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2007年10月11日

2007年9月定例県議会を終えて

日本共産党福島県議会議員団
団  長 神山  悦子
副団長 宮川 えみ子
幹事長 藤川 しゅく子

1、はじめに

 9月定例県議会は9月25日開会、10月11日閉会の会期17日間で開催された。「構造改革路線」を強行してきた自民・公明が参議院選挙で惨敗し、与野党逆転の国会状況が生まれ、福田内閣のもとで若干の是正を示さざるを得なくなり、県議会にも影響を与えた。
 今議会では、「障害者自立支援法の応益負担廃止を求める意見書」と「後期高齢者医療制度の凍結を求める意見書」が全会一致で可決されたことや、「政務調査費」の領収書義務付けが全会派の合意で決められるなど、県民の意見が反映される状況が生まれている。
 7月16日に発生した中越沖地震による柏崎刈羽原発震災への東電や国の対応は、福島県民に大きな衝撃をもたらした。党県議団は、7月24日の東電・県への緊急申し入れに続き、8月23日には立地町との懇談と福島第一原発の現地調査を行い、県民の安全・安心の確保を申し入れた。また、9月7日のエネルギー政策議員協議会では、宮川県議が震災事故の何を教訓にしていくのかについて東電をただした。議会テレビ討論会でも神山県議が原発の地震対策で発言した。
 9月7日の9月議会への知事要望では、4年半ぶりに直接知事が対応した。「構造改革」政治のもとで格差・貧困が広がり、県民生活を苦しめていることから貧困対策を中心に、無駄な大型事業をやめること、県民の安全を守る立場から原発と地震対策など要望した。
 9月19日に行なった民主団体との要望・懇談会で出された、稲ホールクロップサイレージの推進やネットカフェ難民調査、後期高齢者医療制度の問題点などの具体的な提案を宮川県議の一般質問でただし、県の前向きな答弁を引き出すことができた。
 最終本会議では、総務常任と企画環境常任委員長の報告に、入札の最低制限価格の決定を出納局等で決定することや、原発増設に関する新たな動向などについては、県へ報告を求めるよう東電に申し入れるべきとの意見が付された。
 党県議団は、今議会に付託された主に国庫補助事業に伴う約15億円規模の一般会計補正予算や核燃料税など26議案全てに賛成したが、公安委員を選任する人事案件1件は、再任のため反対。意見書8件全てに賛成し、わが党紹介の新規1件、継続1件は趣旨採択となった。
 6月県議会以降、自民党は2人の現職死去にともない28人となり、自民党以外の議員も28人と同数になった。

2、一般質問と論議された問題について

 10月3日の一般質問には宮川えみ子議員が登壇し、参議院選挙結果を受けての見解、県の財政赤字に対する認識、原発の震災対策の3点を知事にただした。その他、後期高齢者医療、貧困と格差への対応策、農業の振興、高校普通科学区全県一円化問題、09年のフリースタイルスキー世界選手権大会の開催費用問題をただした。
 県財政の厳しさをみればトラハイや小名浜東港の建設の中止を含めた検討が必要なこと、特に宮川議員は、現地調査をふまえ現在使用している小名浜港の整備を優先すべきことを指摘したが、県は、国の交付金の大幅削減が原因として相変わらず過去の県債残高の増加についての総括はなかった。原発震災対策では、我々とほぼ一致した認識を示し、貧困・格差問題では、ネットカフェ難民の実態調査を行なうことや、農業の振興では、稲ホールクロップを積極的に支援するなど前向きの答弁があった。

 一方、当局から議会の意見が求められた「FISフリースタイルスキー世界選手権猪苗代大会」の費用問題については、当初に議会が認めた総額5億7,900万円を超えるのであれば中止を含めて再検討すべきとした。また、「建設技術センター」のあり方については、談合できないしくみを確立することを前提に、市町村の要望に応え存続すべきという党県議団の従来からの考えを主張。他会派もほぼ同じ意見であった。

