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2008年12月17日
2008年11月臨時・12月定例県議会を終えて
日本共産党福島県議会議員団
団 長 神山  悦子
副団長 宮川 えみ子
幹事長 藤川しゅく子

1、はじめに

 11月25日、臨時県議会が開催され、人事委員会勧告に基づく県職員などの給与改定のための条例案を審議しました。また、12月定例県議会は12月2日〜17日までの16日間の会期で開催されました。12月定例県議会は、総額16億2千2百万円を減額する補正予算をはじめとして、条例などの知事提出議案58件、追加提案の人事案件4件などが審議されました。
 アメリカ発の金融危機の影響は実体経済にも深刻な影響を及ぼし、大企業を先頭に派遣・期間工などの非正規労働者の首切りが強行され、11月末に発表された福島労働局では県内790人であった非正規労働者の雇い止め・解雇が、その後、急速に広がりつつあり、今後の地域経済と県民のくらしに与える影響が深刻なものとなることが懸念されています。
 こうした状況の下、11月25日、党県議団は県知事に対して「金融危機にともなう雇用対策の強化についての申し入れ」を行い、県知事が先頭に立った雇用を守る取り組みを求めました。
 決算審査については、国の会計監査院の不適正補助金の不正支出問題について全庁調査を実施し、その内容が明らかになった段階で審査することになり先送りとなりました。
 また、党県議団は11月11日「12月定例県議会に関する知事申し入れ」と「2009年度予算編成に関する申し入れ(第1次)」を行い、世界的な金融危機を受け、国内でも派遣労働者の雇用打ち切りや中小企業への貸し渋り、貸しはがしが横行しており、県民生活が厳しさを増す中で、県政がセーフティネットのきめ細かな拡充を図ることを求めました。
 11月25日の臨時県議会では、神山悦子県議が討論に立ち、県職員の一時金をカットする給与改定関連議案に反対を表明しました。
 12月10日、一般質問には宮川えみ子県議が立ち、深刻化する雇用対策、県民のくらしを守る施策、小名浜東港建設の問題についてただしました。
 12月17日の最終本会議では、藤川しゅく子県議が12月補正予算案などに対する反対討論に立ち、7件に反対しました。
 また、提出された3件の意見書案に賛成し、全会一致で採択されました。わが党が紹介議員の請願29件は、請願1件、意見書1件が採択されました。
 アメリカ発の金融危機の県内への影響は、県議会開会中にも深刻かつ急激な広がりを見せ、全県で3,000人をこす首切り、雇い止めとなっています。この問題を正面からとりあげた党県議団の論戦は、県当局や他会派にも影響を与え、青年雇用フェスタ実行委員会が提出した請願「金融危機に端を発する大量解雇・雇い止めから雇用とくらしを守る緊急対策を求める意見書の提出について」が採択されることにつながりました。

2、わが党の質問と討論、他会派の質問の特徴

◆ 一般質問(宮川えみ子議員)

 12月10日の一般質問には宮川えみ子議員が登壇しました。宮川議員は、アメリカ発の金融危機が日本経済に重大な影響を及ぼしている、知事は雇用を守る先頭に立って雇用を守ることを求めました。知事は自ら本部長となっている「緊急経済・雇用対策本部会議」を開催して全庁的に取り組んでいる、国や関係機関との連携で万全を尽くすと答えました。商工労働部長には、状況の把握、非正規雇用や期間工などの雇い止めの中止を企業に求める、労働局と協力して就労の場を作る、離職者支援の貸付制度を借りやすくする、住居確保、総合相談窓口の充実などを求めましたが、今後の情勢は一段と厳しさが増す、実効ある対策に取り組むと答弁しました。
 県民の暮らしを守ることについては、(1)子供のいる世帯の資格証明書発行の中止を求める(2)県立高校の需用費等の増額(3)就学援助制度の拡大(4)妊婦検診を第一子から実施を(5)子どもの医療費無料化の年齢引き上げ(6)県営住宅家賃の値上に反対の意見を述べ減免制度の充実を求めました。
 小名浜東港人工島建設では、民間に管理運営をすることについては検討中、(仮)東港大橋建設が大型船の航行に支障をきたす問題については関係機関と協議をする、火発に使う石炭輸入増が人工島建設の目的では県の温暖化戦略と矛盾するという質問については答弁をそらしました。
 雇用問題は、全国的な状況の激変の中で、その後の商労文教常任委員会・地域産業活性化対策特別委員会の論議になり施策の前進、意見書の採択にもつながりました。

◆討論(藤川しゅく子議員)

 12月17日、最終本会議で藤川議員が補正予算・県営住宅値上げなどに反対の立場で討論しました。補正予算では、教員引率費や燃料費の増額、福祉灯油に生活保護世帯を加えるなどの評価できる面もあるが、今日の報道で県内3,000人を超す急激な失業の増大の中、緊急に対応しなければならない事が多い中、小名浜東港人工島建設だけに2億5千万円も増額して進める(昨年度の2.5倍、建設が始まって最高額)、そしてこの人工島は採算性も見込めず、完成する前から民間委託するという方針であることなど。また、福祉施設の民間移譲、県営住宅の家賃値上げ問題などに反対しました。

