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2007年6月定例議会に向けた知事申し入れ
2007年6月1日

福島県知事
 
佐藤 雄平 様

日本共産党福島県議会議員団
団 長 神山 悦子
副団長 宮川えみ子
幹事長 藤川 淑子

6月定例議会に関する要望書
はじめに

 安倍内閣が教育基本法の改悪、国民投票法(改憲手続き法)を強行するなど憲法改定に向けて暴走しています。
 5月3日に発表した日本会議議員連盟の「新憲法大綱案」では、憲法第9条の2項を削除し「集団的自衛権の行使を当然視」することをめざしています。くわえて学校教育における男女共学を否定するなど、憲法24条にもとづいて両性の平等、女性差別の撤廃を社会の目標とすることそのものに、激しい敵意を燃やしていることは、時代逆行の姿を象徴するものとして重大です。
 これらの動きは、平和を希求する日本国民との矛盾を深めるだけでなく、日本国憲法に依拠して、人権と民主主義を日本社会に根づかせようという国民の世論に正面から挑戦するものです。
 また、「政治と金」の問題では、事務所費問題、緑資源機構の官製談合などが大きな問題となっています。本県の「県政汚職」事件の痛苦の教訓から、 二度と談合汚職を起こさない証しは、県政汚職・談合事件の全容解明であり、県の現職幹部が談合にかかわっていた事実が公判でも示されており、県自らが徹底的に調査し、結果を県民に示すことが求められています。
 一方、県民生活は景気回復が何ら実感されるものでなく、定率減税全廃による増税と負担増が押しつけられるなどますます厳しいものとなっています。
 また、全国に衝撃を与えた県立高校生による母親殺人という悲惨な事件も発生しています。
 県政は、地方自治体の本来の役割である「住民の安全と福祉の向上」を図り、広域自治体として市町村を励まし支援することが強く求められています。
 こうした点から6月定例県議会にあたっては、広がる貧困と格差の解消に力を尽くし、(1)大型プロジェクト見直しのいっそうの徹底をはかること、(2)地域での仕事確保をはかり、経済活性化にも資するようにすること、(3)県民の暮らしを守り、市町村の個性ある地域づくりにとりくめるよう、市町村支援を強めることを柱に、以下の項目について要望するものです。

1、清潔公正な県政と県民のくらしを守る財政運営を

〔1〕増税による県民負担増と県の財政運営について
 「三位一体改革」の一環として、所得税から住民税へ税源移譲されたとはいえ、県民にとっては住民税の定率減税廃止による増税と、さらに、昨年の低所得者への非課税限度額廃止の影響が今年も続くなどで実質負担増となります。「貧困と格差」を是正し県民のくらしを応援するため、県が積極的に役割を果たすことを求めます。
 (1)定率減税完全廃止にともなう増税の影響について、県民に周知徹底するよう市町村を指導すること。
 (2)特に、非課税世帯が課税世帯になる層に対するきめ細やかな周知を図るとともに、各保健福祉事務所との連携を図りさまざまな相談に乗れるようにすること。
 (3)県の借金を増やし、財政を圧迫している小名浜東港とトラハイは中止を含めた見直しの検討を行なうこと。赤字運営が続いている福島空港のあり方については、存廃を含め見直しすること。

〔2〕県政汚職事件を徹底究明し、清潔公正な県政へ
 (1)「緑資源機構」をめぐる官製談合疑惑事件が発覚していますが、県が負担している事業について、地元の住民からみても必要ない事業と指摘されているものもあり、県民の目線で見直すこと。
 (2)「県政汚職事件の徹底解明」は、引き続き県政の重要な課題との認識に立ち、知事自ら解明に乗り出すこと。さらに、建設業界から組織的な支援や政治献金を受けないことを内外に明らかにすること。
 (3)「入札制度の改善」を常に行い、地元下請け業者と労働者きりすてにならないしくみを明確にすること。
 (4)清掃業務や警備などを外部委託していますが、一定のノウハウの蓄積と継続性が求められることから、一律に競争入札としないこと。
 (5)県公共事業の品質の確保と検査ミスをなくすためにも、専門の技術職員の充実を図ること。