3、各委員会審議について

◆総務常任委員会(神山悦子議員)

(1)  本県独自の核燃料税重量割課税(法定外普通税)の期限切れを12月に控え、本則税率キロ11、000円とすべきところ、東電との交渉の結果、当分の間(5年間)附則第3項によってキロ8,000円(これまで6,000円)とする条例が提案された。その差額は20億円となるが、東電は5兆円の売上げ経常利益3,700億円の大企業からみれば大した金額ではないことを指摘しつつ、やむをえないと了承した。
(2)  県人事委員会が、県職員の給与を9年ぶりに引き上げの勧告を出した。月例給を平均0.4%、子等に係る扶養手当を6,000円から500円引き上げることに。また、期末・勤勉手当ては14% を年間0.05月分引き上げることとし、約16億円程度の予算確保が必要になるとされた。人事院勧告に基づく引き上げとはいえ歓迎できるが、民間企業50人規模との比較と言う問題は残されている。
(3)  今年4月から試行されていた入札改革は、10月から本格実施となった。原則250万円以上は全て一般競争入札となることから、他党からも県内建設業界や下請の窮状を訴える発言が相次ぎ、予定価格の事前公表は必要ない、最低制限価格の決定は発注部の土木・農林ではなく出納局におくべきとの意見が出された。
(4)  建設技術センターの存続については、現事務所を売却し移転することを提案したが、トンネルや橋梁などの設計を除き、職員体制を大幅に縮小し市町村の設計業務・研修のセンターとして存続することが了承された。
(5)  来年度からの県立医大医学部学生への修学資金貸与条例が提出された。第1種10名、第2種35名分で、将来県内の公的病院に勤務することが条件。民間病院勤務も対象にすべきと求めたが、現時点では考えていないとされた。

◆商労文教常任委員会(藤川しゅく子議員)

(1)  大幅な積算違いが問題になった猪苗代フリースタイルスキー世界選手権大会の開催費用は、検証委員会試算の21億円か、当初の6億円弱なのか明確な金額が示されず、ずさんな行政の在り方に憤りの意見が出され、判断できる状況ではないとの意見も出された。わが党は当初予算程度で開催できない場合は中止も含めて判断することを求めた。
(2)  県立高校普通科学区一円化は、県が広聴会と中高生と保護者へのアンケートを実施したが、学校関係者以外の意見は聴取できていないので、広く地域住民の意見を集約するためのアンケートが必要との意見を述べた。
(3)  中小企業信用保険法の改定により、10月から信用保証協会の保証が8割に後退することについて、県独自に小口零細企業対象に全部保障とする制度の立ち上げとなった。
(4)  売れない工業団地の問題(いわき・白河など)や、海外からの修学旅行の誘致推進などの意見が出された。

◆土木委員会(宮川えみ子議員)

 補正予算は約12億、予算の累計は約96億円で昨年比1割弱減としめされた。補正の主な内容は国庫補助の確定である。流域下水道二本松処理区の一部民間委託や法改正などによる条例の改正など。9月5〜7日にかけての台風9号の被害は、県市町村合わせて343箇所、32億円になったこと。県技術センターの在り方については、チェック体制が問題になったが、基本的に了承された。

◆いのち・人権問題対策特別委員会(藤川しゅく子議員)

 調査事項と調査計画について協議した。(1)自殺防止対策(2)人権侵害防止対策(3)地域医療の大きく3分野にわたっての議論をすることが確認された。今後2年間でまとめることとなった。

◆地域産業活性化対策特別委員会(宮川えみ子議員)

 若者等への就業支援新事業でニート支援、就職支援事業を行い一定の成果があったことが報告されたが、本会議に引き続き重要性を強調し事業の拡大を求めた。当局は財政がひっ迫しているので拡大は難しいと答弁。また、地域の活性化のためにデマンドタクシー(予約制、低料金で門口まで乗り入れられる)を全県に広げるよう求めた。

◆エネルギー政策議員協議会(宮川えみ子議員)