◆ 他会派の質問の特徴

 自民党と県民連合の代表質問では、県内でも深刻となっている非正規労働婦車の首切りについては全くふれませんでした。一般質問でも他会派は不況にともなう中小企業の資金繰りについてはふれましたが、雇用対策については、県民連合が新規高卒者の就職支援について対策を求めるにとどまりました。
 また、あいつぐ教員の不祥事との関わりから子どもの規範意識向上を求めて道徳教育の必要性を取り上げる質問もありました。

3、各委員会の審議について

◆ 総務常任委員会(神山悦子議員)

 12月補正予算や来年度予算編成のあり方について、「福島県安全で安心な県づくりの推進に関する条例」議案などについて議論がされました。
 12月補正は約16億円の減額補正されたことにより、本年度予算累計額は8,409億5百万円に。国から道路特財源が今年4月に1ヶ月執行した分として13億8千万円補てんされたものの、地方交付税は19億円減額されました。
 12月補正予算には、福祉灯油助成が生活保護世帯に対象が拡大したことや、不足していた県立学校の燃料費に1億3,600万円、教員の引率旅費に3億8,800万円が増額補正されたものの、一方で小名浜東港には、9月補正で1億2,600万円(県費8,800万円)、12月補正で2億5,000万円(県費1億800万円)を追加補正し、東港の予算を増やしているが、これは来年度予算編成の考えにもいえることとして担当部としての考えを質したが、従来の考えを述べるだけでした。
 また、県職員の給与や手当の改定があり、11月の臨時議会で条例改定した職員の期末手当の引き下げが実施されたこと。さらに、今議会で教員給与等手当を改定する条例が提案され、部活や修学旅行等の引率などへの「教員特殊業務手当」をほぼ2倍引き上げ総額1億4,300万円の増額、教員の人材確保法(S49)に基づき制度化された「義務教育教員等特別手当」の引き下げで総額1億5,800万円減額し、差し引き1,500万円減額となります。教員の人材確保法の優遇制度を縮減するというが、法の目的にある教職員の人材確保という点からみれば、むしろこれを生かしていくべきではないかと質しました。

◆ 商労文教常任委員会(藤川しゅく子議員)

 商工労働部は2億4,619万円81千円の減額補正でした。中小企業高度化資金に貸し付けを行っていた企業が計画変更のため減額補正および、コラッセふくしま内の各施設をはじめ、ハイテクプラザの一部、天鏡閣、などを指定管理者に委託する条例、翁島荘を廃止する条例提案されました。
 金融危機に端を発した雇用問題や中小企業の経営問題については、知事を本部長とする緊急雇用経済対策本部を立ち上げ、対策をすすめることとなり、藤川から、知事の企業訪問や、年末緊急雇用相談窓口の設置について要望し、検討すると答弁しました。
 中小企業対策では、経営安定特別資金(100%信用保証)の拡充がなされた。金額は100億追加の130億円であり、周知徹底と活用が期待されます。
 わが党が紹介議員になった労働法制の改正および雇用を守る意見書が採択されました。
 教育庁では、冒頭に、再任用教諭のセクハラ事件について謝罪がありました。予算は7億1988万2千円の減額補正です。教員引率費と各学校の燃料代の追加補正が組まれたことは、県民の運動の成果です。
 義務教育教員の特別手当の減額がされることは、人材確保法の精神にも反するので反対しました。文化財センターなど指定管理者委託すること、自然の家は直営に戻すことが確認されました。
 わが党が紹介議員になった、盲・聾・養護学校の教育条件拡充求める請願が採択されました。

◆ 土木常任委員会(宮川えみ子議員)

○予算では、
 東港人工島については、国直轄港湾事業負担金補正予算を1億837万5千円も増額して進める。完成したら管理運営について民間委託といいますが、対象事業者及びスケジュールは早期というだけで明確には答えませんでした。また、あぶくま高原道路は、村道交差点のトンネルのひび割れなどで、工事スケジュールが遅れるとのこと。

○県営住宅条例の一部を改正する条例
 条例の本体である公営住宅施行令は、国から来るものをそのまま適用するので、議案の対象にならない。提出された今回の議案は、国が、公営住宅法施行令の一部改正に伴う家賃の値上げ分の負担を緩和するということで、5年間の経過措置を決めようとする事等の説明でしたが、家賃は入居者の20%・平均2500円が値上げになる、最高8千円も上がる人がいる、こと等が明らかになりました。入居基準を厳しくすれば若い人などが入居しにくくなり、また、値上げで一層滞納が増えると反対しました。
 別の議案で、滞納家賃の支払いを求める裁判所の調停申し入れが12件も出されて、そのうち9世帯が、母子家庭・障害者・多子家庭・高齢者がいる世帯であることなどからも、実行ある減免制度を進めていかないとこの家賃値上げ条例で、県民の負担がひどくなる事と同時に、滞納のため住宅を失う県民が出てくるのではないかと指摘しました。

