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2006年2月定例県議会を終えて
2006年3月30日
日本共産党福島県議団
団 長 神山 悦子
幹事長 長谷部 淳
はじめに

 1月4日の年頭記者会見で佐藤知事は県政運営の基本として「4つの社会」を目指し、真の分権型社会、「共生の論理」に導かれた社会、一人ひとりの個性や能力が自由に発揮できる社会、「いのち・人権・人格の尊重」に結びつく安全で安心な社会をあげ、「子育て支援など次代を切りひらく仕組みづくり」、「過疎・中山間地域対策」の2つの緊急課題と「安全で安心な社会の形成」を重点施策体系の新たな柱に位置づけた。

 昨年12月はじめから会津地方へ降り続いていた記録的な大雪は、各市町村と住民に甚大な被害をもたらし、屋根の雪下ろしで1名、1月には下郷町で保育所の屋根からの落雪によって幼児が死亡する痛ましい事故も発生した。

 党県議団は、1月12日に三島町、金山町を調査し、20日に県に対して申し入れを行った。申し入れでは、災害救助法を適用させ、財政支援をはじめ、あらゆる人的支援や機材の活用など、市町村を応援し県民の命と安全を確保するために、広域自治体の役割を十分発揮することを求め、抜本的な「克雪対策」を持つよう申し入れた。

 2月定例県議会に向けて、「06年度予算と主な施策についての申し入れ」(第二次)を1月23日に提出した。

 新年度の予算案を審議する2月定例県議会は、2月15日〜3月17日までの31日間の会期で開催された。一般質問には長谷部淳議員が立ち(3月2日)、総括審査会では神山悦子議員が質問をした(3月16日)。

 来年の県議選について、県議会定数等検討委員会で論議が展開され、現行条例どおりで実施するという自民党案が、多数意見として議長に答申され、次期県議選は現行の選挙区と定数で行なうことになった。党県議団は、3月7日に議長に対し「公選法改正の意見をあげる要請」を行った。

 3月7日、04年度決算認定への反対討論を神山議員が行った。2月補正予算案については、議案20件のうち、県の建設事業への市町村負担を求める議案にのみ反対(討論なし)した。

 3月17日の最終日には、当初予算案等に対する反対討論に長谷部議員が立ち、追加提案された議案3件を含め104議案の採決が行われ、党県議団は当初予算案と県職員給与引き下げ関係議案、県立病院廃止にかかる議案など13件に反対した。なお、予算議会であるにもかかわらず、与党からの賛成討論はなされないという異常な事態であった。

 本会議に提案された意見書4件はわが党も賛成し全会一致で採択した。党県議団が紹介議員となった新規請願は5件で、すべて継続扱いとされた。

 県議会最終日の3月17日に日本共産党県委員会と県議団は「福島県における医師不足解消のための提言」を記者会見で発表し、県知事、副知事、保健福祉部長に届けた。

1、2006年度県当初予算の特徴と問題点

 2月2日に発表された06年度の県の予算案は、総額8,709億2,900万円で前年度当初比マイナス5.8%となり、9,000億円を割り込みバブル崩壊後の90年代前半の規模にもどった。

 「歳入」では、県税収入が4年ぶりに2,000億円台を回復する見込みで、2,104億8,200万円となったが、国の地方への支出総額削減に伴って、地方交付税は前年比4.0%減の2,232億3,600万円、臨時財政対策債も10.3%減の250億3,100万円、合わせて前年比121億円も下回っている。また、国の税源移譲の額は106億円で、義務教育費国庫負担金など、廃止された国庫補助金の総額は172億円であり、差額は66億円にもなっている。地方自治体の財源確保に責任を持つべき国が、その約束を反故にしていることのあらわれである。

 その結果、来年度の県の財源不足は159億円となり、主要4基金の取り崩しで補てんし、06年度末の主要4基金の残高はこの10年間で最低の134億円となる見込みである。

 また、06年度末の県債残高は1兆2,164億円が見込まれ、93年度の2倍強となり、県民1人あたりの「借金」は58万2,000円となる。

 「歳出」で突出しているのは公債費で、93年には8.3%であったものが、06年度は14.7%、比率が1.77倍、額でも2倍近くになっていることである。

 予算編成では、各部局への枠配分方式は単なる予算抑制策であり、政策目標と予算編成とを実質的に関連づけることはできず、個々の事務事業の客観的評価もできなくなっている。枠配分方式をやめ、福祉・医療・教育分野を重点とした予算配分にすべきである。

