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12月議会 一般質問
長谷部 淳
 日本共産党の長谷部淳です。
福島県議会が国に対し、「日本国憲法の平和理念に基づき、米国のイラク攻撃に反対し平和的解決に向けて全力を尽くすよう強く要望する」意見書を提出してからちょうど一年がたちます。知事がこの意見書を高く評価し、県内各地で県民へ訴えられていることも聞いております。

 ところが、その後のアメリカによる国連無視のイラクへの先制攻撃、無法な軍事占領は、イラク国民の反発と反感を広げ、テロと暴力の土壌を広げる原因ともなっています。ついに現地時間の11月29日には復興支援中の日本人外交官2人が襲撃され、死亡する事態となりました。にもかかわらず小泉内閣は、「日本人の精神が試される」などと、かつての「国民精神総動員運動」を髣髴とさせる言葉を使い、自衛隊派兵の正式決定となる基本計画を9日に決定しました。これは、県議会の要望や知事の姿勢をまっこうから踏みにじるものと言わざるを得ません。

 そこで私は知事が、イラクへの自衛隊派兵を是認するような立場をとらず、反対の意思を明確にして、その中止を政府へ働きかけるべきと思いますが、その所見をうかがいます。

 政府はこうしたなか、先月21日、国民保護法制の要旨を決定しました。知事などに役割分担させるような衣の下に、知事などが国の言うことを聞かなければ、首相が知事に代わって「措置を講ずる」というよろいがあるものです。たとえば、知事が県民の「救援」という名のもとに、物資・土地・家屋の強制収用、県民の強制動員をすることができ、知事がしなければ首相がする、というのです。しかもテロ時にも適用する。重大なのは、「武力攻撃事態等の予測」の段階から警報が発令され、「武力攻撃事態等」とは、アメリカがアジア太平洋地域で戦争を起こし、自衛隊が軍事支援する事態、すなわち「日本有事」ではなく「アメリカ有事」の可能性が最も高いのであります。こうした事態に備え、知事は国が作る基本指針に基づいて首相と協議しながら計画を作成し、また、日常的に訓練することまでもりこまれています。
知事は、有事法制関連法が国会で審議されていた際、「地方自治の原則や基本的人権の尊重などの憲法の理念に反することのないよう」にと、その基本的姿勢を表明されてきました。

 しかし示された保護法制の要旨の内容と構造は、基本的人権の尊重や地方自治の原則に反することは明らかだと考えます。

そこで知事は、国民保護法制の要旨をどう受け止められ、国に対してどのように臨むおつもりかうかがいます。

 次に2004年度予算編成の県の基本姿勢にかかわってうかがいます。最大の問題は、国の政策とともに、財政当局が指示してきたマイナスシーリングによって、県民の暮らしに直結した予算は現に減らされていることです。2001年度と2003年度の当初予算額を比較すると、民生費は41億円の減、衛生費は24億円の減、教育費は100億円の減であります。

 県はこうした姿勢を今後も続けるというのでしょうか。
来年度の「当初予算の編成について」では、「厳しい経済・雇用情勢への的確な対応等」とともに、「画一的に予算を削減するのではなく、必要性、緊急性、効果等の観点から、これまで以上に、各事業の重点選別化を徹底」することを強調されています。また「個別的事項」の中では、「投資的事業については…県民生活に密接に関連した事業を重点的に選択」する、とも述べています。

 また県は、公共事業における「コスト縮減」も強調されています。福島県の落札率が高いことはつとに指摘されているところであり、入札の改善は最優先の課題と思います。
 さらに国庫補助負担額の削減は福祉や教育が多くを占めることから、「県は肩代わりしない」との姿勢では県民の福祉向上を仕事とする地方自治体としての責務を果たせません。
 私はここに述べられたことを具体化するのであれば、トラハイや小名浜人工島などは休止し、社会保険乳幼児医療の現物給付、30人学級の拡大と複式学級の解消、県立病院における医師の確保による機能充実と経営改善、県立子ども病院の検討、農作物の価格保障制度、市町村国保への県としての支援、介護保険料・利用料への助成策、学童保育の拡充、公共施設の耐震化、などなど、県民が日常を暮らすうえでの要望に県は真正面からこたえるべきであります。
 知事は8日の代表質問に答え、4つの重点推進分野を示しましたが、私は上記の項目を含め、知事が具体的になにを重視し、なにを見直すかを県民に開示しながら予算編成を進めるべきと考えますが、知事の基本的な考えをお聞かせください。
 

次に原発問題です。
 「異物混入」はおよそ一般常識では考えられません。昨年発覚した一連の事故・トラブル隠し、不正事件以後だけ見ても、東電は県にたいして何度謝罪し、何度「再発防止策」を説明したのでしょうか。

 原子力という、石炭や石油とはけた違いの莫大なエネルギー源を扱うために、危険を前提とした徹底した安全管理が事業所全体にゆきわたっていることが、県民の安心・安全な暮らしの最低限の前提であることは言うまでもありません。