○部長説明では、相馬港5号ふ頭用地の一部を、丸昭興業(株)(100%昭和電工の子会社・火発に使う液化アンモニア・排煙のNOX排除に使う)に売却することに決定したとのこと。売却値段は、9,950円/平方メートルで約1万平方メートルです。接岸部分を前に火発に売却した時は、25,500円/平方メートルでした。ちなみに5号埠頭の建設費は143億円とのこと。

◆ いのち・人権問題対策特別委員会(藤川しゅく子議員)

 総括審議として、2月にまとめ文書に盛り込む内容について討議しました。
 自殺防止対策から、地域医療対策まで幅広いテーマであるが、人権について国連をはじめ、世界的に到達した見地に立って理念をまとめることが重要と、意見を述べました。人権宣言や男女差別撤廃条約、子供の権利条約、障害者権利条約などを踏まえたまとめにすることで一致しました。

◆ 地域産業活性化対策特別委員会(宮川えみ子議員)

 15日、地域産業活性化対策特別委員会が開かれました。2年間のまとめについては、各自意見をあげて委員長がまとめて次回に図ることになりました。
 アメリカ発金融不況対応に意見が集中しました。融資枠を30億円作ったが今週で30億円超えるようだ。対応を検討しているという部長の説明に対し、今までの分を返すのも目一杯だ、無利子5年据え置きぐらいにならないかなどという深刻な質問も出ました。新しい借入金も含めて一体化する返済方法も含めて考えているという金融課長の答弁もありました。
 実際に仕事を作ることを考える必要がある、本格的な仕事起こしをすべきだの要望も。また、公営住宅の政策的空家を有効活用するなど居住確保対策要望も出ました。私は、本会議の一般質問も受けて、離職者の融資制度を借りやすいものにすることなどを質問しました。雇用確保を大企業に要請する発想はありませんでしたが、県民の実情を反映した論議でした。これらの論議はその後の県の政策に結びつきました。

4、選挙区区域等検討委員会

 今年3月に設置された選挙区区域等検討委員会(委員に神山悦子議員)は12月16日の委員会で結論を出し、議長に対して答申しました。次期県議選の選挙区の取り扱いは、(1)強制合区対象選挙区については、安達郡を本宮市に、相馬郡新地町を相馬市に、相馬郡飯舘村を南相馬市に合区する。(2)任意合区対象選挙区のうち、岩瀬郡を須賀川市に合区する。(3)飛び地選挙区については、すべて解消し伊達郡は伊達市と、耶麻郡は喜多方市と、西白河郡は白河市と、田村郡は田村市と合区します。
 これによって、1票の格差は2倍未満となり、選挙区は23から19に減り、1人区は7選挙区に減ることになりました。

5、県議会の経費削減について

 県財政が危機的状況にあることから、県議会の予算についても例外ではないとして、11月4日の代表者会議で、「政調費」、「海外行政調査」及び「議会広報」等などについて検討することが提案され、各会派で協議してきた結果、「政調費」については、議員1人あたり月額5万円減額し30万円とすること。また、党県議団が以前から中止を求めていた「海外行政調査」については、来年度予算に計上するものの、実施にあたっては「必要性を厳格に判断」するとし、少なくとも任期中は実施しない方向となりました。
 その他、議会広報予算、特別委員会予算についてもそれぞれ削減し、政調費及び海外視察の削減と合わせると4,698万3千円の削減となり、これは、議員報酬と職員給与等人件費を除いた今年度予算額4億6,843万円の約10%にあたります。

6、請願・意見書について

● 採択された意見書3件(全会一致)

◇「『食の安全確保』への取り組み強化を求める意見書」
◇「労働法制の改正及び雇用を守る緊急対策を求める意見書」
◇「『混合型血管奇形』の難病指定を求める意見書」

● 党が紹介議員になった請願・意見書の結果

 党県議団が紹介議員となった新規意見書は、「雇用促進住宅の存続を求める意見書」(雇用促進住宅松川宿舎自治会)、「介護労働者の処遇改善をはじめ介護保険制度の抜本的改善を求める意見書の提出について」(県社保協)、「『所得税法第56条の廃止』を求める意見書の提出について」(福商連婦人部)、ゆきとどいた教育を求める全国署名運動実行委員会から提出された19件、青年雇用フェスタ実行委員会から提出された7件の合計29件でした。
 このうち、「盲・聾・養護学校の教育条件拡充について」(ゆきとどいた教育を求める全国署名運動実行委員会)と「金融危機に端を発する大量解雇・雇い止めから雇用とくらしを守る緊急対策を求める意見書の提出について」(青年雇用フェスタ実行委員会)の2件は趣旨採択され、その他は継続扱いとされました。

以 上



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