 県は、重点推進分野として「子育て支援」「過疎・中山間地域対策」「安全で安心な社会の形成」「活力ある社会の形成」「循環型社会の形成」の5つに予算の重点配分をしたとして新規事業64件を含む184件、総額254億7,938万円を計上している。

 佐藤県政は、小名浜人工島づくりのために毎年、1個2〜3億円をかけて数個のケーソンを沈め、あぶくま高原道路(トラハイ)などの大型事業を継続させ、年々利用客が減少し、路線と便数が減り機種も小型化しているのに、福島空港関連では利用促進のために県費の異常なつぎ込みをしている。これらの大型事業や不要不急の事業はキッパリとやめるべきである。

 最小の経費で最大の効果をあげるためには、県が発注する工事の平均落札率を引き下げることが重要である。かりに土木部発注の1億円超の工事で入札率が平均80%になれば、それだけで20億円を超える財源を生み出すことができる。

 佐藤県政は、90年代の大型公共事業偏重でつくりあげた借金による財政危機のツケを県民に押しつけ、県立病院の統廃合、社会福祉施設の一部民間移譲、県立大学の独立行政法人化などの「3大切り捨て」を次々とすすめ、さらに重度心身障がい者医療費の入院給食費への自己負担導入や高校授業料引き上げ、敬老祝い金全廃などを強行してきた。

 また、県教委は06年1月23日の定例会で、県立高校の授業料未納者の「除籍」処分が可能になるよう学則の一部を改正することを決めた。04年7月に「授業料徴収マニュアル」を策定し、「3ヶ月以上の滞納者に対して出席停止処分にする」として県民に大きな波紋を投げかけたが、それを上回る県民の「教育権」を奪いかねない重大な問題である。県教委は、子どもや保護者に対し「重罰を科す」と脅せば未納が減るかのように錯覚していることを示している。

 いずれも県当局の姿勢は、県民生活の困難を見ず、その困難を乗りこえるための手だてをとろうとしないものである。

2、一般質問と総括審査会質問について

【一般質問】

 3月2日、一般質問に立った長谷部淳県議は、新年度予算編成、格差解消策、原発問題、義務教育費国庫負担金問題、県立高校学則の一部改正問題、医師不足、介護保険、県警制服指名入札問題などを取り上げ、知事の義務教育費国庫負担金の廃止で「三位一体改革」が進むとの認識を批判した。

 県内の生活保護世帯はこの4年間で1.3倍になり、全県で1万世帯を超え、国保税の滞納世帯数は全県で7万世帯を超え国保世帯の18.0%、市部では21.3%と5世帯に1世帯以上の滞納。県立高校の授業料免除生徒数はこの4年間で1.7倍になり、小・中学生への就学援助でも、04年で1万3,000人を超え、4年間で1.47倍。県内の05年の自殺者数は、669人となり04年を上回り史上最悪、交通事故死の4倍をこえている実態などを示しながら、新年度予算編成にあたり知事の県政運営の基本にてらしどう具体化を進めるかをただした。

 今年度実施した敬老祝い金の廃止、重度心身障がい者の入院食事代助成の廃止は、「なぜそんなことをしたのか」と県民から怒りの声が上がっていること。同時に、「人工島づくりよりも、漁業のほんとうの振興と漁民の暮らしを考えてほしい」との切実な声を示し、小名浜東港地区の人工島を凍結し、宮城県や茨城県の近隣港湾との連携や、県民の要望、県内の経済社会情勢などからあらためて検討しなおすべきと知事の認識を質した。

 老朽化が進むばかりの原発について、「プルサーマルは原発の現状の危険と問題をいっそう増大させるものであり、県内原発での実施はありえない」との知事の認識を評価。さらに、日本原子力研究所の研究員を長年勤めた研究者が、「この原発だけは『廃炉』を」と提言する福島第一原発1号機から5号機は、県としてはっきりと廃炉の検討を求めるべきであると県の見解を質した。

 介護保険問題では、税制改定に伴って介護保険料の段階が上がる65歳以上の第1号被保険者が5万6千人にもなる見込みであることが明らかになった。さらに負担増の実態を県が調査して対策を持つべきことを強調した。

 また、県警制服の指名入札問題では、この3年間の落札率が、100%、99%台の落札総額に占める割合が7割前後であること、特定の2業者にかたよった落札である異常な事態が明らかとなった。

