年までに9基の原発の新増設を想定しています。しかし、原発は、(1)事故や安全性の問題、(2)放射性廃棄物処理技術の未確立、(3)巨額のコストがかかる経済性の問題、(4)エネルギーの安全保障、(5)テロなどの破壊活動に対する脆弱性、などが指摘されています。
 化石燃料やウランも、100年、200年後には使い尽くされる枯渇性資源です。
 県としても火力や原発依存を見直し、再生可能な自然エネルギーへ転換すべきです。もともと日本の企業は、省エネなどの技術力が世界で最も優れているとされており、また、太陽光パネルなどは世界トップクラスの技術を持っています。本県でもその優れた技術力を生かし、産業や雇用に結びつけることが求められます。
 本県が、本格的に「低炭素社会」をめざしていくためには、原発依存から脱却し、再生可能エネルギーの普及に力を注ぐべきと考えますが、県の見解をお尋ねします。

 次は、原発の安全対策についてです。
 02年の東電の不正事件を契機に、県と県議会は、一貫して保安院を経産省から分離するよう求めてきました。国は2003年4月、内閣府に原子力安全委員会の機能を強化し、ダブルチェック体制をとったとして、保安院の分離問題を未だに棚上げしています。電力会社と保安院との間では、"天下り"ばかりか、"天上がり"もあり、互いに人事交流があることはよく知られているところですが、果たしてこうした官民の癒着構造の中で、客観性をもった十分なチェックなどできるのでしょうか。
 国の原子力安全保安院を経済産業省から分離し、独立した機関とするよう国へ求め、県民の安全安心を確保すべきと考えますが、県の見解を伺います。

 ところで、原発立地町の双葉町の財政問題が表面化しています。08年度の健全化判断比率の速報値によれば、実質公債費比率については、双葉町だけが早期健全化基準の25%を超えています。かつては、他の市町村もうらやむ不交付団体だった双葉町が、前年度の実質公債費比率が29.4%とは深刻です。
 双葉町が、なぜ厳しい財政状況に陥ったのか、また、県の原発地域の振興策を含めた財政分析が必要と思いますが、県の認識をお尋ねします。
 以上で、私の質問を終わります。


答弁

1 新政権の誕生について

知事
 新政権の誕生につきましては、今日の社会において、高齢化の進行や、人口減少という将来への不安に加え、大都市部と地方の格差、年金や医療制度の在り方、さらには雇用環境の急変など、社会経済を取り巻く問題が顕在化し、それが昨年秋以降の世界同時不況を契機に、日本全体に閉塞感が広がる中、様々な調査等にもあるとおり社会保障制度の充実や行財政改革など将来の生活の安定や変化を求めたいという国民の気持ちが表れたものと受け止めております。
 新政権は、補正予算の見直し、大幅な制度の改正や新たな施策の創設を提案しているところであり、それらは県民生活の様々な分野に影響を及ぼすことが考えられます。
 このため、私といたしましては、9日に県内地方6団体が一体となって、県民生活の安定に資する円滑な行財政運営の確保について強く要請してまいるとともに、全国知事会などとも連携し、「国と地方の協議の場」を始めあらゆる機会を活用して地方の実情をしっかりと訴えてまいりたいと考えております。

2 雇用対策について

総務部長
 公務・公共部門における雇用の創出につきましては、県においては、行財政改革大綱に基づく厳格な定員管理の下で、様々な行政課題に柔軟に対応するため、各部門への適正な人員配置に努めており、その中で、所要の職員を採用しているところであります。
 併せて、県自らも事業主として雇用創出に取り組む必要があることから、臨時職員につきましては、県直接雇用創出事業等を活用し、引き続き、雇用の確保を図ってまいる考えであります。