 この最低限の前提が東電にはないことが明らかになったのです。それは、東電の説明でも、この異物混入は1998年以降であり、新潟も含めて1000件を超えているにもかかわらず東電自身がはじめて知り、作業者から申告は1件もなかったことが証明しています。

 原子力を扱う事業者として失格といっても過言ではないと思います。
 運転中の原発の圧力抑制室にも異物混入が十分予想されるのですから、東電に対し、ただちに停止して調査させることが必要だと考えますが、県はどのように対応されたのかうかがいます。

県議会も知事も、昨年来、東電の企業体質を問題にし、その抜本的改善を東電に求めてきました。今回の事件はこの体質改善問題をいっそう深刻な形で浮き彫りにするとともに、社長個人のときどきの言明では、企業体質改善の根拠にはまったくならないこともはっきりとしました。すなわち、知事が原発再稼動を「了」とされた根拠がくつがえされたのであります。その認識を知事はお持ちなのかうかがいます。そして、今後、なにをもって東電の企業体質改善の根拠とされるおつもりかお聞かせください。加えて、今後の東電からの再稼動要請にどう対処されるおつもりかお聞かせください。

 また東電は先月10日、軽微なものを含めてトラブルはすべて公表する、と発表しました。「何をいまさら」といった感は否めませんが、しかし、今回の異物落下の申告は現場からなかったのであります。申告のないものは公表のしようがありません。下請け・協力企業を含めて軽微な事故情報を共有することで、事故を未然に防ぐためのインシデント報告制度を確立させることの重要性が今回ほど如実に示されたことはないと思います。

 私はあらためて、原発事業者の責任を明確にしたインシデント報告制度を法律で定めるように国へ働きかけるべきだと考えますが、県の考えをお聞かせください。同時に、法制度がなくとも、県は東電に対し、システムとしてのインシデント報告制度を事業者として整備・確立するよう強く求めることが、原発立地県として県民の安心・安全の要望にこたえる責務と考えますが、あわせて県の考えをお聞かせください。
 

 次に県としての医師の確保についておたずねします。
 県内の医師数は、人口当たりで見ると、県全体では全国平均よりも500人前後足りません。また、昨年度の保健所による立ち入り検査の結果を見ても、152施設中、ほぼ4割、しかも保健所があるすべての地域の60の施設が法律上の医師数を満たしていないとのことです。県立9病院全体で見てもほぼ10人不足しています。只見町・朝日診療所の例に見られるように、医療過疎地域、へき地医療をめぐってはさらに深刻です。厚労省調査による県内15市町村31地区の「無医地区」対策も急がなければなりません。県は年内に医師不在地への派遣システム行動計画を策定するということですが、遅きに失した感は否めません。

 県は、「保健医療福祉プラン21」において、「県民の医療需要に的確に対応するため、医療資源の適正配置や医療施設の診療機能の整備充実」が求められているとの現状認識に基づき、初期医療や在宅医療などの一次医療、多様な疾患に対応するために、高額医療機器などの整備を進める二次医療、そして特殊医療機器や施設が必要な三次医療それぞれの機能充実をうたっています。医療の中心には医師がいるわけですが、県立医科大学を有する県当局として、これまで県内の医師数確保のためにどのような手立てをしてきたのか、にもかかわらずなぜこれほど医師の不足が生じていると分析しているのか、そのうえに立って今後どのように医師数を確保されるのか、具体的な方針をお聞かせください。

 また、県当局と連携し、その施策を支援する医科大学としては、この医師確保について具体的にどのような支援策をお持ちなのかうかがいます。

 次に県立病院などのあり方にかかわっておうかがいします。
 もともと県は、?県立病院の担うべき役割?経営責任の明確化?医師確保の方策?累積欠損金の解消(縮減)策?一般会計からの収支差補填の在り方、を総合的に検討するはずでした。

 県民の福祉向上に責任を負う県ならば、なによりも県立病院が県民の健康増進のために果たす役割を明確にし、そのうえでどんな経営のありかたが望ましいか、といった検討が必要ではないでしょうか。

 ところが、県立病院のあり方や一般会計からの補填の在り方が明確にされないまま、経営問題に対応するためとしてまっ先に地方公営企業法全部適用を決めるやり方は、納得のいくものではありません。全適にしようが、採算性の確保が困難な分野をも担う公立病院が、一定のルールに基づきながらも一般会計からの繰り入れが不可欠であることは他県の例からも明らかです。
そこで、県として、県立病院が果たす役割をどのように認識されているのか、具体的にお示しください。
私は、県立病院事業改革の検討のなかで、決定的に欠けていることがあると思います。それは事務系職員、とりわけ事務幹部の育成です。病院の事務の仕事は、窓口で患者さんの対応をしたり、病院で提供した医療を間違いなく収入として請求したりすることだけではありません。
それどころか、病院長の補佐役として、病院内のさまざまな診療データの管理と分析、病院の医療内容を地域の関係で評価し位置づける仕事、医師・看護部・技術部門間のコーディネート、収入・支出動向の分析と診療サイドへの提供などの経営管理、医療者としての職員教育を含めた人事管理など、きわめて重要です。まして診療報酬という病院経営の根幹にかかわるものが2年に1回変わる制度のもとでは、継続と蓄積が必要です。外部委託で果たせるものではなく、責任をもった事務職員の固有の仕事として、公立・民間を問わないものです。地方公営企業法を全部適用するしないにかかわりません。医療活動に縁のない管理者をすえれば解決するものでもありません。