【総括審査会】

 3月16日、神山悦子県議は総括審査会の質疑に立ち、「子育て支援策」、「医療体制」、「障がい者支援」について質問した。

 子育て世代の経済的負担の軽減策としては、妊婦健診の無料化、乳幼児医療費助成を義務教育終了時まで拡充すること、社会保険加入者の窓口無料化(市町村の81%が実施)などへ県の財政支援を求めたが、市町村の仕事として、「子育て支援」という掛け声とは矛盾するような冷たい答弁に終始した。また、県営住宅の入居緩和策や、保育園や幼稚園、高校の授業料などの子育てにかかる教育費の無料などを求めた。

 母子家庭等への支援については、須賀川市内のシングルマザーの訴えを紹介し、県の「母子家庭等就業支援・自立支援センター」の相談の対応を求めた。

 医療体制については、県立大野病院の産婦人科医の医療事故などからも、2次医療圏ごとに産婦人科医、小児科医の配置を求め、女性医師が働きやすい環境を支援するなどして女性医師の活用を図るよう提案した。また、県立子ども病院設置を求めたほか、ドクターヘリの活用についてただした。

医大学長の答弁で、約40%が女子医学生であることが判明した。医師派遣については、県立医大に20人の医師を確保し派遣先を決めること。民間病院との連絡調整システムを構築し、女性医師の活用を図るために働きやすい環境を整える必要を明言した。

 「障がい者支援」では、4月からの利用料定率1割負担について、県独自の軽減策と医療費の負担軽減や窓口での無料化を求めた。昨年10月から県が自己負担を求めた重度心身障がい者の入院食事代への補助制度を復活すべきとただしたが、在宅との公平化のため必要と、いずれにも冷たい姿勢を示した。

 また、遅れている地域生活移行などの基盤整備を急ぐよう求めたところ、知事は新たに県独自の施設整備補助事業制度を創設することを明らかにした。99年6月県議会で全会一致で採択されている「聴覚障がい者情報提供施設」については、今後の検討課題として具体的に明らかにしなかった。いずれもムダな人工島やトラハイ、首都機能移転などの事業をやめれば、障がい者向け財源はあると指摘した。

一方、小規模共同作業所への県補助はこれまで通り「継続する」との答弁だったが、議会閉会後の3月末になって、4月から加算部分を減額することが判明し、障がい者団体から強い批判の声が上がっている。

3、県民要求実現をめざし、各団体と県交渉

<県立高校の「除籍」扱いとする学則改定の撤回求めて>

 2月10日、「みんなで新しい県政をつくる会」は、経済的な理由で授業料が払えない家庭が1/3を占めるなか、県立高校授業料未納者に対し「除籍」処分を盛り込んだ学則が改定されたことを受けて、知事に対して撤回を求めた。今回の処分対象者は、「正当な理由がなく、督促に応じないケース」とされているが、教育委員会の調査でも未納者の61.6%は経済的理由であり、「払いたくとも払えない」状況が明らかとなっており、授業料の免除制度を充実し、除籍処分を撤回して子どもたちの学習権を保障する観点こそ県政に求められていると是正を強く求めた。

<医療・福祉の充実を求めて>

 2月6日、県社会保障推進協議会は県と懇談を行い、「社会保障の拡充を求める要望書」を提出した。介護保険、子育て支援、じん肺・アスベスト対策、国保、生活保護行政の拡充を求めた。県は国保税の減免について市町村に対して「画一的基準を用いてはいけない旨指導している」とし、04年9月に交渉した際の「その指導は行っていない」と大きく矛盾するものであった。

 同日、「国立病院と医療・福祉を充実させる福島県民の会」が国立福島病院の医療充実を求めて県に対して要請を行った。

<帝京安積高校銃撃事件の真相究明求めて>

 1月23日、帝京安積高校教師銃撃事件が発生してから8年が経過しようとしているが、学園側の態度は事件当時より悪くなっており、自主解決の方向は見いだせず、現理事長は学園側に責任はない、治療代も払わないと態度は逆転させていると指摘した。県の指導の甘さが理事会の居直りを助長しているのではないかとの質問に、総務部長は「自主的な解決が基本で話し合いが大切。今後、学園側への働きかけについても対応していきたい」と述べ、これまでの交渉から一歩前進した。

4、委員会で取り上げたこと、論戦について

◇商労文教常任委員会(神山議員)

<商工労働部>

・当初予算は、約563億円。制度資金貸付金特別会計は約23億7,500万円。

・上海事務所の活用、他県の東アジアの県事務所との連携事業、首都圏に設置するアンテナショップ、産学官共同のあり方などを質した。

・アメリカの大使館員が来県したのは、県の大型店規制条例が全国に広がることを恐れている証拠だと指摘。県は、市町村の計画策定に対し2分の1を助成する。

<企業局>

・ある業者から白河複合型工業団地にかかわる疑問の声が寄せられていたため、田村工業団地についても過去の造成工事入札結果表の資料提出を求めた。白河複合型拠点整備造成工事(97〜02年)の平均落札率は98.55%、田村西部工業団地造成工事(92〜00年)は99.08%と高く、100%はそれぞれ3件、1件あった。

