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2006年11月定例議会を終えて
2006年12月14日
日本共産党福島県議会議員団
団 長 神山 悦子
幹事長 長谷部 淳
はじめに

 11月12日投票の知事選挙は、「県政汚職事件をあいまいにせず、徹底解明すること」「利権政治の温床であるムダな大型開発をやめ、県民のくらしを守ること」を大きな争点としてたたかわれた。
 知事選挙の結果は、民主、社民両党推薦の佐藤雄平氏が自民、公明両党推薦の落下傘候補の森雅子氏を10万票の大差で破った。これは、県民が自民党、公明党政治に「ノー」の選択をしたものである。
 県内では、政府がすすめる社会保障の連続改悪による負担増や増税路線によって、景気回復の実感を感じることができず、県内の中小企業、農業、漁業などへの充分な手だてが必要となっている。
 教育基本法をめぐっても、文科省の「やらせ」問題、必修単位の未履修問題、いじめ・自殺問題など、どれも法案提出者の資格にかかわる大問題にもかかわらず責任を回避したまま「愛国心」などの「徳目」を強制し、教育に国家権力が無制限に介入することができる教育基本法の全面改定案に対し、強行させない県の姿勢が求められている。
 県知事選挙後、11月17日には政調会、22日には知事申し入れを行い、人勧実施条例改定を11月中に行うことが必要なため、臨時会の招集をせず、定例議会の招集を11月29日とし、会期は12月14日までの16日間。11月定例県議会には、一般会計補正予算をはじめ追加で提案された人事案件5件と併せて知事提出議案28件が提出された。
 開会前日には、福島地検が04年の知事選挙の買収容疑で佐藤祐二元社長、秘書、県議では飛田県議1人を含む8人を起訴した。10月11日の議長が各会派を回って行った「潔白宣言」は全くの虚偽であったことが明白となった。
 党県議団は、11月29日、本会議開会前に議長に、あらためて裏金の授受の再調査と東京地検の事情調査を受けた議員の有無について県民の前に明らかにすることを求めた。議長は「捜査当局がこれ以上はないとしているのに県議会としてできることはない」と幕引きをはかる態度をみせ、翌日自民党会派からの謝罪があったことを各会派に伝えたにすぎず、「オール与党」勢力もこれで一件落着とした。
 佐藤雄平新知事の初めての所信表明は、各党の主張を取り入れて無難に打ち出してはいるが、談合問題も具体的にどうするのか明確ではなく、原発政策ではプルサーマル計画については「県民各方面からの意見を聞きながら」と述べるにとどまっている。
 11月29日には、人事委員会勧告実施のための議案の討論があり、神山議員が反対討論にたち、採択では「唯一の与党会派」である県民連合会派内の社民党議員3人が退席した。
 一般質問には長谷部淳県議が立ち(12月6日)、12月14日の最終本会議では神山悦子県議が反対討論を行った。
 12月13日、党県議団は議長に対し、政務調査費の収支報告書に領収書などの証拠書類添付の義務づけと、定例会以外の旅費の見直しを求め、「日当」の廃止、議会の召集の際の旅費額を実費相当にすることなど、議会として検討する場を設けるよう求める申し入れを行った。
 なお、川手晃副知事が11月14日に辞職したことによって空席となっていた副知事には、内堀雅雄企画調整部長が提案され(当面部長兼務)、最終本会議で全員一致で同意された。
 12月6日、教育充実3000万署名福島県実行委員会が、6万余筆の署名を添えて、請願17件を提出し、新日本婦人の会県本部は、前に提出し継続扱いとなっている「妊産婦健診無料化を求める請願」の採択への各派要望行動を行った。

