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2005年6月県議会知事提出議案第5号(指定管理者制度)ほか反対討論
05・7・6
長谷部淳
 日本共産党の長谷部淳です。
 指定管理者制度導入にかかわる議案にかかわって意見を述べさせていただきます。
 この制度の導入は、直接的には地方自治法の改定によるものですが、これは、「官製市場の民間開放」を求めていた財界の国際戦略と、これに呼応した小泉構造改革の流れのなかで行なわれたものでした。昨日、衆議院を通過した郵政民営化法案もその一環であり、国民合意がないまま進めるそのやりかたは断じて許すことはできません。
 こうしたもとで、住民の福祉の増進を仕事の柱とする地方自治体の姿勢が問われています。すなわち、自治体の存在意義は、住民の人権と自由を直接または間接に確保・実現するためにあり、当然、行政改革は、こうした行政の市民的生存権的公共性を拡充するものでなければなりません。
 同時に、住民自治をいっそう活性化するしくみや公正でムダのない効果的・効率的行政システムの構築を通して、地方自治の拡充に資するものでなければなりません。
 総じて、憲法の諸原則を実現・拡充する方向で自治体の行政改革を進めるべきです。
 そうでなければ、県民はいったいなんのために税金を納めているのか、の問題に帰着してしまいます。まして、税金で建てた建物を使って、収益を求めるばかりに住民サービスを低下させることなどあってはなりません。
 もともと税金を使って建てる公の施設は、直営が原則であり、地方自治法第244の2の3項が明記しているように、その設置目的を効果的に達成できる場合に限り、委託が可能とされるものです。
 設置目的を効果的に達成できるかどうかを見る場合、住民にとってよりよいサービスの向上が図れるか、施設の専門性やサービスの質、継続性、安定性が確保できるか、施設の管理運営が住民に十分に開かれるか、公の施設の業務にふさわしい職員の身分・賃金・労働条件などが保障されるか、などが十分に検討されなければなりません。
 県は、指定管理者制度導入の視点のひとつに、総人件費の抑制を始めとしたコスト削減をかかげています。公の施設は営利を目的としているわけではありませんから、コスト削減の主要な手段として、職員の非常勤化・パート化、低賃金化が利用される大きな懸念があります。議案第5号の男女共生センターについての審議にあたっても、こうした疑問を払拭するにはいたりませんでした。
 しかも、指定の期間は3年が基本とされ、期間が切れるたびに公募が行なわれ、指定が継続される保障はどこにもありません。管理者にとっては、経営不安と収益確保のため、パートや派遣労働など非正規職員でまかなわざるを得ないという圧力がつねに働きます。そして、働くものにとっては雇用不安です。管理者が不安定雇用者を中心に業務をになわせるようなことになれば、利用者県民にとっては、業務の継続性、安定性、専門性の確保が難しくなり、住民サービスの低下が強く危惧されます。
 とくに、「福祉は人」といわれるように、人的なサービスが施設運営の大きな要素となっている社会福祉施設、あるいは生涯学習施設、文化財の保管などを通した文化振興施設、そしてまた男女共同参画社会の形成促進を図る施設は、そうした危惧を抱かざるを得ない制度のもとにおくことはふさわしくありません。
 飯坂ホームのように、社会福祉施設によるサービスの提供を、県の仕事から切り離して民間移譲したり、民間移譲を前提に、太陽の国さつき荘や浪江ひまわり荘など、「非公募」としたりする措置も、容認できるものではありません。「非公募」とするならば、公の施設として存続させ、適切・良質なサービスの提供が期待できる場合に公募せずに継続させるなり、公共的団体に限定することを県として明確にし、県民にわかりやすくすべきです。
 今年度すでに指定管理者となった県営住宅では、県北地区での委託費が前年比1.2%の減、県中地区では11.9%の減、あわせると約6.5%、1,550万円の減となりました。県としては「行政経費削減の効果」というのでしょうが、今後指定管理者制度を導入する施設も、この削減圧力が管理者にかかり続けることになります。
 私は、住民の声が直接運営に反映され、誰でもが安心して利用でき、安定的に運営され、継続的に専門性を発揮できる職員を配置するためにも、県が責任をもって運営することが、公共施設の公共性や施設の機能を向上させるためには不可欠なことだと思います。

 以上の理由から、知事提出議案第5、6、8、9、10、14、15、27、28、29号の10件、および市町村に負担を求める議案第47号に反対を表明し、討論を終わります。


日本共産党福島県議団
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