商工労働部長
 新規高卒者の技能習得につきましては、職業系専門高等学校において、教員による計画的な指導はもとより、高度な知識や技術を有する外部の人材による指導などを通して資格取得の促進を図っております。
 また、新たに就職未内定者を対象に、企業での職場実習やテクノアカデミー等における技術体験・就職指導を行うなど、今後とも、様々な技能習得の支援により、新規高卒者の就職促進を積極的に図ってまいりたいと考えております。
 次に、職業訓練を行う場合の給付金につきましては、国において、一定の要件の下で給付金を支給する緊急人材育成・就職支援基金制度を実施しておりますが、現在、求職者を支援する新たな制度の検討がなされているとのことであり、県といたしましては、その動向を注視してまいる考えであります。
 次に、企業の社会的責任につきましては、法令、社会的規範の遵守とともに、雇用の維持、創出等の地域貢献なども求められているものであり、県といたしましては、企業に対し様々な機会をとらえて要請してきたところであります。
 厳しい雇用情勢を踏まえ、今後も、雇用の維持、創出等について引き続き働きかけてまいる考えであります。
 誘致企業等に対する雇用維持の要請につきましては、これまでも知事を先頭に経済団体や企業に対して実施してきたところであります。
 今後とも、厳しい雇用情勢を踏まえ、国や市町村と連携しながら、あらゆる機会を通じて雇用維持の要請を行ってまいりたいと考えております。

教育長
 県教育委員会における障がい者の雇用につきましては、従来から教員採用選考試験において、手話通訳者を介しての受験を実施するなど、障がいに応じた配慮を行ってまいりましたが、平成20年度の試験からは、新たに、身体障がい者を対象とした特別選考を実施し、障がい者の更なる雇用に努めてきたところであります。
 県教育委員会といたしましては、いまだ雇用率が低い状況にあることから、引き続き、こうした取り組みを継続するとともに、志願者の増加に向けて、受験資格対象者への更なる周知を図り、雇用率の改善に努めてまいる考えであります。

3 貧困問題について

商工労働部長
 労働者派遣法の改正や最低賃金の引き上げにつきましては、国において改正の動きがありますことから、今後の推移を注視してまいりたいと考えております。

総務部長
 公契約条例の制定につきましては、わが国においては、すでに、労働基準法や最低賃金法を始めとした労働条件確保のための法整備が図られており、さらに、下請取引の公正化や下請事業者の利益保護のための下請法が、整備されております。
 労働条件や賃金水準は、基本的には、これらの法制度によって、規定されていることから、公契約条例の制定は考えておりません。

商工労働部長
 失業者に対する生活支援につきましては、これまで求職者総合支援センターなどにおける相談支援や県営住宅の提供など、きめ細かな対応に努めてきたところであります。
 今後は、住宅確保のための新たな手当や拡充された生活福祉資金活用を図るなど、国や関係機関との連携を図りながら、失業者の生活支援に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

保健福祉部長
 子どもの支援策につきましては、社会全体で子育てを支援する理念の下、子ども夢プランに基づき、各種施策を総合的推進しておりますが、特に、子育て世帯に対する経済的支援策として、乳幼児医療費やひとり親家庭に対する医療費の助成、児童扶養手当の支給、多子世帯の保育料軽減、さらに、生活保護世帯に対しては、教育扶助・生業扶助に加え、今年7月1日から、学習支援費を支給するなど、様々な施策を実施しているところであります。

教育長
 スクールソーシャルワーカーにつきましては、不登校やいじめなどのうち、学校や家庭、地域などの問題が複雑に絡み、学校だけでは対応できないケースに対し、地域や関係機関と連携して、社会福祉の観点から解決にあたる役割であることから、その配置につきましては、児童生徒や学校の実態及び地域の実情を把握している市町村において、主体的に取り組むことが適当であると考えております。
 現在、県教育委員会におきましては、スクールソーシャルワーカーを活用した支援の在り方、支援の在り方について調査研究を実施しており、今後、市町村において、地域の実情に応じた取り組みができるよう、その成果等を積極的に情報提供してまいる考えであります。

保健福祉部長
 子どもの医療費無料化につきましては、就学前まで助成する制度を設けておりますが、対象年齢を義務教育終了まで拡大するには十分で継続的な財源措置が必要であります。
 このため、医療保険制度において、給付割合及び対象年齢の更なる拡充を図るとともに、自己負担については、国が助成を行う制度を創設するなど、子どもが等しく早期に適切な医療が受けられるよう引き続き全国知事会等と連携しながら、国に対し、要望してまいりたいと考えております。