1、長谷部淳県議の一般質問について

 12月6日には長谷部淳県議が一般質問に立ち、知事に対して「政治活動や選挙活動において、建設業界からの応援や政治献金は受けないことを明確にすることが、知事のいう『公正でクリーンな県政』の第一歩ではないか」と真正面から迫った。しかし、「今回の知事選挙において、建設業界からの献金は一切受けておりません」と問題を矮小化し、再質問、再々質問に対しても「法を遵守する」「適正に対処する」と正面から答えるものではなかった。
 また、談合問題に対しても「事件としての判断は司法当局が行うもの」と自ら解明にあたる姿勢を示さなかった。
 原発行政については、知事選告示の前日、日本青年会議所福島ブロック協議会が主催した公開討論会で、プルサーマルに賛成とした態度とこの所信との関係を質し、また12月5日に発覚した第一原発1号機での復水器出口海水温度データ改ざんは、安全確保協定第一条に違反する重大な背信行為であり、どのような対応をするかを質した。
 その他、公共事業のありかた、地方分権、医師不足問題、准看護師から看護師への移行を進め、看護師比率をふやすことについて、リハビリ医療、介護保険と関わって、地域包括支援センターについて、「認定こども園」、県内雇用の確保などについて質問した。
 党県議団が長年にわたり議運などで繰り返し知事答弁を増やすことを求めてきたが、新知事になって複数項目の答弁をすることになり、佐藤雄平知事は、長谷部県議の質問に対して、3項目について答弁した。

2、他会派の質問について

 代表質問、一般質問には12人の議員が立ったが、「与党」の県民連合ばかりでなく「野党」の自民党の質問者も冒頭で新知事就任を祝福するなど、緊張感に欠けるものであった。
 12月1日、自民党の遠藤幹事長が代表質問を行い、冒頭に飛田前県議の起訴について陳謝したが、議員個人の責任として除名処分でかたづけ、自ら利権・腐敗の全容を解明し、根を断つことには一切触れず、自浄能力がないことをさらけ出した。また、49年ぶりの野党としての代表質問であったが、入札制度改革、県職員の天下り、道州制への対応、原子力政策、プルサーマル計画などへの対応などをただしたが、踏み込んだ内容ではなく、佐藤知事の答弁もこれまでの経過と到達をふまえ慎重だった。

3、委員会審議について

<商労文教常任委員会>

◇商工労働部関係

 「非正規の雇用の増大」について質問。景気は、"いざなぎ景気"を超えたといわれていなかで、景気がよくなったのは、企業が非正規雇用を増大させたからと指摘。県はこの実態をつかんでいないうえ、「若者自身が多様な働き方を望んでいる」などと答弁。
 「国民生活白書など政府統計では、20代の非正規雇用の80%以上は正社員を希望している」との調査結果を示し、県の誘致企業に対しては、正規雇用を増やすよう求めるべきと指摘。県内でもワーキングプアが増えていることを指摘した。年収300万円以下の世帯が97年と02年の比較で約6万世帯増え、23万世帯に。実に3世帯に1世帯が年収300万円以下であることを指摘した。

◇教育庁関係

 教育長が突然来年3月で「辞任」することを表明。「未履修問題や教員不祥事問題」など一連の問題に責任を取るためとした。
 教育庁審議では、すでに高校未履修問題は11月の委員会で質しているため、今回は「いじめ問題」に質問が集中。神山県議は、今年の「いじめ」調査で595件と昨年に比べて極端に増えた理由を聞くと、今回は子どもたちへアンケートをとり、子ども自身がいじめと感じているもの全てを集計したものとした。
 また、文科省が今年40年ぶりに行った教職員勤務実態調査の結果では、月66時間も残業しているため「子どもたちと触れ合う時間がない」「教材研究の時間がとれない」という声がでていることを指摘。これについて、県教委の人事担当者は、全く深刻に受け止めていない答弁を繰り返すばかりだったので、これを厳しく批判した。

<企画環境常任委員会>

◇企画調整部関係

 長谷部県議は、本会議で部長が首都機能移転について「意義と必要性はますます高まっている」と答弁したが、栃木県知事が「やめることも選択肢」としていること、新内閣では大臣の「首都機能移転担当」の文字が消えていることをなどを示し、事業そのものをやめることを提案。今年度首都機能移転対策事業のための使ったお金は、1,500万円予算のうち、700数十万円。
 エネルギー政策検討会での検討は今後どう進めるのか、「中間とりまとめ」で示した疑問に国は説明責任を果たしていると受け取っているのか、核燃料サイクルについて、「いったん立ち止まり、今後のありかたを国民に問うべき」という立場に変わりはないか、などの質問に対し、「検討会の名称をどうするかも含め、状況に合わせて検討する」とした。部長は、他党委員の質問に対し、「エネルギー問題は本県にとって最重要課題。基本姿勢は変わらない。真正面からとりくみたい」とした。