 9月7日、9月定例県議会に先立ち、7月16日に起きた新潟県中越沖地震での柏崎刈羽原発の被害・対応を受けてエネルギー政策議員協議会が開かれた。党県議団は4年ぶりの参加(3人以上の会派から委員に入れる)で、宮川えみ子県議が委員となった。
 東電の勝俣社長に対し、自衛消防体制、断層調査はトレンチ掘削調査を行うこと、津波による引き波で冷却水が取水できなくなる事への対応、情報公開の不備などを質問した。これに対し東電は、消防体制など一定の改革方向は示したが、断層調査ではトレンチ調査が必ずしも有効とはいえない、調査の数字をそのまま出してもわからない、などと従来の「安全神話」に浸ったままの答弁だった。

4、議会改革検討委員会(神山悦子議員)

 党県議団は、これまでも海外視察の中止や政調費の領収書添付・旅費等の見直しについて、再三に渡り議長に申し入れてきたが、05年3月末、県の包括外部監査からも「海外視察見直し」を指摘されていた。改選前の今年3月には他会派からも改善を求める申し入れがあいつぎ、議長は「新年度になってから着手すべきもの」と、次期議長への申し送り事項としていた。
 今年5月22日に設置された議会改革検討委員会には、神山議員が委員として入り、海外視察や旅費、政調費、議会内のチェック機能の強化など17項目について論議し大幅な見直しが行なわれ、9月県議会中の10月10日、議長へ最終答申(別紙資料を参照)された。

「海外行政視察」は、議員が任期中に1回(1人110万円を上限として)派遣と定めていた実施方法を改め、「必要があると議会が認めた場合」に限定する。
「定例会招集旅費」は、招集日額に交通費、宿泊費を加算する。ただし、議案調査・議事都合による休会日は、登庁した場合のみ支給。福島市内の議員の宿泊費は廃止。
「政務調査」は、使途基準の見直し、政調費から支出できない経費を明確にし、全ての支出について領収書等証拠書類の写し(コピー)を添付することを義務づける。
議会内の活性化を図るための「議員基本条例」も制定する方向で一致。

 以上が主な改革であるが、政調費の領収書添付については、国会議員のずさんな政治資金や事務所費問題に批判がでていることを指摘し、領収書原本の添付と月35万円の支給を減額するよう主張したが、多数意見とならず見送られた。来年度から公開となるが、領収書の一部墨塗りなどとならないよう、引き続き県民の監視が重要である。

5、請願・意見書について

●全会一致で採択された意見書

いじめ・不登校対策のための施策を求める意見書
事業承継円滑化のための税制措置等に関する意見書
原子力発電所の検査制度見直しに関し国の慎重な対応を求める意見書
尾瀬国立公園内自然環境保全のための速やかな対応を求める意見書
道路整備における地方負担の軽減を求める意見書
割賦販売法の抜本的改正を求める意見書
後期高齢者医療制度の凍結を求める意見書
障害者自立支援法の応益負担を廃止する改正等を求める意見書(共産党も紹介議員に)

●党が紹介議員になった請願・意見書

 新規の意見書提出を求める請願5件のうち「後期高齢者医療制度の中止・撤回を求める意見書」と、6月より継続扱いとなっていた「障がい者の応益負担を廃止する意見書」の2件が『趣旨採択』となった。

<新規>

福島県社会保障推進協議会提出の「後期高齢者医療制度の中止・凍結を求める意見書の提出についての請願」・・・趣旨採択
福島県労連提出の「地域別最低賃金の引き上げと最低賃金法の抜本的改善を求める意見書の提出についての請願」・・・継続
新婦人県本部提出の「妊産婦健診の県の助成制度拡充についての請願」「児童扶養手当の削減撤回を求める意見書の提出についての請願」・・・継続

<継続>

福島県社会保障推進協議会提出の「障害者自立支援法の応益負担を廃止する改正を求める意見書の提出についての請願」・・・趣旨採択

以 上



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