<労働委員会>

・審査事件や労使関係調整事件は数件だが、寄せられている電話相談は、昨年130件に対し今年は386件と増加している。その内容は、賃金未払い、解雇、退職、残業など労働基準法違反であることを指摘し、経営者へ法の順守を徹底させ、未然に防ぐよう求めた。

<教育庁>

・当初予算は、約2,075億7,000万円。うち教員の人件費は1,851億円で89.2%。

・県政の目玉となっている会津学鳳中高一貫校に約40億円、双葉地区教育構想関係費約4億6,000万円、南会津の学習サポート事業に2,800万円。

・自動体外式除細動器(AED)が、全ての県立学校等に配備される。12月質問の成果。

・県内の医師確保をめざし、医学部進学希望高校生100名程度を対象に県立医大や地域の病院でセミナーを開催費248万円を計上。

・郡山市の県アイスアリーナが契約どおり今年度末郡山市へ譲渡する。郡山市へは運営費2,000万円を助成する。県内スポーツの振興と競技人口を増やすために、県営スポーツ施設を充実するよう求めた。

・今年度生活保護、準生活保護世帯の小中学生は、14,121世帯・7.2%で、前年度比793世帯・0.5ポイント高くなった。ここ5年間で5,073人3.1ポイント増加したように、県内でも格差社会が進んでいる。

・講師の数を減らし正教員の採用を求めたが、中学3年生23,000人が15年後には約18,000人と約5,000人減少するという試算を示し、正教員を増やすのは難しいとした。

◇企画環境常任委員会(長谷部議員)

<企画調整部>

・当初予算は約143億円。電源地域振興費約33億円・電源立地促進費約46億円を含む地域振興費が約105億円。

・地産地消推進事業について、進行管理と地域経済循環の活性化をどう図るのかを聞いたが内容はわかりにくく不明確。地産地消の進行管理について企画調整部としてわかりやすい発信を工夫すべきと要望した。

・来年度の首都機能移転対策事業費は1,500万円の予算だが、国会の両院協議会の議論動向からしても予算の計上は取りやめるべきことを強調した。自民党議員から委員会では初めて「この1,500万円をいったいなにに使うのか」と疑問が出された。

・光ファイバ通信基盤整備、イグドラシルプラン、申請・届け出オンライン化事業についてその内容を質した。

・福島空港について、供用を開始した93年3月から05年までの管理費累計は約72億万円、同じ時期の使用料収入が約40億円で約32億円の「赤字」となっている。来年度の予算案では、管理費5億5,400万円、使用料収入は飛行機が小型にシフトしていて05年度比1,700万円減の1億1,600万円で、「赤字」をつくりつつ、そのうえ「利活用事業費」を支出し続けることは県民理解が得られないのではないかと質したが、利活用推進に努めるとの答弁だった。

・ 福島空港について自民党議員から、“今後、県政のお荷物になるのではないか”といった趣旨の疑問が出された。

<生活環境部>

・当初予算は約75億6,400万円。

・生活バス路線などへの支援について、いわき市に対しても廃止対象となり対策協議会で存続させるとした路線で、いわき市でなければ国庫補助対象となる5路線について790万円の補助をすることが明らかになった。

・津波避難計画支援事業について、沿岸市町村が「津波避難計画」「津波ハザードマップ」を作成するが、そのための浸水予想区域図作成と被害想定調査などを県がする。07年度には沿岸市町村が計画作成するスケジュール。

・UD(ユニバーサルデザイン)が県民の日常のくらしに真に役立つ施策としての進行管理の考え方について質問。

・2月の原発制御棒ひび割れ発見以降の現状について、停止中の4基の対象52本中、14本にひびがあり、プールに保管している第1原発5号機の13本中8本にひびがあったことが明らかになった。

・老朽原発の廃炉について、去年の県のエネルギー政策検討会でドイツの専門家が世界で停止した原発の平均寿命は20.7年と言ったことなどから、福島原発の廃炉について率直にどう思っているかを聞いたが、県として廃炉を求めるとは答弁しなかった。

◇次世代育成子育て支援対策特別委員会(長谷部議員)