◇生活環境部関係

 「県民等保護計画」の運用マニュアル素案を県が示した件について、そのポイントがなにか、「武力攻撃を受けた際の」ということだが、自衛隊の作戦や兵站とのリンクはあるのか、また、昨年11月の福井・美浜原発での「テロ攻撃を受けた想定での実働訓練」について質問。
 マニュアルに自衛隊とのリンクはないが、「自衛隊は侵害排除(要するに敵と戦うこと)だけでなく、国民の保護の仕事もするやに聞いている」とのこと。
 原発行政については、知事が言う「客観性と信頼性を高めた安全規制体制の確立」とは具体的になにか、白紙撤回となったのは国と事業者との信頼関係がくずれたからだが、今度の温排水温度データ改ざんで同じことになったのではないかと質問。「安全・安心が大前提」「事業者の信頼回復へ向けた取り組みが重要」との言葉を繰り返し、具体性に欠ける答弁であった。自民議員も、県民連合の民主議員も、原発ではひとことも発しなかった。
 本宮の灰溶融炉問題で、組合が全国アンケート調査を実施した件で、県としてその調査結果をどう受け止めどう対応するか質問し、組合に有利な回答結果ではなかったが、少なくとも問題があることが明らかとなった。

<次世代育成支援対策特別委員会>

 2年間の調査に基づく調査報告書(案)についての審議があった。長谷部県議が乳幼児医療費助成事業の「増額等」については、就学前の現状から「対象年齢の引き上げ」と具体的にすること、妊婦健診への「支援」も、「無料」と明示すること、認定子ども園について「十分検討すること」も、現行認可保育所の水準を子ども園においても確保することを明確にすること、子育て支援の地域の拠点施設であるはずの地域子育て支援センターの位置づけを明確にしたうえで整備促進を図ること、の4つの補強提案をした。そのうち、乳幼児医療費助成については「対象年齢の引き上げ」が明記され、妊産婦健診については「経済的支援」とされた。
 調査報告書は最終本会議で承認され、知事に提出された。

<公共事業の適正な執行の在り方に関する調査特別委員会>

 長谷部県議は、条件つき一般競争入札を基本としたうえで、入札参加資格審査の透明性確保のために、審査会に市民代表を参加させること、下請け業者への発注価格の妥当性検討などの詳細資料の提供と専門家を入れた調査会による最低価格調査制度の導入、指名競争入札や随意契約には条件つき一般競争入札以上の透明性・公正性を確保することを提案した。
 また、建設技術センター幹部が現役県職員や県予算を私物化しうるしくみが問題で、その一掃が課題であって、土木部OB天下り禁止、県派遣職員縮減、建設技術センターの県からの自立で、本来の業務・活用メリットを発揮できるようにすることを主張。さらに、公共事業の「整備の必要性の検討」「計画内容等の検討」段階から住民参画のしくみとすべきこと、行政による工程管理・検査体制の充実を提案。提案の多くは報告書に取り入れられた。建設技術センターについて報告書は、「市町村の理解を得ながら廃止の方向で検討すること」とし、「市町村支援など必要とされる機能をどこがどう担うべきかについては、市町村と十分協議すること」とした。
 なお、「自治体は不祥事が起きないと(談合根絶に)踏み込めないのはなぜか」の自民党委員の質問に参考人が「選挙で応援いただいているというのが一番多い」と答えており、県議会として、知事のみならず、議員が、建設業界の支援や資金をもらわずに当選する、ということを提言として報告書に盛り込むべきだと提案した。自民、県民連合の委員はそれぞれ「なじまない」とした。
 調査報告書は最終本会議で承認され、知事に提出された。

4、議案への対応について

 追加の人事案件5件を含めて28件の議案が提案され、党県議団は、人事委員会勧告実施の内容を含む一般会計補正予算案と条例改正案(3件)、認定こども園認定の基準を定める条例案、県の行う建設事業等に対する市町村の負担の追加及び一部変更についての3議案に反対し、神山悦子県議が討論を行った。また副知事を除く収容委員の任命に関する人事案件4件に反対した。

5、請願・陳情の取り扱いについて

 党県議団が紹介議員となった請願は、教育充実3,000万署名福島県実行委員会からの17件であったが、いずれも継続扱いとされた。
 他会派から提出された「『日本司法支援センター』の更なる体制整備・充実を求める意見書」、「『マザーズサロン』(仮称)設置の早期実現を求める意見書」、「森林・林業・木材関連産業政策と国有林や事業の健全化を求める意見書」の3件が全会一致で採択となった。


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