 こうした事務職員を病院が擁することは、その人件費を吸収して余りある収入につながるような、医師をはじめとした職員の活性化、病院全体の活性化、県民に喜んでもらえる病院づくりを進める条件にもなると考えます。
 私は、この際、福島県としては、県立病院における事務職員の育成を位置づけ、その経験を全国へ発信するよう提案いたしますが、県の考えをお聞かせください。あわせて、附属病院を擁する県立医科大学学長は、医師として、病院においてどのような事務幹部および事務職員を望むか、ご意見をお聞かせください。

 次に、県立病院ならびに医科大学における後発医薬品、いわゆるジェネリック医薬品の導入についておうかがいします。昨年6月に厚生労働省が全国の国立病院・療養所に対し、後発医薬品の使用を促進するよう通知して以降、各地の国公立病院での導入が進んでいます。
 新潟県では、県立病院での昨年度の後発品利用が品目数で全体の10%、金額で2.9%にとどまっていたことから、患者の負担を軽くする効果が大きな薬品を中心に、40品目を推奨し、年明けにも数十品目の追加推奨を検討するとのことです。
 このように、患者負担の軽減と支出の削減という明確な目標をもち、具体的な品目をあげ、試算を示さないことには、後発品導入はすすみません。
 県立病院ならびに医科大学病院において、2002年度での採用医薬品品目数および購入金額での後発品比率、同じく今年度上期での同じ数字をお示しください。そして今後、なにを目的として、どのように導入を推進されるのか、その具体的な計画をお聞かせください。

 さて、こうした後発医薬品導入や事務幹部の育成は地方公営企業法全部適用とは関係ありません。医師の養成と確保、そのための条件づくりなどを含めて県立病院のあり方を十分検討したうえで県民に問い、それから全適にするかどうかの検討に入るべきと考えます。経営改善策の検証や県立病院のあり方を議論している最中に、全適を最優先してしまうのでは、県がこれまでとこれからの経営責任を放棄し、管理者に責任を押し付けるだけなのではないでしょうか。全適については継続して検討すべきと思いますが、県の考えをお聞かせください。

次に、乳幼児医療の現物給付化についてうかがいます。
 先月4日、福島県国保連合会は、「乳幼児医療における社会保険の一部負担金の現物給付を実現する」ため、各市町村長あてに「乳幼児医療費助成支払業務の受託について」という文書を送りました。全市町村が委託するならば、福島県内全域での乳幼児医療の現物給付が実現することになります。県内で子育てをする県民にとっては画期的なことといえます。

 もちろん市町村が国保連合会に委託するには、請求明細書1件あたり、処理費用が予定で35円、また、市町村で最低限必要な点検作業は発生します。

 子育て支援環境づくりをすすめる県として、請求明細書1件あたりの処理費用を負担すべきと考えます。その場合、処理費用が1件あたり35円ならば県の負担金額はいくらになるのか、その試算と、県が負担することについての考えをお聞かせください。

 次に教育行政についてうかがいます。
 先月21日、文科省は、これまで少人数学級編制による教員増員分の給与は県の自己負担としていたものを、来年度から国庫負担の対象とする検討を始めることを明らかにしました。ただしこれは、予算の増額を伴うものでもなく、「加配予定数の範囲内での措置」というものですが、県民そして国民が長くとりくんできた30人以下学級を求める運動が、ある程度反映されたものと思います。そこで県教育委員会としては、国のこの弾力運用の検討の動きをどのように受け止めているかうかがいます。

県議会は1年前の議会で、「中学校2年生については、思春期の課題が集中する学年でもあり、よりきめ細やかな指導が求められる」として30人以下学級を早期に実施するよう求めているのですから、県としては、県民の意思を受け、ただちに具体化に踏み切るべきだと考えますが、見解をお示しください。あわせて全学年での30人以下学級を計画的に実現すべきですが、考えをうかがいます。

 さて、県内では今年の自殺者数がすでに昨年1年間の自殺者数523人を超え、10月末で561人にのぼる深刻な事態となっています。年末を迎えようとしているいま、失業と倒産に苦しんでいる人たちに心を寄せ、「人間・人格・人権の尊重」という立場から、財政面でも県民の暮らしと営業、雇用を守ること、そのためにもムダ使いを徹底して洗い出し、公共事業の内容を県民生活密着型・福祉向上型に切り替えることを最後にかさねて指摘し、質問を終わります。



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