教育長
 県立高等学校にかかる授業料以外の教育費につきましては、各学校において、生徒の部活動や進路指導等の実状を踏まえ、教育活動における必要性を考慮するとともに、経済的負担の軽減に配慮しながら、保護者等の理解を得た上で、負担を求めているものと考えております。
 次に、生活保護世帯生徒の県立校等学校における授業料免除につきましては、本県では、高校生がいる生活保護世帯に給付される生活保護費には、高等学校の授業料相当額が含まれているため、免除することは考えておりません。
 授業料免除の基準収入額を引き上げることにつきましては、生活保護世帯の生徒を授業料免除の対象としていないこととの均衡を図る上から、授業料免除の基準収入額と生活保護基準との間に大幅な乖離を生じさせることは、適切ではないと考えております。
 高等学校生徒に対する給付制の奨学金制度の創設につきましては、奨学金制度が、奨学資金の貸与を条件とする国の交付金を基金として運営されていること、また、限られた財源を有効に活用しより多くの生徒の修学を支援する上で、貸与制が適していることなどから、給付制の創設については、困難であると考えております。

4 9月補正予算関係について

土木部長
 小名浜港東港地区につきましては、経済のグローバル化が進む中、活力ある産業の育成と県内企業の競争力向上を図るため、工業原材料はもとより、外貿コンテナ等の多様な貨物需要に対応した国際物流拠点としての機能強化に向けて、今後とも、国と連携を図りながら、整備を進めてまいる考えであります。

総務部長
 小名浜港東港地区の整備につきましては、公共事業評価等により点検・評価しながら事業を進めているところであります。
 また、当初予算及び今回の補正予算において緊急雇用対策や介護職員の処遇改善、県立学校における就学環境の整備など、経済・雇用対策や県民生活の安全・安心の確保、さらには、教育環境の整備などに重点を置いて予算を計上したところであります。

教育長
 あぶくま養護学校の教室につきましては、県教育委員会において、特別支援学校の教育環境の改善について従来から厳しい財政状況を勘案しながら検討してきたところであり、自閉症児の中でも特に情緒が不安定な児童生徒が、パニックを起こすなどの二次的な障がいを誘発しないよう、周辺の様々な音等の刺激に影響を受けない教室を確保するため、敷地内に校舎の増築を行い、教育環境を改善しようとするものであります。
 次に、あぶくま養護学校の児童生徒の通学につきましては、今回の学校教育審議会の答申を踏まえ、小・中学校や高等学校等における「地域で共に学ぶ」環境づくりの実施状況を見極めた上で、児童生徒数の推移や通学状況等を勘案し、複数障がいに対応する特別支援学校の要否や分校等の設置、あるいは、児童生徒の通学手段の在り方等も含め、特別支援学校の在り方を全県的な視野で総合的に検討することとしており、その中で検討してまいる考えであります。

5 温暖化対策と原発行政について

生活環境部長
 温室効果ガスの削減につきましては、産業界やエネルギー事業者は、省エネルギー法等による排出量の報告義務や、各業界団体の自主行動計画に基づき温室効果ガスの低減に努めることとされており、この中で削減が図られるものと考えております。
 県といたしましては、現在、温室効果ガス支出在り方検討会において、実効ある対策等を検討しているところであり、国が示した新しい目標達成のための具体的施策等を注視するとともに、在り方検討会の検討内容も踏まえながら、本県の特性を生かした温暖化対策を積極的に進めてまいる考えであります。

企画調整部長
 再生可能エネルギーにつきましては、地球温暖化対策やエネルギー源の多様化、地産地消型のエネルギーとしての地域貢献などの面で、ますますその意義が高まっております。
 このため、昨年2月に「地球温暖化防止の環境・エネルギー戦略」を策定し、太陽光発電などの設備導入への支援や環境・エネルギーフェアを通じた普及啓発など新エネルギーの更なる導入に取り組んできたところであります。
 今後とも、事業者を始め、大学、民間団体、市町村など多様な主体の連携により、新エネルギーの普及拡大を図ってまいります。