2、県民のいのちと健康を守るために

〔1〕市町村の国民健康保険への支援を
 高すぎる国保税、非情な保険証取り上げ、増大する無保険者など市町村の国民健康保険は、いま土台を掘り崩すような危機におちいっています。この間、年金控除の縮小などに連動した国保税の大幅値上げが高齢者の暮らしを直撃し、国保税の上限引き上げもされます。各市町村においては、一般財源の繰り入れや基金の取り崩しなど負担増にならない努力を行っています。
 以上のことを踏まえ 県民生活擁護の立場から市町村の国保会計へ財政支援をすること。同時に、無慈悲な保険証の取り上げをやめさせ、安易な資格証明書の発行をしないことを市町村に徹底すること。

〔2〕 後期高齢者医療制度について
 後期高齢者医療制度の広域連合の枠組みが発足しましたが、これは、国の医療費8兆円削減が目的であり、高齢者の自己負担増と高齢者医療に差別を持ち込むものです。広域連合議会議長から県に対して財政支援を求める要望も出されていますが、広域連合及び市町村に対する県の財政支援を行うこと。

〔3〕 医師不足解消に向けて
 (1)県内の医師不足と医療格差をなくすことは引き続きの課題です。
 県が広域自治体の立場で専門のコーディネーターを配置するなど、公立・民間医療機関の中核的役割を担うこと。
 (2)医師養成のための奨学金免除制度を、公立医療機関だけでなく民間で研修した学生にも適用できるようにして県内への医師定着を図ること。

〔4〕 児童相談体制の充実を
 昨年の泉崎村の児童虐待死事件を繰り返さないため、児童相談所の体制の充実が図られてきましたが、県中児童相談所がようやく児童相談所として独立したものの、「一時保護施設」が設置されていません。適切な児童への対応を行えるようにするためには必須条件です。
 (1)県中児童相談所に一時保護施設を併設すること。
 (2)1人あたりの担当件数が100件以上も扱うのでは、十分な対応がとれません。専門職員を増員すること。

〔5〕子育て支援について
 若い人たちの半数が派遣などの不安定雇用になっているなど、労働条件はますます厳しくなっています。子どもを産んで育てることが経済的な大きな負担になっていますが、子育て世代への具体的な支援策と拡充を求めます。
 (1)子どもの医療費無料化年齢を中学卒業まで引き上げること。
 (2)妊婦健診の無料化が進むように各市町村を支援するため、補助対象を第1子からへ拡充すること。

〔6〕中国帰国者への支援について
 先の戦争で犠牲になった中国残留孤児や残留婦人の帰国者への支援策である国の「地域生活支援プログラム」が今年4月から始まりましたが、国の自立生活支援は、帰国一世と生活保護受給者しか対象にしていないものがほとんどとなっています。
 (1)これにともなって、帰国者への実態調査が行なわれることになりましたが、高齢であることや言葉の壁があるため正確な内容が伝わりにくい現状があることから、丁寧な説明が求められます。きちんとした説明が行える体制をつくり、実態把握に努めること。
 (2)帰国二世や三世にも同様の支援が必要です。県独自の支援策も検討すること。

〔7〕上水道事業について
 本県における上水道事業は、市町村を中心とした地域水道用水供給企業団方式が主流をなしています。県の財政支援がないなかで、利水計画が継続困難に追い込まれた企業団や住民に全国一高い水道料金を求めざるを得ない企業団など、県民の飲み水確保としての上水道事業がそれぞれの困難を抱えています。無駄なダムを作った国・県の責任も問われます。
 (1)県民の飲み水に県が責任を持つ立場で、水道用水供給企業団への財政支援を求めること。同時に、企業団方式を改め県営で行うこと。

3、原発問題について

 過去のデーター改ざんや臨界事故隠しなど、相次いで判明した原子力発電所の不祥事は、県民の大きな怒りと不安を引き起こしています。東電は2002年(H14年)に発覚した原発トラブル隠しの教訓から再生を誓い「体質改善」を進めるとしてきましたが、県民を欺いたと言わざるを得ません。
 県民の安全安心の観点から次のことを強く求めます。
 (1)過去のデーター改ざんや臨界事故隠しについて県民と議会に対し説明を求めること。
 (2)技術が未確立のプルサーマル計画は行わないこと。
 (3)東電の相次ぐトラブル隠しや、事故・故障の多発は、ハード面・ソフト面両方の老朽化を示すものであり、老朽原発の運転そのものが無理と言わざるを得ません。「廃炉」の方向を明確にするよう国に求めること。
 (4) 地震・津波発生を想定したハード面・ソフト面の対応策を整えること。特に、ポンプの満潮による水没、引き潮による給水不能状態対策など。