・道徳教育連携・推進講座事業について、主権在民、男女平等・同権、勤労と責任の尊重、知事の言ういのち・人権・人格の尊重などを含めた市民道徳規準を子どもたちとともに確立するスタンスが必要であり、「道徳教育の中核的指導者や協力者を育成する」ことが上から「道徳」を教え込むようなことはないかと質問した。さらに教科書に書かれた「道徳」だけではなく、確立されていない市民道徳規準を一緒に創ることが重要ではないかと強調した。

・体験活動・ボランティア推進センター事業について、奉仕活動の機会の充実を図るとあるが、「奉仕」に強制があってはならないのはあたりまえで、青少年の自発的社会参加、個々人の主体性・自立性を育てることにつなげているのか、来年度は新たな事業に引き継ぐとのことだが、こうしたことを踏まえているのかを質した。

・青少年の地域での夢や思いを実現する取り組みを支援するという「夢パレット事業」の具体的事例を聞いた。

5、他党派の質問について

 各党の質問の特徴を上げると、他党派の質問で、自民党は福島空港の利活用、県独自の少子化対策、次世代育成支援認証企業に対する優遇策など知事の掲げている施策への後追い質問をしている。また、県民連合は、社民党の古川議員が質問に立ち、地方分権や財政構造改革、少子化対策、アスベスト廃棄物の無害化処理などを取り上げた。

 また、追加代表質問で自民党の高橋議員は、「格差」をキーワードに質問を構成し、自民党政治によってつくりだされている「格差」の根本原因をどう取り除くかについては何もなく、格差減少にどう対処するかを問うだけのものである。

 また、自民党の一般質問では「トラハイやダムを削れとまでは言わないが・・・」と県道整備のおくれを取り上げ、委員会審議では、自民党の前議長が「福島空港が第2の県立病院にならないか心配」と発言するなど、佐藤県政と小泉構造改革路線によってつくりだされてきた社会的な歪みに直面して、それを避けて通ることはできなくなっていることのあらわれであり、「自民党の質問まで共産党とそっくりになってきた」と言われるような事態である。

 また、県立病院の廃止にかかる条例案が提出されているなか、これまで統廃合に反対してこなかった社民党議員が県立病院廃止反対を訴える団体の代表者とともに党県議団の控え室を訪れ、採決時には3人の社民党議員が退席するという不可解な態度をとった。

6、合併に伴う次期県議選の選挙区をめぐる問題について

 国勢調査の速報値を受けて県議会では、定数の見直し、選挙区のあり方についての議論・検討が行われてきたが、議員定数問題検討委員会では、多数をもって県議定数を58に、選挙区は公選法の特例をもって行うこととした。

 論議の中では、定数の多い中核市で減らし、それを郡部に配分することなどの意見があったが、日本共産党県議団は、中核市であろうと郡部であろうと住んでいる県民の権利に差を付けることは一票の平等という民主主義の原則に反し、県民の意思を鏡のように正確に反映させるためには、多くの「死票」を発生させる定数1の小選挙区をなくすことが必要であると主張した。

 3月7日、党県議団は議長に対して、公選法の「市、郡を原則とする」では、多数の飛び地や強制合区、大量の「死票」を発生させる1人区などで矛盾が発生することを指摘し、県議会として公選法の改正を県議会として関係機関に意見を上げるように申し入れた。なお、自民党も同日、議長に対して選挙区割りは各自治体が自主的に条例で定めることができるよう公選法改正を国に求めるよう要望書を提出した。

7、請願書、意見書について

<採択された意見書>

1)「さらなる総合的な少子化対策を求める意見書」(公明党提案)

2)「道路財源の確保に関する意見書」(自民党、県民連合提案)

3)「『尾瀬国立公園』の実現を求める意見書」(自民党、県民連合提案)

4)「福島県最低賃金の引き上げと早期発効を求める意見書」(県民連合提案)

以上の4件は全会一致で採択された。

◇紹介議員となった請願、意見書の結果について

 党県議団の紹介で提出された請願、意見書は「関税引き下げとミニマム・アクセス米の拡大に反対する意見書」(農民連提出)、「『品目横断的経営安定対策』に関する意見書」(農民連提出)、「日本と同等の安全対策が実施されない限りアメリカ産牛肉の輸入再開をしないことを求める意見書」(農民連提出)、「県内郵便局における集配業務を廃止しないことを求める意見書」(軍事費を削って暮らしと福祉、教育にまわせ国民大運動福島県実行委員会提出)、「患者・国民負担増計画の中止と『保険で安心して書かれる医療』を求めるため『医療制度改革大綱』ならびに『医療制度改革法案』の撤回を求める意見書」(福島県社会保障推進協議会提出)の5件はいずれも継続扱いにされた。

以 上



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