生活環境部長
 原子力安全・保安院につきましては、県は、これまで、国に対して、経済産業省から分離するなど、客観性と信頼性を高めた安全規制体制の確立を図るよう求めてまいりました。
 9日には、新政権に対し、県内地方6団体が一体となった国の予算等に関する緊急要望活動において、安全規制を行う立場にある原子力安全・保安院を原子力発電を推進する経済産業省から分離するなど、客観性と信頼性を高めた安全規制体制の確立についても改めて要請することとしており、今後とも、その実現に向け、強く働きかけてまいる考えであります。

総務部長
 双葉町につきましては、過去に実施された保健福祉施設や下水道などの整備のため発行した地方債の償還金等により、厳しい財政状況となったものと認識しております。
 双葉町についての財政分析につきましては、地方財政健全化法が今年度から全面施行されることを見据え、県におきましては、平成19年度に財政診断を実施して財政運営上の課題の分析と改善方策を示すとともに、20年度には、法に基づく財政健全化計画の土台となる財政計画の策定に対し助言をするなど支援をしてきたところであります。


再質問

 商工労働部長にお尋ねいたします。高卒者の就職問題は本当に深刻だと思います。平成13年にもひどかったと言われておりますが、それを超えていると言われています。求人が3分の1しかないという状況で本当に緊急性が求められておりますし、国がいろいろ雇用対策を検討していることは私も承知しておりますけれども、それを待っていて本当にいいのかという状況です。そういう意味では、高卒未就職者の10万円の生活資金というものを含めて創設しないと、国がやると言っても、やるまで間は、来年3月になれば卒業してしまうわけですから、その間の手当も含めて、私は即失業者にならない対策が必要だと思いますが、部長のお考えをお尋ねいたします。

 それから、ワーキングプアの問題ですけれども、1000円以上というのは私は根拠があると思います。東北の地方生計費ということで若者の時給、実は1332円くらい必要だという労働総研、全労連が試算しました。これは、岩手県と埼玉あたりを調べたわけなんでですけれど、ほとんど違いがない。違いが首都圏とあるのは、家賃なんですけれども、しかし東北はその分なくても自動車関係のお金がかかる。つまり交通手段がないからということなんですね。そういう意味では1000円というのは、私は本当に必要だと思うんです。そういう意味では、6団体を含めてと言いますけれども、商工サイドでもそれは国に求めていくべき課題だと思いますが、あらためてお聞きしたいと思います。

 それから、教育長にお尋ねいたします。教育費の負担軽減の問題ですけれども、県立高校の、特に1年生の最初の初年度にかかる経費がものすごいんですね。年間約40万円くらいと言われております。授業料そのものが9900円です。これだけ免除しただけでは、諸経費も払わなければいけない、それから教科書は全部自分で買わなければいけない、制服代はかかる。本当にこのお金をどうやって、この貧困が増えている状況で対応できるのかと思いますよね。日高教という全国の組織が、抽出は少ないんですが、昨年の実態を調べたんです。どれくらい初年度に保護者が負担しているのか、1学年のみ対象なんですけれども。全日制64校とか、定時制19校なんで、本当に抽出だと思いますが、その中でも男子生徒は全国でワースト3、それから女子は全国ワースト1、これだけの負担をしている。つまり初年度にかかる学校に納めるお金とそれ以外の自分で負担するもの、その中には、トレパンとか、運動に必要なものとかそういうものも一緒に含まれていますね。そういうものを買わなくてはならないものですから。そういう意味では、本当に教育費の負担、本県の場合は多いと思います。ぜひそういう意味での負担の実態をつかむべきだと思うんですね。なんで実態のことをおっしゃらないんですか。せめて実態をつかんでいくことを私は求めたいと思いますが、もう一度、お尋ねいたします。

 それから、1.3倍のことを私申し上げました。これは年収にすると税引き後350万円の年収ですよ。これは今年の夏に民主党との授業料免除に向けて協議している中で委員から出されているんですね。いちばん、本当は400〜450万円くらいの実態が大変だと、せめて350万円くらいは必要だと、こういう試算が出ているんですね。先ほど生活保護との関係でいうと生活保護に出さないからといって1.3倍にしない。どちらとの関係もあると思うんですよ。1.3倍に引き上げることで、生活保護の世帯のお子さんも授業料免除を受けられる。その点についてもう一度お尋ねいたします。