4、産業と農業の振興、正規雇用増を

〔1〕農業を本県の基幹産業に位置づけて
 「品目横断的経営安定対策」は、これまで作物ごとに行ってきた価格政策をすべて廃止し、ごく一部の大規模経営だけを対象に助成金を出すという内容です。
 この「対策」が本格的に実施されれば、生産の大半を担う農家経営が大きな打撃を受け営農を続けられなくなります。田畑が荒れ、食料自給率がいっそう低下するのは必至です。県として以下の対策を求めます。
 (1)現場に混乱をもたらす「対策」を中止することを政府に求めること。
 (2)いま存在する多様な農家経営を大事にし、できるだけ多く維持する支援策を持つこと。
 (3)新規参入者などに手厚い支援をおこなうこと。
 (4)地産地消や直売所など消費者・住民との共同を支援すること。
 (5)担い手支援は、価格保障に所得補償を組み合わるよう政府に求めること。

〔2〕中山間地支援、合併した市町村の支援策について
 中山間地の集落の消滅問題、合併した市町村の山間部対策が大きな課題になっています。これらについては総合的施策が必要ですが、地方としては特に公共交通対策が重要な課題になっています。
 (1)生活バス路線の確保、ジャンボタクシー方式など新たな公共交通の確保など、技術的にも財政的にも県の支援を強めること。
 (2)住民サービスの後退と負担増大、周辺地域のさびれに拍車がかからないよう、県も入り地域連携の一翼を担うこと。

〔3〕誘致企業に正規雇用と受注拡大を求めることについて
 大企業誘致のための補助金増額が全国で進められていますが、政府の経産省、厚労省、文科省の3省がまとめた2006年版「ものづくり白書」によれば、「必ずしも企業の誘致に有効とは言えない」とし、雇用への波及効果についても「補助金の効果が表れているとは言い切れない」としています。
 (1)本県でも企業誘致の助成金引き上げがなされていますが、それに見合うだけの、県内中小企業の受注拡大や正規雇用の拡大につながる独自の対策を行うと共に、誘致企業に対してこれらを強く求めること。
 (2)福島県の最低賃金は、時給618円となっていますが、これでは月10万円ぐらいにしかならず、ワーキングプアといわれる働く貧困層を再生産することになります。国に対し、全国一律時給1000円以上となるよう、働きかけること。

〔4〕県営住宅の家賃滞納について
 県営住宅の家賃滞納者への民事調停については、福祉事務所との連携を強め必要な福祉の対応を実施することや母子世帯や高齢者世帯、障害者世帯などに対する強制執行をおこなわないこと。

5、いきいき、のびのびとした教育の充実を

〔1〕県立高校の普通科学区一円化について
 県学校教育審議会は、「県立高校普通科学区は全県一円化が適当」とする答申を出しました。しかし、去る5月に県内で発生した高校生による殺人事件など、子どもをめぐる事案をみるにつけ、多感な年齢に親元を離れて暮らすことや激しい競争にさらされることによる心に与える影響を懸念するものです。
 したがって、学校間格差の拡大や、通学費用の増大、既設校の廃止や序列化につながることが危惧されることから、県立高校普通科学区の全県一円化を実施しないこと。

〔2〕日本青年会議所作成DVDの対応について
 日本青年会議所が作成したアニメ「誇り」のDVDが教材として、教育現場に普及されようとしています。このDVDの筋書きは日本の侵略戦争について加害の事実に触れず、自衛のための戦争とするもので、「日本やドイツが起こした侵略戦争」という世界の根本原則から大きく外れるもので、公教育で使われることがあってはなりません。
 したがって、県内の状況をただちに調査し、教育現場で使われることのないよう対策を求めます。

以 上



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