答弁

商工労働部長
 新規高卒者の就職の関係でございますけれども、議員おっしゃるとおりですね、非常に厳しい状況にあると思います。9月16日から、選考が開始されているわけですが、話を聞くと去年から見て、例えば、7〜8割去年は就職していたんだけれども、そこまでいかない。そんな話もありました。そういう意味でわれわれ非常に重要な対策だと考えてというふうに考えているところでございます。でそういう意味で、県庁内は当然でありますが、関係機関と一体となって卒業までといいますか、未内定者ゼロということで、いま鋭意、積極的に対応しているところでございますので、ご理解をいただければというふうに思っております。
 それから、最賃の関係でございますが、いま国の方で見直しもするというお話もあります。最賃に関しては、いろいろな、様々な分野に影響も出てくるというふうに認識しております。そういうものを踏まえて、国の方で検討するということになると思います。そういう動向をしっかり見ていきたいというふうに思っているところでございます。

教育長
 まず一つは、授業料以外の教育費の負担軽減のお話だと思いますが、先ほども申し上げましたが、いずれにしましても経済的負担の軽減ということにつきましては、当然のことながら各学校において保護者への説明等を十分にしながら、その中でも軽減に努めているところであります。いわゆるどれを私的なものとして考えるかということでございますけれども、例えば、生徒個人が使用したり、あるいは家庭と学校両方で使うものは、基本的にはいわゆる私的な負担でお願いをしているいうふうな仕切りの中でやっているところであります。そういうわけで各学校において、それぞれが説明会等の中で保護者の理解を求めているという中での実態でございますので、その実態についてうちの方でまとめて把握するという考えはありません。
 それからもう一つですが、いわゆる生活保護との関係でいわゆる1.3倍という形で基準収入額との関係でございます。先ほどちょっと質問の中でもありましたが、実はいま全国の調査をちょっと見てみますと、生活保護費の基準に基づき減免基準を設定しているのは、実は27ありまして、その6割近くは福島県と同じ1.0を採用しております。それは先ほど申し上げたとおり、やはり生活保護基準との間の大幅な乖離ということは均衡を考えた上で適切ではないと判断の中で全国的にもそうなっていると考えております。この制度を今後とも維持してまいりたいと考えております。


再々質問

 総務部長にお尋ねしたいと思います。先ほど雇用の問題で、県自身もやるべきだとおっしゃいましたけれども、県は臨時雇用しか考えていないようですけれども、本当に高校生をどうしようかと思ったらですね、資格がなかったら資格とるための支援の予算を取ったり、キチンとし正規雇用としてやるべきだ、そのくらいの決意が必要じゃないですか。一つはそれをお聴きしたいと思います。

 それからお金の使い方ですけれども、東港の予算ですね。県費、9月補正後で44億円すでに使うことになっていますね。しかし44億円あれば相当のことができると思いますよ。これを医療・福祉・教育に回す。例えば、いま私が言いました未就職者への月10万円の支援をしたとしても1年分として1000人くらいとすれば12億円ですよ。このお金があればできるんですよ。来年本当に対応しようと思ったらできるんじゃないですか。

 それから子どもの医療費の助成は、保健福祉部長が答弁いたしましたけれども、前から聞いているのは、中学3年生までやると22億円かかるといっているんです、あと、プラス分です。しかし22億円までは必要ないと思うんです。これは5歳児で計算しているんで。少なくとも小学校6年生まではどうなのかとそういう計算をして、いま貧困問題にも対応する、お金の使い方をそういうふうに変えるべきじゃないですか。こんなに県民のくらしは大変なんですから。その辺の予算の在り方についてももう一度お尋ねいたします。

 それから生活環境部長にお尋ねしたいと思います。先ほど温室効果ガスの削減について、あらゆる手だてをやるとおっしゃいました。石炭火発が原因だとちゃんと県も「戦略」の中に明記していますよね。そして2006年には女川原発が稼働し始まったら、石炭火発が休止したということで削減、少し減ったわけですね。こういうことを考えれば、燃料そのものを石炭から天然ガスに移行する、こういうことをちゃんと言うべきではないですか。国が、鳩山首相が本当に野心的な目標を掲げたわけですから、そのために県も変えていく必要があると思うんです。それで、もう一つ言いたいのは、この石炭、先ほど土木部長が東港建設の理由をいろいろ言いましたけれども、私の聞いているところでは、なぜこの東港が必要かということを聞きますと、それは石炭の沖待ち船が増えているからだと、こう言うんですね。しかし、その石炭を燃やせば温暖化になると、本当に矛盾した話じゃないですか。税金は無駄づかいする、石炭燃やして温暖化ガスの数値を上げてしまう、全然整合性がないと私は思いますけれども、生活環境部長には、そうした面からあらためて御答弁を頂きたいと思います。

 教育長にお尋ねいたします。教育長は実態を把握しないというのは、私はひどい答弁だと思います。少なくたって、この貧困がこれだけ増えている時代に子どもに責任はないんですよね。子ども自身にちゃんと目を向けて、実態がどうなのかを調べるのは、教育者として必要じゃないですか。私はそういう教育者としてというか、教育サイドの答えがあってもいいと思う。少なくとも実態を調べたその上でお答えになるんだったら、私はいいと思いますが、実態を調べていただきたいと思います。ぜひ、もう一度御答弁をお願いいたします。

 子どもの医療費の問題、保健福祉部長、もう一度お尋ねいたしますが、私が調べたところでは59市町村のうちもう51やっていますね。中3までやっているところは、そのうちの半分以上やっています。ですからもう一度、県がお金がないとかじゃなくて、県として国待ちじゃなくて、まずその間は県ががんばってやっている。そしてもし国が無料化をやったらその分引き上げる。そうやれば県の分は別な方に回せるじゃないですか。その決意がなければ、私はいけないと思いますが、もう一度お尋ねいたします。


答弁

総務部長
 まず一点目の高校生の就職対策でございますが、県といたしましては行政職の高卒程度の職員を計画的に毎年採用しております。さらに雇用対策として実施をしております直接雇用創出基金につきましても新規高卒者枠ということで、特に配慮した上で継続的に雇用の確保につながるようつながりをもって対策を講じております。
 東港に伴います各種予算でございますけれども、県の福祉の向上、経済・雇用対策、さらには安全・安心に必要な予算につきましては、当初予算、補正予算を問わず随時計上しております。

生活環境部長
 発電における燃料転換につきましては、電気事業連合会の自主行動計画におきまして石炭火力発電の熱効率の更なる向上、再生可能エネルギーの利用拡大、さらには京都メカニズムの活用などによりまして、二酸化炭素の排出原単位を軽減するよう努めることとされております。また、国の方が厳格なフォローアップを行うということで対応しておりますので、その中で適切な削減が図られるものと考えております。

保健福祉部長
 各市町村における乳幼児医療費助成制度につきましては、その拡大は基本的には各市町村が様々な斟酌を考える中で地域の実情に応じて総合的に判断した結果と受け止めております。制度の見直しにあたりましては、長期的にそういう視点に立って制度を持続可能なものにして、安定的に運営できればということの判断が必要になろうかと思います。県といたしましては、医療費の助成制度を始めとして妊婦の健診であるとか、保育料の軽減であるとか、様々な施策を総合的に考えながら子育て支援にあたってまいりたいというふうに考えております。

商工労働部長
 資格取得の経費の助成につきましては、現在のところ考えておりません。厳しい就職状況を踏まえながら、そういう状況を見ながら何か考えてまいりたいと思います。

教育長
 授業料以外の教育費の負担軽減のお話でございますが、実は入学時のオリエンテーションでどういう説明をしているかという形で実態の把握というのはできるかどうかということで、いまちょっと精査をしていきたいと思います。ただすべての学校でどういうことをやっているかといいますと非常に細かく、それぞれに分かれている可能性がございますので、どういう形でできるか、検討させていただきたいと思います。



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